ある日突然、会社から「当社は確定拠出年金制度(DC制度)を導入することにしました。ついては、退職金の一部は、皆さん自身で運用していただくことになります」と言われたら、どう思いますか?

多くの方が「え!? どういうこと?」「ひどい!」と感じるのではないでしょうか。

実際、ファイナンシャル・プランナー(FP)である筆者のところにも、確定拠出年金制度の導入が決まったばかりの会社に勤めている友人らが、相談という名の愚痴話が寄せられることがあります。そして、私に「よかったね」と言わると、「え? 悪いことなんじゃないの?」ときょとん。

そうなんです。実は確定拠出年金は、従業員にとってメリットが多い制度なんですよ。

  • 確定拠出年金と退職金とは何が違うのか
  • メリットやデメリットはどんなことなのか

まずはこの2点を理解しておくことが大切です。確定拠出年金は退職金制度の一つですので、ここでは主に会社が掛け金を準備する「企業型確定拠出年金」と、いわゆる退職金と呼ばれる「退職一時金」の違いを見ていきましょう。

確定拠出年金と退職金の共通点

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(写真=Candidman/Shutterstock.com)

会社を辞めるときに受け取ることができる退職金には、長年勤めた従業員への慰労の意味合いもありますが、退職後の生活保障として使えるようにと会社が準備した“賃金の後払い”という性質もあります。言わば、賃金の一部を知らない間に積み立ててくれたお金であり、一般的には老後の生活資金として使うことができるものです。

60歳になると一時金または年金として受け取ることができる確定拠出年金(☆)の資産も、退職金と同様に、老後の大切な生活資金となります。

このように、どちらも「老後保障」のお金であるという共通点があります。

☆確定拠出年金(かくていきょしゅつねんきん)とは?
公的年金や企業年金にプラスするかたちで自分で積み立てる「年金」のこと。拠出したお金を、投資信託などで運用する。個人でも節税ができることや、2017年1月から加入対象者が拡大したことから、いま、老後資金づくりの方法として注目を集めている。(参考: これなら分かる!「確定拠出年金」がお得と言われる理由

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(写真=Candidman/Shutterstock.com)

確定拠出年金と退職金の違いとは?

それを踏まえた上で、確定拠出年金と退職金には次のような違いがあります。

1. 運用手段を誰が考えるか

退職金では、会社が従業員それぞれの老後用にと積み立ててくれているお金をどのように運用していくかは、会社が決めます。一方、確定拠出年金は自分で運用方法を決めることができます。

「自分で選べる」のはメリットの一つなのですが、これまで退職金運用を会社任せにしてきたため、確定拠出年金が導入されたことで、会社が自分に運用責任を押し付けたと後ろ向きに捉える人が多いのかもしれません。

ただ、その点はこう考えることもできます。退職金の場合、運用方法は会社が決めるため、 従業員は口出しできない のです。

2. 会社が倒産した場合どうなるか

万が一、会社が倒産した場合、退職金は場合によっては 大きく減額する可能性 があります。一方、確定拠出年金では運用してきた資産が 1円も減額されません

確定拠出年金は、会社と切り離して従業員の資産が保全されます。さすがに、入社して3年未満では減額するなどと定めている会社も多くありますが、全額守られるのが基本です。また、転職した場合でも、次の会社に確定拠出年金制度があれば引き継ぐことができます。

確定拠出年金のメリットとデメリットは?

確定拠出年金と退職金はさまざまな面で異なりますが、冒頭で述べたように、確定拠出年金のほうが従業員にとってメリットとなる点は主に以下の4つです。

▽確定拠出年金のメリット

  • 一定期間勤続すれば、確実に自分の資産が守られ減額されない
  • 現時点の資産金額を簡単に確認できる
  • 自分が選んだ商品で運用できる

この中で最も大きなメリットは「減額されない」ことに尽きるでしょう。何が起こるか分からないご時世です。確定拠出年金制度の導入は、 自分の資産を会社の経営状態と切り離して保全することが可能になる ということなのです。

確定拠出年金のデメリットは?

では、確定拠出年金にデメリットはあるでしょうか。考えられるのは主に3点です。

▽確定拠出年金のデメリット

  • 定年前に退社しても60歳までは受け取れないため、転職時や独立資金に使えない
  • 資産運用を自分でする必要があるため、運用に関する知識が必要

この中でも、自己責任での運用については、これまで投資をしたことのない人にとっては商品選びが難しい部分もあり、デメリットに感じる人もいるでしょう。

しかし、これは預金ではほぼ増えることのない今の時代、投資について勉強するいいチャンスとも言えます。自分の資産をしっかりと守り殖やすために必要な知識を身に付けられることは、プラスでしかないでしょう。

資産を自分で守り増やすために

確定拠出年金と退職金、両方とも老後の生活を豊かに過ごしていくための大切なお金です。まずは両者の違いを理解しておきましょう。また、勤め先の退職金制度がどのようなものなのか、一度規約などをチェックしてみてください。

そして、勤め先に確定拠出年金制度が導入されたなら、自分の資産を守り増やすためにも投資の基本を学び、ぜひ、前向きな気持ちで商品選びに取り組んでください。

ちなみに、冒頭のように、退職金制度として確定拠出年金を導入した会社の場合、導入されるのは「企業型」と呼ばれる確定拠出年金となります。この場合、掛け金は会社が出してくれます。

しかし、確定拠出年金には自分で掛け金を出す「個人型」(通称:iDeCo、イデコ)もあります。「企業型」と「個人型」の違いについてはこちらの記事( 節税できる!?個人型確定拠出年金ってどんな制度か教えて! )も参考にしてみてはいかがでしょう。

みらい女性倶楽部
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(提供: DAILY ANDS

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