ビジネスマンにとって、スーツは仕事の必需品。選ぶ基準もファッションアイテムというよりは自腹で作業着を買う感覚で、なるべくお金や時間をかけずに、ササッと選んでしまうのも当然かもしれない。

でも、お金はともかく、選ぶ手間ひまを惜しんでしまうと、サイズやデザインが合わなかったり、服地が用途に適さなかったりして、良いものはなかなか得られない。スーツのミスマッチが体の負担になって仕事の効率が下がるようなことになったら、本末転倒だろう。

そこで今回はスーツ選びのポイントとして、前半はサイズと素材を中心に解説し、後半はさまざまな場面や季節、職業に適したスーツを紹介しよう。

スーツ選びのポイント:サイズ

スーツ,選び方
(写真=Thinkstock/Getty Images)

・襟の大きさ

スーツを選ぶとき、襟に着目する人は少ないと思うが、実は襟の大きさにもトレンドがあって、時代とともに広くなったりせまくなったりしている。昨年まではモード系のスリムなスーツが主流で、襟の形状もナイフのようにナローだったが、今年は英国調のクラシックデザインに回帰して、襟もワイドになっている。

ビジネスウエアにトレンドなんて関係ないと思われるかもしれないが、情報に敏感なビジネスパーソンは、ファッションのトレンドにも通じているものだ。理想を言えば、最新のトレンド傾向を把握した上で、自分の身長、体形、顔の形や大きさとのバランスを考慮して、最適なスーツを選びたい。

そこで注意してほしいのは、スーツの襟の幅とネクタイの幅、そしてワイシャツの前襟の長さは同寸でそろえるのが鉄則だということ。襟の広い最新トレンドのスーツを選んだら、去年までのナローなネクタイや、襟が小さなシャツの流用はいさぎよくあきらめて、次のトレンド回帰まで大いなる眠りについてもらおう。

・後ろ襟

「男は背中で語る」と言われるが、背中は直接見えないだけに、注意を要するポイントだ。スーツを試着するときは、後ろ襟のバランスにも気をつけよう。自然に立った状態で、シャツの後ろ襟が1~2センチぐらい見えていれば、適切なサイズだ。

シャツの襟がスーツの下に埋もれてしまうと、後ろ姿に締まりがなくなる。シャツの襟が高すぎてもいけない。後ろ襟のバランスが悪い場合は、シャツが合っていない可能性もあるので、シャツのデザインやサイズも含めてチェックしたほうが良いだろう。

・後ろ首~背中のシワ

後ろ襟のサイズに問題がなければ、次は後ろ首から背中にかけて不自然なシワが寄っていないかをチェックしよう。スーツのサイズが合わない場合には、後ろ襟の下に「月じわ」と呼ばれる波状のシワが出たり、両脇や肩甲骨のあたりに不自然なシワやたるみが出たりする。スーツを試着する際には、自分に見えないところはプロのショップスタッフの目できびしくチェックしてもらおう。

・袖口

スーツの袖丈は、自然に腕を下ろした姿勢で、袖口からシャツの袖が1センチほど出ているのがベスト。スーツの袖が長すぎてシャツが見えないようなら、袖丈を詰める必要がある。逆にシャツの袖が2センチ以上露出してしまう場合は、スーツの袖丈が短すぎるか、シャツの袖が長すぎる可能性がある。一般にインポートもののシャツは欧米人の体格に合わせているため、手足の短い日本人には袖丈が長い傾向がある。スーツを購入するときには、袖口に見えるシャツとのバランスもチェックしよう。

・着丈

スーツの着丈はお尻を覆うぐらいがベスト。昨年までのトレンドだったタイトなスーツはショート丈が標準だったが、ビジネスシーンには、ショートすぎずロングすぎないスタンダードな着丈がふさわしい。

・胸まわり

スーツのジャケットのボタンを閉じた状態で、内ポケットに手を入れて奥までゴソゴソしても胸回りがきつくない程度なら問題ない。ゆるすぎて前身頃がだらんとしたり、逆にきつすぎてボタンを閉じるとシワが出たりするようなら、サイズを変えて試着し直したほうが良いだろう。

