毎月もらう給与明細。手取りの部分だけ確認して満足していませんか?

女性ファッション雑誌『InRed(インレッド)』のアンケート調査によると、20代~40代の女性550人のうち、給与明細の正しい読み方を知らない女性は約6割にもなるそうです。

今回は、社会保険労務士の佐佐木由美子さんが主宰する「サロン・ド・グレース」のイベント(2017年4月25日開催)にお邪魔し、給与明細書の読み方から、老後のための資産形成まで、『キャリア女性に必要なお金の攻めと守り』について学んできました!

すると、なんと知っていないと損なお金の知識がざっくざく飛び出してきます。

給与明細は「お金の知識の宝庫」だったのでした。

給与明細書は3項目から成り立っている

給与, 老後, 資産形成
(写真=筆者撮影)

佐佐木さんは給与明細に何が書かれいるのか?を順を追って説明してくれました。

全体像を見ると、一般的な給与明細に書かれているのは勤怠、支給、控除の3項目です。まずはこの数字が何を指しているのか、順に見ていきましょう。

1. 勤怠項目

自分の勤怠について就業日数などが記載されています。ここでは、労働時間、出勤日数、休日出勤など正しく記載されているか、時間外労働時間は正しいか、有給休暇をとった日数などに漏れはないかを確認しましょう。

また、休暇には「無給」と「有給」があるので要チェックです。

2. 支給項目

残業がある場合、時間外勤務手当は支払われているかどうかをしっかりと確認しましょう。

正社員の場合、月給で働いていることがほとんどだと思います。しかし、自分の基本給を時間給にしてみると一体いくらになるか、知っていますか?基本給は同じ場合でも、労働時間が異なれば時間単価は全然違うんです。

基本給に諸手当(通勤手当や残業代を除く)を足したものを月の平均所定労働時間で割って、一度自分の基本給を時間あたりの単価にして見てみましょう。

3. 控除項目

みなさんが意外と知らないのが、自分の給与から「何が」「いくら」天引きされているのか、ということです。「控除」とは、差し引くという意味。つまりは、お給料から差し引かれている項目のことです。

控除項目は以下の通りです。

健康保険料
介護保険料(40歳以上の場合)
厚生年金保険料
雇用保険料
所得税
住民税

案外、いろいろなものが差し引かれているものなのですね。

「控除項目」特に重要なのはこの3つ!

佐佐木さんによると、給与明細の読み方をよく知らないという人は、3項目のうち「控除項目」について理解していないケースが多いのだそう。そこで、今回は「控除項目」について詳しく見ていきます。

とはいっても全てを見るのは大変なので、控除項目の中でも特に重要な「健康保険」「厚生年金保険」「雇用保険」について解説していきましょう。

健康保険
業務外の病気やケガで治療を受けるときに、自己負担が3割で済むのは健康保険に入っているから。それだけでなく、ケガや病気で働けない時に支給される「傷病手当金」や出産で働けないときに支給される「出産手当金」、「高額療養費」なども保障してくれます

☆傷病手当金
業務外の病気やケガにより連続して3日以上働けないときに4日目から、最長1年6ヶ月までもらえるものです。給与の約2/3が支給されます。

1日当たりの金額:支給開始日以前の継続した12ヶ月間の各月の標準報酬月額を平均した額÷30日×2/3

☆出産手当金
産前産後休業中に出産のため働けないとき。支給額は傷病手当金と同じ。

☆高額療養費
同一月にかかった医療費が高額になったとき。所得や年齢区分による一定の自己負担限度額を超えたときにもらえる。

厚生年金保険
日本の年金制度は、日本に住んでいる20歳以上60歳未満すべての人が加入している国民年金と、会社員、公務員が加入している厚生年金の2階層から成っています。

今給料から天引きされている厚生年金保険料には、国民年金保険と厚生年金保険、さらに以下の保障がすべてセットになっています。

老齢年金:老後の生活保障として、一生涯もらえるもの
障害年金:病気や怪我で障害が残った時、障害の程度に応じてもらえるもの
遺族年金:一家の働き手が亡くなった時、残された子供を持つ配偶者や子供にもらえるもの

