今、小屋ブームが来ているとの情報をキャッチしたけれど、それは本当なのだろうか?

疑問を解消するため、小屋暮らしの認知拡大・普及に取り組む「YADOKARI」の相馬由季さん(TINYHOUSE ORCHESTRA事業部長)にインタビューをしました。

前回 は小屋ブームが起きた理由について相馬さんにうかがい、小屋ブームの根っこには人々の幸せを追い求める気持ちがあることを教わりました。

今回は、ところで「実際に小屋暮らしってどうなの?」という部分についてお話をうかがいます。

相場は300万〜500万円

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(写真=DAILY ANDS編集部)

ーーもし今、日本で小屋を買うならいくらぐらいするものなんですか?

小屋本体のみだと、だいたい200〜300万円くらい。オプションとしてシャワー、トイレ、キッチン、エアコン、断熱、給水・排水などの設備をつけていくと、500〜800万円ほどになります。ここに移動用の車輪を追加すると、プラス100万円くらいかかるイメージですね。

小屋の購入費用は大きさ、素材、ブランドによって異なってきます。

ーー税金ってどうなるのでしょうか?

車輪が付いている場合は「車両」、つまり「動産」になるので、固定資産税や都市計画税はかからないと言われています。つまり、家を買うよりは支払う税金は少なくて済みます。ただ、タイニーハウスで暮らす人が増えてきたら、税制が変わるかもしれません。

ーーもし、車輪が付いていない小屋だと、不動産とみなされるのでしょうか?

そうですね……ここは、明確にお答えすることは難しいです。

例えば、「物置」とみなすのか、「住居」とみなすのか、解釈は自治体によっても異なるようです。土地の条件であったり、土地に固定されているか、広さがどれくらいあるのか、水回りがあるのか等によって、固定資産税がかかるのか変わってくると思います。気になる方は一度、自治体に確認することをおすすめします。

ーー本体の購入以外にかかるお金はありますか?

もし、住宅とは別の場所に小屋を設置する場合は、別途「土地」の購入、賃貸費用、税金もかかります。

ちなみに日本では既製品の小屋が多いのですが、小屋って手作りしようと思えばできるんですよ。大変ですけどね(笑)。アメリカってタイニーハウス(小屋)ムーブメントの発祥の地なのですが、自分で作っている人が多いです。設計図も売っていますし、移動しながら暮らしている人がいます。日本はまだそこまで行ってはいないのですが、徐々に増えていくのではないかと思っています。

「小屋に住んでいる」人はまだ少ない

ーーYADOKARIでは実際に小屋を販売された実績もありますが、今、日本で小屋を買う人はどういう方が多いのでしょうか?

20代から定年退職した方まで幅広いのですけども、小屋の相場はおよそ300〜500万円なので、購入するのは30〜40代が多いという印象ですね。

今のところ、日本ですと、すでに住宅を持っていて同じ敷地内に設置する「離れ」としての小屋と、すでに住宅を持っている人が、別の土地に設置して週末に通う「別荘」としての小屋が多いと思います。「小屋に住んでいる」という人はいなくもないとは思うのですが、かなり少数派だと思います。

(写真=DAILY ANDS編集部)
(写真=DAILY ANDS編集部)

小屋暮らしの注意点は?

ーー小屋暮らしについてネットで調べたところ、排水が大変だという声がありました。

排水を外に流せるように設備を繋げれば、一般家庭と同じようにトイレやキッチンを使えてしまいます。ただ、そういうことができないときは、「オフグリッド」のものを利用します。オフグリッドってわかりますか?

ーーいえ、分かりません。

例えば、水で流さずに、微生物で分解する「コンポストトイレ」であったり、キャンピングカーのように、タンクに排水を溜めて、いっぱいになったら捨てる方法のことですね。

ーータイニーハウス暮らしの注意点は何かありますか?