・ウエスト

ウエストの目安はベルトをしなくてもパンツが下がらず、座ってもきつく感じない程度が好ましい。次にベルトをしめてみて、パンツのファスナーの左右や腰の裏側によけいなシワが出るようならウエストのサイズが広すぎるので、直しが必要になる。また、尻回りや太ももがタイトだと、立った状態でもパンツの両側のポケットが開いたり、縫い目にシワが寄ったりする。その場合はサイズを上げた方が良い。スポーツマン体形の人は、尻や太もものサイズに合ったパンツを選んでから、ウエストを詰めてもらうのが良いだろう。

・裾丈

スーツの襟の大きさと同様に、パンツの裾丈にも流行がある。去年までのトレンドだったスリムなパンツは「洗濯して縮んだのか」と思うほど裾丈が短かったが、ビジネスシーンでは靴下は下着扱いなので、パンツの裾から靴下が見えるのはタブーに近い。パンツの裾丈は靴の甲に触れる程度の長さはほしい。靴を脱いだ状態では、パンツの裾が床から1センチほど上にあるぐらいが良いだろう。

・パンツのシワ

パンツ裾丈が長いと、すねのあたりによけいなシワが出て、足が曲がって見えるようになる。裾丈を調整するときは前だけでなく、後ろ姿も確認しよう。

スーツ選びのポイント:素材

ここまではスーツ選びのポイントとして、サイズに焦点を当てて解説してきた。次は素材について説明しよう。

ご存知のように、スーツの素材はウール、すなわち羊毛の独壇場になっている。ウールは保湿性と保温性が高く、伸縮性や弾力性があり、シワになりにくく、摩擦に強く、天然の油分を含んでいるので水が浸透しにくいといった特徴がある。しかも生地を厚く織れば保温性に優れた服になり、細い糸で薄く織れば通気性の高い布地ができるといった具合に、季節を問わず使用できるのも、スーツ素材として最適な理由だ。

欠点は虫がつきやすいこと。高級なスーツは100%ウールか、シルクやカシミア、モヘアといった天然素材の混紡が多いが、いまいましいことに、メリノウールやカシミアといった値段の高い素材ほど、虫がつきやすい傾向がある。

もうひとつ欠点をあげるとしたら、家庭での洗濯がむずかしいことだが、最近ではポリエステルとウールのブレンド素材で「家庭で洗える」ことが売りのスーツも増えている。ポリエステルを混ぜた布地は耐久性が高く、ウールよりもシワになりにくく、パンツの折り目はアイロンの出番がないほどピシッとしている。しかも自宅で洗えるとなると、毎日スーツ着る人にとっては他に代えがたい神素材だ。ただし、シワになりにくいのが売りのポリエステル系スーツも、ひとたびシワをつけてしまうと、ウール100%の生地と違って、スチームを当てたぐらいでは元に戻らない。また静電気が起きやすいことや、摩擦に弱いことにも注意してほしい。

スーツ選びのポイント:季節

着心地と見た目の良さを考えるなら、シーズンを問わず、スーツはウール素材を選ぶのが無難だろう。秋冬は生地の表面を毛羽立たせたフランネルや、厚手のツイードが保温性に優れている。逆に夏場は断熱性と吸湿性の高いモヘアをブレンドした生地や、サマーウールやトロピカルといった薄い平織りで通気性の良い生地がお勧めだ。

また夏用では価格は高くなるが、世界最高のテキスタイルメーカーのひとつ、エルメネジルド・ゼニア社が開発した「クールエフェクト」のように太陽光の反射率が高く、ダークカラーのスーツで炎天下の戸外に出ても、服の表面が熱くならないという魅力的な新素材も登場している。他に夏もの素材としては、コットンやリネンもあるが、シワになりやすいうえにリゾートウエアのイメージがつきまとうので、ビジネスシーンにはおすすめできない。