実際にいくらもらえるか試算してみると、概算で、給料が月額26万円の場合は年間約145万円(月12.08万円)、月額30万円の場合は、年間約155万円(月12.9万円)になります。 ※

※厚生年金保険38年加入、国民年金2年加入 賞与は含めない場合

働き方は人それぞれです。これからの予測を立てる時に役立つ、自分の年金額が試算できる「ねんきんネット」というサイトもあるので、是非活用してみてください。

雇用保険
雇用保険には、さまざまな給付がありますので、みなさん是非上手に活用してください。

雇用保険から支給される給付には以下のようなものがあります。

失業給付(基本手当)
育児休業給付
介護休業給付
一般教育訓練給付
専門教育訓練給付

(写真=DAILY ANDS編集部)
(写真=DAILY ANDS編集部)

産休、育休でいくらもらえるの?

さて、会社員の人は普段あまり気にしない雇用保険ですが、実は内容を読み解くととってもありがたい制度なのです。

例えば、給与30万円の人が、子どもが1歳になるまで育休を取る場合を見てみましょう。

特に、女性のライフイベントに大きく関わるのが産休、育休でいくらもらえるのかというところだと思います。

出産育児一時金:42万円
出産手当金:約65万3000円
育児休業給付金:約182万1000円

なんと、合計で約289万4000円もの支給があるのです!女性にとっては本当にありがたい保障ですね。

ビジネススクール代も!「専門教育訓練給付」

また、今後のキャリア形成を考える際に注目したいのが、「専門教育訓練給付」です。

雇用保険の被保険者(退職者含む)で一定の要件に該当した場合、教育訓練経費の40%+資格など取得した雇用保険の被保険者であると追加で20%、年間最大48万円支給されるというものです。2018年1月からは、年間最大56万円になります。

例えば、ビジネススクールに通ってMBAを取得したり、医療系や士業など、一生食べていけるような国家資格を取るための学習費用などの援助をしてくれるという給付制度です。

特に、ビジネススクールなど非常に高額な学費がかかりますが、2年間合計で最大96万円支給されるというのは非常に大きいですよね。

ぜひご自身のキャリアアップに役立ててください。

(写真=DAILY ANDS編集部)
(写真=DAILY ANDS編集部)

給与明細書に出てこない保障「労災保険」

労災保険料は会社が全額負担しているので、給与明細書には出てこないものです。しかし、労働者であれば、すべての人が労災保険に加入しているので、以下のような場合に役立ちます。

労災が適用されるのは主に業務災害と通勤災害の2つ。

例えば、仕事中にお使いを頼まれて自転車にぶつかったとか、女性の場合特に多いのが、ハイヒールで通勤途中階段で滑ったとか、冬に路面凍結で転んだ、などでも適応できます。

この時注意したいのが、病院に行った時に、保険証を使って受診してはいけない、ということです。誤って保険証を使って受診すると、後から取り戻す手続き大変なので気をつけてください。

ライフステージとお金は密接に関わっている

女性の一生のライフステージは本当に様々。そして、今回ご紹介したように、ライフステージとお金は密接に関わってきて、今みなさんの給与から引かれているお金もこうしたものに直結しているということがわかったと思います。

今回の話を参考に、これまで受取額を確認するだけだった方も、改めて給与明細を見てみて、今後の人生に役立てていただければと思います。

「サロン・ド・グレース」イベントリポート【後編】では、老後資金の備え方をお届けします!(続く)

今回、取材に協力してくれたのは…

サロン・ド・グレース
働く女性を応援する情報共有サロン。働くうえで大切な法律や制度のことなど、学校や会社では教えてくれない生きた知識を学び、女性同士で情報交換することができる。サロンを主宰するのは、人事労務コンサルタント・社会保険労務士の佐佐木由美子さん(グレース・パートナーズ代表取締役、グレース・パートナーズ社労士事務所代表)。

Talei
新卒でワインの輸入専門商社へ入社、1年間の海外留学を経て現在はメディア事業と起業支援を行う会社でマーケティングを担当。個人的にWebメディア運営、イベント企画・運営を実施、ワインスクール講師も務める。

(提供: DAILY ANDS

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