インフラが完全に供給できる場所であればあまり問題ありませんが、できない場所で「オフグリッド」を選んだときに暮らし始めたあとのことまで考えないと大変だと聞きました。

寒い地域に住むと、断熱が足りなくて寒いとか、コンポストがうまく機能しないとか。ソーラーパネルで自家発電する予定だったのに、太陽光が足りないとか。実際に住んでみれば、なんとかなるんですけど、そのへんの不便さはイメージを膨らませてつくらないと大変になっちゃうみたいです。

ーーコンポストがうまく機能しないってどういうことですか?

コンポストって実は大変なんですよ。いろいろ混ぜて、空気を含ませて、肥料にして……そういった手間もかかるので、技術がいりますね。

今年の4月に米国で開催された「タイニーハウスカンファレンス」は、そういうエネルギーやインフラをどの選択肢にするか、土地をどこにするのか、が大きな悩みのようでした。

あとは住所とか。

ーー住所ですか!?

アメリカではキャンプ場でも、一応、住所の登録というか、郵便物が普通に届くんですって。なんとかキャンプ場の何番地、みたいな(笑)。

ーーなるほど。離れや別荘ではなく実際に住む時は、住所をどこにするか、郵便物をどう受け取るかも重要になるということですね。それらを乗り越えるだけのモチベーションが必要ですね。

小屋は何年持つのか?

ーー住宅だといずれ老朽化しますが、小屋の場合、お手入れはどの程度必要なんでしょうか?

アメリカでは、特にメンテナンスをせずに5〜10年住んでいる人もいましたが、木が外に露出していると5年に1回は塗装が必要だと言われます。でも、それは普通の家でも一緒ですけどね。

自分でつくった場合のメリットとして、構造がわかっているので、自分で直せるという点はありますね。既製品だと、施工した工務店に問い合わせて修復することになるとは思います。

ーーだいたい、修復の頻度と1回あたりの費用はいくらぐらいなのでしょうか?

正直なところアフターケアの頻度と費用はちょっと分からないですね。今、日本で小屋暮らしをしている人はほとんどいませんし、もしいたとしてもせいぜい10年くらいだと思うので、20年、30年暮らしたときにどうなるかは分からないです。

まあ、全部建て替えたとしても、数百万円です。メンテナンスが必要となっても、一部、必ずまた使える部分もあると思います。

ーータイニーハウスって資産運用にはなるんですかね?中古タイニーハウスの売買とか?

ありますよ。アメリカではかつてタイニーハウスホテルとして使われていた小屋が「NOW SALE」みたいに売っていました。

ライフステージによって必要な大きさの家は変わるので、はじめは小さい小屋に住んでいたけれど家族が増えて少し大きいものに住み替えて、そのときに小さい小屋を売って……ということは、普通の家と同じように行われると思います。

(写真=DAILY ANDS編集部)
(写真=DAILY ANDS編集部)

女性にとって小屋暮らしの魅力とは?

ーー小屋暮らしにかかる費用についてはなんとなくわかってきました。次に小屋の魅力の部分をお聞きしたいのですが、相馬さん自身、2016年5月、アメリカ・ポートランドの「タイニーハウスホテル」に宿泊したことがあるそうですね。

はい、あります。とてもよかったです!キッチン、シャワー、トイレ、ロフト付で宿泊料は1泊1万6000円くらいでした。中は結構モダンで、虫も全然入ってきません。3人ぐらい余裕で泊まれるんですよ。1人だとちょっと割高ですが、シェアしてしまえばそうでもないですよね。

ーー女性にとってタイニーハウスの魅力って何か有りますか?

とにかく可愛いということですね!

今、日本で小屋っていくつか販売されていますけど、シンプルなものが多いです。私、もっとかわいいものもあっていいと思うんですよ。そのほうが楽しいじゃないですか。小さいからこそ、外観、内装にこだわれるっていう魅力があるので。

ーー(米国のタイニーハウスの画像を見て)絵本に出てくる家みたいですね!これはかわいい!!

