運転する人の中には、事故などで車を修理に出したことがある人もいるでしょう。この修理費が意外とバカになりません。ちょっと凹んだだけでも、板金と塗装で修理費が17万円なんてことも……。

通常は自動車保険の車両保険を付けていますから、保険で修理をする分には修理費はかかりません。しかし、翌年から等級が下がり保険料が上がってしまいます。この「等級」というのが保険料に大きく関わってくるのですね。

今回は、その「等級」について詳しく説明をしていきます。等級制度を活用してお得に自動車保険に入る方法もあるので、必見ですよ。

等級っていったい何なのか

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(写真=miya227/Shutterstock.com)

「ノンフリート等級(以下、等級)」とは、 事故歴に応じて保険料の割引・割増率を定めるための階級 のことです。自動車保険料はこの等級制度よって算出されます。ちなみに、10台以上の自動車保険を契約している場合は「フリート等級」といいます。

等級は20段階に分かれていて、20等級がもっとも「割引率」が高く63%の割引となります。逆に、1等級はもっとも高い「割増率」で63%割増になります。初めて自動車保険に加入する場合、通常は6等級からスタートします。1年間無事故であれば1等級アップし、事故に遭った場合は1等級または3等級ダウンします。

6等級からのスタートですので、事故ゼロであれば7等級になりますし、事故を起こした人は、1等級ダウンの場合は5等級、3等級ダウンなら3等級になります。

事故を起こした場合の等級ダウン

2013年、多くの保険会社で等級制度の改定が行われ、事故を起こしたときの等級が変わりました。事故を起こした場合、通常は3等級ダウンしますが、場合によっては1等級のダウンだったり、等級に影響を与えないこともあります。

1等級ダウンに該当するのは、下記のような場合です。

  • 契約車両が盗難にあって車両保険が支払われた
  • 台風や洪水によって車両保険が支払われた
  • 落書き・いたずら・窓ガラス破損によって車両保険が支払われた

このような場合は、翌年1等級下がります。 ノーカウント事故というのは、下記のような場合です。

  • 人身傷害や搭乗者傷害保険のみが支払われた
  • 自動車事故で、弁護士費用のみが支払われた
  • 原付バイクでの事故で、ファミリーバイク特約のみを使用

このような場合は、翌年1等級上がります。そして、1等級ダウン事故、ノーカウント事故以外はすべて3等級ダウンします。

3等級ダウンする「事故あり等級」は結構厳しい

事故を起こすと3等級ダウンしますが、このときの等級は「事故あり等級」が適用されます。つまり、ただ3等級戻るのではなく、事故あり等級が適用されるため、さらに保険料が高くなります。また、3等級ダウン後の3年間も事故あり等級が適用されるため、事故前の保険料に戻ることができるのは4年後ということになるのです。

事故を起こした翌年に再び事故を起こした場合は、最長6年を限度に事故あり等級が継続されます。

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(写真=miya227/Shutterstock.com)

お得な自動車保険の入り方

もちろん、誰でも事故を起こすことなど考えたくないものですが、長期の自動車保険を利用すると、もし事故を起こしたとしても、保険料を安く抑えることができます。

その一つが「長期契約」の自動車保険に入ること。自動車保険は一般的に1年契約で加入しますが、長期の契約も可能なのです。長期契約で多いのは3年、長いものでは6年契約もあります。また、支払い方法も一括払いから分割払まで用意されています。

長期契約の最大のメリットは、 契約中に事後を起こしても等級が変わらない ことでしょう。10等級で5年の長期契約をしたところ、1年目に事故を起こしてしまったとします。本来なら2年目は3等級ダウンして事故あり7等級になり、3年目は事故あり8等級、4年目は事故あり9等級、5年目でようやく10等級に戻ります。

つまり、事故を起こしてから3年間は通常一番保険料が高くなる期間です。けれども、5年の長期契約で車両保険に入っていれば、その3年間も1年目と変わらない等級が適用され、保険料が変わりません。

保険料というのは、基本的に無事故として計算をしています。ですから、事故を起こした場合はこの長期保険がお得になるのです。ただし、少しこすってしまったというようなときに、保険料にさして影響はないだろうと考えて保険を使うのは注意が必要です。いざ更新のとき、保険料が倍になっていたということもあり得ます。

