ゴールデンウィーク期間中のこどもの日を帰省先などで過ごした家族も多かっただろう。子供の幸せを願う休日でもあるが、その対象となる子供の数は減り続けている。

総務省がまとめた人口推計によると、15歳未満の子供の数は前年比17万人減の1571万人(2017年4月1日時点)と36年連続で減少し、過去最低となった。少子化に歯止めがかからない日本において、子供の割合が減ることによって予想される事態は、社会全体に影響を及ぼす可能性があり、少子化は決して他人事として看過できない。

少子化の影響は全世代に波及

こども,少子化
(写真=PIXTA)

(1)経済規模の縮小

子供の数が右肩下がりの状態が続いていくと、移民や外国人労働者を積極的に受け入れる政策などを取らない限り、日本全体の人口は減少していく。人口減少は国内総生産(GDP)全体にも影響を及ぼし、世界3位の規模を誇るGDPも、生産性の飛躍的な向上なくして、その水準を維持するのは困難になる。国の経済規模が縮小することで、結果として個人の豊かさに影響を及ぼす可能性がある。

(2)労働力不足

子供の数増えないと、生産年齢人口(15歳以上65歳未満)も減少傾向をたどる。足元の雇用情勢は、有効求人倍率がバブル期以来の高水準で推移し、新卒の就職活動は売り手市場といわれる。

また、飲食店の求人では時給をアップさせてもアルバイトが確保できないなど、労働力不足が叫ばれるなか、子供の数の減少は、将来の労働力の供給に影響を及ぼし、結果として日本全体の経済にも打撃となる。

近年はロボットやAI(人口知能)の技術革新により、労働力不足を補う役割が期待されているが、その可能性は未知数であり、根本的な労働力不足解消のためには、子供の数の減少を食い止めることが必要になるだろう。

(3)社会保障の持続性

現役を退き、年金暮らしを送る高齢者にとっても、少子化は若い世代だけの問題として見過ごすわけにはいかない。

内閣府の高齢社会白書(16年)によると、65歳以上の高齢者人口と現役世代(15-64歳)の人口比率の推移は、1950年は高齢者1人に対し、現役世代12.1人だった。この割合は減少傾向が続き、15年には高齢者1人に対し、現役世代は2.3人、50年には1.3人にまで減少すると推計している。

この割合は、社会保障、特に年金制度への影響が大きく、年金受給世帯を支える屋台骨ともなる現役世帯が子供の数の減少を受けて縮小。その結果として、高齢者の年金受給を支えるため、現役世帯から徴収する全体の保険料も減少し、受給額や保険料の見直しを余儀なくされ、世代と世代の支え合いとされる年金制度の持続性が危ぶまれる。

(4)過疎化でコミュニティ機能低下

少子化の一方で、高齢化が進むコミュニティでは、過疎化に歯止めがかからない。子供の数が減少すると、学校の統廃合なども進み、地域の基盤となるインフラや社会サービスを維持できなくなってしまう。少子化による過疎化が加速すれば、コミュニティ機能の低下だけにとどまらず、コミュニティ自体の存続にさえも黄色信号がともる。

(5)家族のスタイルにも影響

少子化社会の中では、子供が1人だけという家族も珍しくなくなってきた。複数の兄弟がいる家庭では、遺産相続などをめぐり兄弟間で係争にまで発展するようなケースもある一方、親に介護が必要となった場合、それぞれの都合を考慮しながら、その負担を分担することも期待できる。しかし、少子化で1人っ子のケースでは、親の介護は1人で背負わなければならず、その負担は必然的に大きくなる。

現実味を帯びる少子化社会のリスク

少子化によって引き起こされるリスクをみてきたが、その実現性を確実視するようなデータも公表されている。

国立社会保障・人口問題研究所の日本の将来推計人口(16年)によれば、0-14歳までの子供の数は、出生率を1.44として推計すると、40年には1194万人、60年には951万人にまで減少し、総人口に占める割合はそれぞれ10.8%、10.2%となる見込みだ。一方、出生率を1.25で試算すると、60年の子供の数は750万人、総人口に占める割合は8.3%にまで落ち込むという。

日本の少子化は世界的にみても高い水準にある。総務省によると、日本の総人口に対する子供の割合12.4%(17年)は、アメリカ(19.0%)やフランス(18.3%)など、他の先進国よりも低い。新興国では、この割合はインド(30.8%)、フィリピン(31.8%)など相対的に高い傾向を示す。

日本の人口規模の水準を維持するには、合計特殊出生率が2.07必要とされるが、15年は2年ぶりに増加トレンドに転じたものの、その数値は1.45にとどまる。さらに、非正規社員などで雇用が安定しないことから、結婚に踏み切れず、晩婚化・非婚化も進む。また、ライフスタイルの1つとして、結婚や出産をしないという選択肢を取る人たちも増加傾向にあり、少子化のリスクは避けられない情勢だ。(ZUU online 編集部)

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