スーツ選びのポイント:場面・職業

スーツの選び方は、場面や職業によっても違ってくる。ここではさまざまなシーンや職業を想定して、最適なスーツを考えてみたい。

・出勤用のスーツ

出勤用のビジネススーツは無地かそれに近い柄で、色はグレーかネービーが定番だ。また、新興IT企業に多い「オフィスカジュアル」を実践する場合は、スーツほど堅苦しくなく、ジーンズほどカジュアルすぎないということで、ジャケットとパンツの「ジャケパン」スタイルからトライしてみるのが良いだろう。

・商談や接待用のスーツ

取引先との重要な商談や、上司を伴う接待の場にのぞむ場合は、堅実で落ち着いた雰囲気のスーツが良い。色はネービーかダークグレーで、シャツも無難でオーソドックスな白の無地なら、うるさ型の取引先や上司も納得だろう。

・プレミアムフライデーのデート

スーツは仕事用で妥協するとしても、ディナーの席では彼女と向き合うのだから、ネクタイは華やかなものに代えて、胸をポケットチーフでおしゃれに飾るのが良いだろう。彼女にプレゼントされたネクタイや小物があれば、ここぞとばかりに着用すべきだ。

・結婚式の男性ゲストの服装

結婚式の定番と言えば喪服兼用の黒い礼服だが、最近はビジネス用のダークスーツを着用する人も増えてきている。その際もネクタイは白かシルバーで、シャツは白の無地が無難。披露宴会場は照明が暗いので、暗がりで黒く見えるネクタイは避けよう。二次会に出陣する人は、ポケットチーフで胸元を飾るのもおしゃれだ。

・通夜や葬儀

葬儀には喪服が必須なのはもちろんだが、突然の訃報で用意できないこともある。そのときはなるべく黒に近いスーツとネクタイを選び、シャツは白の無地を着用しよう。たまに「喪章をつければ、喪服の代用として立派に通用する」と主張する年配者もおられるが、 喪章は遺族や葬儀関係者を示すもの。第三者がつけるものではない。

次に職業別のおすすめスーツを紹介するので、スーツ選びのご参考にしてほしい。

・銀行や証券会社、保険会社などの金融関係

いずれもお客様の資産を扱う職業だけに、まじめで信頼できそうなスーツは必須。色はダークグレーかネービーの無地がいいだろう。ブラックスーツは若い人には当たり前でも、年配者には喪服と思われがちなので、避けた方が無難だろう。

・公務員

職務の公共性や公平性を考慮して、国民全体に等しく誠実さを感じさせるオーソドックスなスーツを選びたい。色はグレーやネービー系のシックで落ち着いたものが良いだろう。

・不動産

高額な一生ものの商品を扱うだけに、信頼できる雰囲気のスーツが一番だ。スーツの色は定番のネービー、グレーなど。ファッショナブルなデザイナーズマンションを扱うなら、いまどきのブラックスーツもすてきだ。逆に田舎の古民家のような枯れた物件を扱うなら、ブラウン系のスーツもマッチする。

・商社マン

エリート社員が数カ国語をあやつりながらワールドワイドにビジネスしているイメージがある商社マンだが、現実には「商社」というより「商人(あきんど)」という方がしっくりくるような、地道で汗臭い一面もある。商社マンのスーツに求められる一番大切なことは、一般企業とあまり差はない。

あえて言えば、商社らしいワールドワイドな情報ネットワークを印象づけるために、オーソドックスな着こなしの中にも最新ファッションのトレンドをさりげなく取り入れた装いを心がけたい。スーツはネービーやグレーやブラックといった、ぱっと見オーソドックスな色で、そばで見ると細かい柄がわかるような、さりげないセンスを利かせるのが良いだろう。

人の第一印象は会った瞬間の3~5秒で決まる

アメリカのある心理学者によれば、初対面の人の印象は、会った瞬間の3~5秒で決まるという。「人は見た目よりも中身が大事」と言われても、現実には5秒足らずの「見た目」で判断されるのだ。逆に言えば、自分に合ったスーツを着て、身なりをキチンとしていれば、わずか3~5秒で相手に好印象を与えることができる。ビジネスマンはそのことを頭に入れて、しっかりスーツを選んでほしい。(ZUU online 編集部)

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