家族から等級を引き継ぐ

保険料を安くできる裏ワザのもう一つが、 家族間で等級を引き継ぐことができる制度 です。引き継ぐ相手の条件は、契約者の親族もしくは契約者の配偶者の親族で、いずれも契約者と同居している場合に限ります。配偶者は事実婚の相手も含み、いとこや伯叔父母などでも引き継げます。

父親が安全運転のベテランドライバーで20等級だった場合を例に考えてみましょう。
長男が免許を取り、車を購入することになりました。通常、長男は6等級からのスタートになりますが、ここで父親の等級を引き継ぐと、息子は20等級からのスタートが可能になるのです。つまり、父親の等級と息子の等級を入れ替えることができるというわけです。

この等級引き継ぎ(入れ替え)制度は、多くの損害保険会社で採用されています。20代の保険料は高めに設定されていますので、等級が高ければ割引率も大きくなり、お得感が増します。

等級を引き継ぐことための条件

  • 等級を入れ替えられるのは同居している親族間のみ
  • 新規で車を購入した場合
  • 自動車保険に加入中の車を廃車にする場合

親子や兄弟姉妹であっても、同居していなければ引き継ぎの対象にはなりません。また、もともと所有している車をどちらも廃車せずに等級を入れ替えることはできません。一方、車を廃車して、別に所有していた車に等級を引き継がせることは可能です。つまり、 車両数の増減があるときに適用される ということです。

中断証明の手続きをして等級を引き継ぐ

長く車に乗っていたAさんは、妊娠が分かり車を手放しました。子どもの幼稚園通いのために、また車を購入したいと考えていますが、「せっかく無事故で等級を上げてきたのに、等級はまた6級からになるんでしょうか? リセットされてしまうなんて納得いかない」と不満を感じています。

この場合、また6級からのスタートになるのでしょうか? 実は、車を廃車・譲渡して長期間車を運転しない場合は、 「中断証明」の手続きをしておくと、以前の等級をそのまま引き継ぐことができる のです。

引き継ぎ可能な期間は最大10年間で、中断期間に全く車を運転していなくても構いません。スタートが6等級なので、7等級以上の場合は中断手続きをしておいたほうがよいでしょう。

一方、事故などで6等級以下になっている人は、中断手続きをする必要はありません。等級が非常に高い人であれば、家族間の等級引き継ぎにも使えるので、中断手続きをしておくほうが有利です。

中断証明書を発行するための条件は以下の通りです。

  • 廃車・譲渡
  • 車検が切れた
  • 車が盗難に遭った
  • 車の一時抹消を行った

例外的に、以下のような場合には、車検の残っている車を残したまま中断手続きを取ることができます。

  • 長期の海外渡航留学・駐在
  • 女性で妊娠を理由に当面車を運転しない場合 中断後、自動車保険に再加入する場合は、保険会社を変更しても問題ありません。

自動車保険の「等級」をよく理解すると、保険料を安く抑えることができます。また、自動車保険では、車両保険に免責を付けて保険料は安くすることもできます。

入っておきたい特約は

最後に、自動車保険の中で入っておくと役立つ特約をご紹介しましょう。

弁護士費用特約(弁護士特約)

これは、自動車事故などで被害者になった場合に役立ちます。契約者自身に責任のない事故では、契約者が自身のケガや、損害を受けた車・ものなどに対する賠償請求をしようとしても、保険会社は示談交渉ができないのです。しかし、この特約を付けておくと、事故相手との交渉を弁護士に委任でき、その費用なども補償してくれます。

個人賠償責任特約(個人賠償特約)

日常生活における自動車事故以外の事故で、契約者が損害賠償責任を負ったときに補償してくれるのがこの特約。例えば、自転車事故で人にケガをさせてしまった、お店で高価な商品を壊してしまったといったときのための保険です。

個人賠償特約は、火災保険や傷害保険などにも付帯しています。自動車保険以外で加入していないのであれば、ぜひ特約で付けていただきたい保険です。自動車保険とともに検討をしてみてください。

長尾 義弘(ながお・よしひろ)
NEO企画代表、ファイナンシャル・プランナー。徳島県生まれ。大学卒業後、出版社に勤務。1997年にNEO企画を設立。出版プロデューサーとして数々のベストセラーを生み出す。

(提供: DAILY ANDS

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