バリキャリでシングルライフを謳歌する女性が増えたことから、女性が不動産を購入するケースが多くなっています。投資を目的とした不動産の購入を検討する女性も少なくありません。

不動産投資, 女性, 山田寛英
(写真=筆者撮影)

しかし、不動産購入において、うまく言いくるめられて損をしてしまった女性や、女性ゆえに足元を見られてしまうことも少なくないように思います。

そこで今回は、 『不動産屋にだまされるな 「家あまり」時代の売買戦略(中公新書ラクレ)』 の著者である山田寛英さんに、女性が不動産屋さんにだまされないためのポイントをうかがいました。前後編に分けてお届けします。

前編では「女性が不動産を買う時にだまされやすい理由や対策」についてお話をうかがいました。

数千万円だまされても気づかない女性も

不動産投資, 女性, 山田寛英
(写真=筆者撮影)

―― 山田さんは普段、どういうお仕事をされているのでしょうか。

不動産に特化した会計事務所を経営しています。

相続税や不動産所得の申告、贈与についてや相続対策、金融機関から融資を引き出すための融資計画書の作成のご相談にのっています。不動産にまつわる女性からの相談も多く、年齢層も20〜80代までと幅広いです。

―― ご相談に来る女性のお客さんのなかで、不動産購入でだまされたという方はいらっしゃいますか?

本来ならば3000万円近くの相場の物件を、5000万円近くで買ってしまった女性がいらっしゃいます。

不動産業者側はもちろん相場を知っているのですが、銀行に相談したら「このお客さんは信用力あるから、5000万まで融資ができる」と言われた。すると不動産業者は、融資限度額まで価格を釣り上げて売ったんです。でもその女性は知識がないから、その価格で買ってしまった……。

また「将来が不安だから」と、狭くてボロい投資用物件を都内に買ってしまった女性もいました。2800万円で買ったのですが、本当の相場は2000万円程度。どちらのケースも独身女性だったのですが、明らかにだまされているのに本人は気づいてない。

例えば毎月の借入金の返済が20万円で家賃が15万だと、赤字になりますよね。でも損をしていることに気が付かず「毎月の給料で5万円分を埋め合わせればいいや」と思ってしまう女性もいるんです。「赤字が出たら給料から補てんすればいい」という考えがおかしいことすら理解できていません。

悪い物件を掴まされ、返済を続ける女性

―― だまされていることに気がつかないままというのは怖いですね……

現在70代の女性で、若い頃に賃貸アパートを買ったけれど、20年間ずっと赤字で、アルバイトやパートをいくつもかけもちして返済を続けていて、子どもの学費も払えなかったという方もいらっしゃいました。

「あと8年くらい返済が残っているけれど売ってしまうと損をするので、完済のために働くことが人生の目的になっている」と聞いたときは、言葉が出なかったですね。

―― その方は、悪徳不動産会社から物件を買ってしまったのでしょうか?

そうではなくて、大手の不動産業者から購入したそうなんです。

購入するときに「高いな」とは思ったそうなのですが、「営業担当者がいい人だったから買ってしまった」と言っていましたね。条件のよくない物件を高値でつかまされてしまったけれど、実際にアパート経営をスタートしたら人が入らず、赤字が続いているというわけです。

(写真=筆者撮影)
(写真=筆者撮影)

女性が不動産を買うのはかなり危険!?

―― 今回は「女性が不動産を買う時にだまされないようにするためにはどうしたらいいか」というテーマでお話をうかがいたいのですが。

それは……「南米の治安の悪い都市で、若い女性が夜中の12時にひとりで道を歩くにはどうすればいいか」という質問にかなり近いですね(笑)。

―― え!それはどういうことでしょうか?

不動産業界では、消費者側である私たち一般人がものすごく弱い立場にいます。

例えばケガや病気で病院にかかるときは、保険点数が決まっているから、医者は患者をだましにくい。家電なども、不良品などの変なものを売ると、すぐに問題になる。でも不動産業界は、国土交通省の縛りが厳しくないので、業者が利益をむさぼることができてしまうのが現実です。

不動産に特化した会計事務所を経営している男性の私でも、不動産を買おうと思ったら8割くらいの確率である程度はだまされると思います。不動産業界で働くプロフェッショナルであっても「よい物件を安くオトクに買える」可能性はかなり低いと思いますね。

―― 女性が不動産を購入する場合、どのような点に注意すれば良いのでしょうか。

最初の深夜に夜道を歩く話で例えるとすれば、「武器で武装する」「男性と一緒に歩く」または「夜に出歩かない」という方法しかないですね。

―― 何だか不安になってきました……。具体的にはどうすればよいのでしょうか。

「武装」は、不動産の知識を身につけること。

「男性と一緒に」というのは言葉の通りで、不動産業者と会ったり交渉をしたりする時は、女性ひとりではなく男性を一緒に連れていくこと。

もうひとつは「そもそも不動産を買わない」ですが、これはあまり現実的ではないですね。

若い女性は不動産業者にとって「いいカモ」

―― 女性ひとりで不動産業者と付き合うと、だまされてしまう可能性が高いのでしょうか。

例えば、我々のような会計士の仕事は女性も活躍する、性別を問わないフェアな世界です。でも不動産業界の営業マンは、現実として男性の方が圧倒的に優位。不動産を買おうとする若い女性は、男性の営業マンから「かなりナメられている」ということを前提に考えた方がいいと思います。

男性の営業マンにとって、例えば「投資用物件を買いたい」という若い女性の相手をするのは、合コンに来ている女性をオトすようなもの(苦笑)。不動産の知識のない女性がお客さんとして来るのは、彼らにとっては好都合なんです。不動産業者にとっては「買い手はなるべくバカがいい」というのがホンネです。

―― 特にだまされやすい女性の傾向などはありますか?

私が見てきたなかでは、研究所勤めなどの理系の女性、学校や幼稚園・保育園で先生をしている女性などが、特に人を信じやすくだまされやすい傾向にあると思います。営業マンがそういう女性をだまそうと思ったら、家賃統計や収支グラフなどの資料を見せて「賃貸保証しますよ」などもっともらしいことを言えば、それをそのまま信じてしまう人も多いです。

女性の場合、例えばガツンと強く何かを言われたら、反論せずに納得してしまう人っていますよね。だから、営業マンにとってはなおさら、言いくるめやすかったりするんですよね。

また、後でトラブルが起きた場合、男性は闘いますが、女性は訴訟を起こすことも少ない。そういう点でも、なめられやすい部分はあります。

―― だから、男性を一緒に連れて行った方がいいんですね。

結婚している人は旦那さん、独身の人は自分のお父さんと一緒に行くのがベストです。お金持ちの方だと不動産業者とのやりとりに顧問弁護士や代理人を立てることもありますが、若い女性は、身内の男性を連れていきましょう。

女性が家を買う時は警戒心を持つ必要がある

山田さんからお話をうかがって「女性が不動産を買うのって怖いことなのかも……」と感じた私。しかし逆を言えば「家を買う」ことはそれくらい警戒心を持って慎重に考える必要があることがわかります。

次回は、女性が不動産を買うときにチェックすべきポイントについて、詳しくうかがいます!(後編に続く)

Y子
大学卒業後、出版社勤務等を経てフリーライターに。インタビューや取材、記事制作などを行う。20代の終わりが近づき、ただ漠然と貯金をすることに疑問を感じ「投資」に関心が出てきた。

(提供: DAILY ANDS

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