このサイズだと、自分だけのタイニーハウスを作れるんですよね。それが女性にとっての最大の魅力です。アメリカでタイニーハウスに暮らしている人って、意外と女性ひとりも多いんですね。

もし日本で小屋暮らしをするなら…

ーーもし相馬さんが小屋暮らしをするならどういう環境がいいですか?

コミュニティがいいですね。

ーーコミュニティって何ですか?

敷地の中心に「母屋」があって、母屋には水回りやキッチン、リビングがある。その周りにタイニーハウスを置けるというもの。アメリカにはこうしたコミュニティがあちこちにあって、コミュニティやキャンプ場を転々としながらタイニーハウス暮らしをする人もいます。

土地を「一区画いくら」という風に貸し出すのですが、大きな一軒家の土地に比べたら賃料も安いんです。母屋も使えますし、使っている人同士の緩やかなつながりもできます。シェアハウスのタイニーハウスバージョンみたいな感じですかね。

ーーなるほど!面白そうです。

母屋があったら便利ですし、たまには広い空間にいたいときとかもあると思います。家電とか、水回りとか、共有でいいものもあると思うんですよね。そういうのをシェアして合理的に住めるかなと思います。

シェアハウスに比べると、同じコミュニティの人と適度に距離があるのも良いかもしれません。必要最低限のものはシェアしつつ、コミュニティがもし嫌だったら家ごと移動すればいい(笑)。

ーー場所はどこらへんが良いですか?

やっぱり自然がほしいので、郊外の方がいいですね。私はどこでも仕事ができちゃうので、都内に2時間くらいで行けたらいいなとは思います。

ーー今、結婚とか考えていますか?

いつかしたいけど、もうちょっとかなぁ、とは思いますね。もし家族ができたら、一家でタイニーハウス暮らしはしてみたいですね。家族で暮らして、子どもが増えたときに増設したりとか(笑)。子ども用のタイニーハウスを子どもに作らせるとか。

ーーそれいいかもしれません!最初は500万円の小屋からスタートして、お子さん増えたら100万円の小屋を増設して、子どもが巣立ったらまた夫婦2人にぴったりの小屋に住み替えて……。

家族コミュニティとかできたら面白いですよね。大きい家を買っても、子どもが独立したら部屋が余ってもったいないし、効率的じゃない。もっと気軽にライフスタイルに合う家に住めるようになったらいいなと思います。

ライフスタイルに合わせて気楽に住み替えられる

ライフスタイルに合わせて気楽に住み替えられる、というのは小屋の良さだと感じました。

家賃が低く抑えられる、自分のライフスタイルに合わせて住み替え・移動が気楽にできる、そして可愛い。小屋暮らしの魅力がだんだん伝わってきました。

とはいえ、まだ日本では本格的に小屋ぐらしをする人はあまり多くはありません。最終回となる次回は、小屋暮らしのデメリット、なぜ日本ではまだ広まらないのかについてお話をうかがってみたいと思います。(後編へ続く)

取材に協力してくれたのは

YADOKARI

タイニーハウスの販売や、タイニーハウスに関連するメディアやイベントの企画・運営を行う。「ミニマルライフ」「タイニーハウス」「多拠点居住」などを通じて、場所・時間・お金に縛られないライフスタイルを実現し、人生の満足度、幸福度を向上させることを目指している。豊かなライフスタイルをテーマにした書籍『月極本』も発行しており、最新刊に『月極本3 好きなお金、嫌いなお金。』がある。日本の小さな住まいの実例集、『ニッポンの新しい小屋暮らし』(光文社)も発売中。

くすい ともこ DAILY ANDS編集長。北陸の地方紙で5年間記者として勤務後、Web編集者に。「無理のない範囲でコツコツ」をモットーに資産運用を実践中

(提供: DAILY ANDS

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