「緩やかに景気は回復しているらしい。これも2020年の東京オリンピックまで」と言う人がいます。過去、1964年の東京オリンピックでは、それを契機に高度経済成長が花開きましたが、今度は逆に景気「打ち止め」の道標ということなのでしょうか。もちろんその一方で「オリンピック効果」に期待する声もあります。実際はどうなのか、ちょっと早いですが予測してみましょう。

現在の景気は「緩やかに回復基調」?

2017年8月28日に発表された政府の8月の月例経済報告では、現在の日本の景気は「緩やかな回復基調が続いている」状態とのことです。

報告に合わせ、茂木敏充経済再生担当大臣は記者会見で、現在の景気拡大傾向は2012年12月に始まり、8月で57ヵ月に達していること、これは戦後2番目に長い好景気だった「いざなぎ景気」と並んだ可能性が高いという見解を表明しています。

実際には成長率そのものは低いため、一般家庭の家計的に「景気がいい」と感じる機会は少なそうではあるものの、2017年3月卒の大学生等の4月1日現在の就職率は、6年連続で上昇して97.6%でした。1997年に文部科学省、厚生労働省が「大学等卒業者及び高校卒業者の就職状況調査」を開始して以来の最高値を更新したと発表しています。

就職する側にとっては売り手市場となっており、それも企業の経済活動が活発で人手不足傾向にある証拠でしょう。肌感覚では実感しづらいものの、現在が好景気の局面であることは確かと言えそうです。

「オリンピック効果」はどこまで続くか

それでは、もうあと数年後に迫った東京オリンピックは、果たして日本の景気にどのような効果をもたらすのでしょうか。

開催地である東京都がこの春に発表した試算によれば、東京オリンピック・パラリンピックが全国に及ぼす経済効果は、大会招致が決まった2013年から大会10年後の2030年までの18年間で約32兆3,000億円、全国の雇用増加数は約194万人にものぼるとのことです。ちなみに経済効果の約32兆円の内訳は、2013年から2020年までの8年間で約21兆円、2021年から2030年までの10年間で約11兆円となっています。

オリンピックの経済効果に、かなりの期待を寄せているのは確かと言えるでしょう。ちなみに、オリンピック前後の「前」が約21兆円と多く、「後」が11兆円となっているのは、「前」は諸設備の建築投資や観光客増など直接の効果であるのに対し、「後」は残された施設・交通網の整備などが生み出す波及効果であるためです。

一方で、こうした希望的観測に警鐘を鳴らす意見もあります。

ここ最近の海外の開催国をみても、オリンピック用に建設された「最先端」の巨大な施設が、そのまま有効に活用できている例はむしろ少ないこと、オリンピック前後の景気動向も、オリンピックが直接景気を押し上げている例は少なく、単純に世界経済の影響を受けている場合のほうが多いこと、などがその理由です。

実際、日本国内で見ても、1998年の長野冬季オリンピックで建設されたさまざまな施設はその後有効に活用されず、開催から数年で赤字に転落して「負の遺産」とさえ呼ばれるようになった実例もあります。

長期的な景気予測でも、オリンピックをはさんで「オリンピック需要」の反動や、労働人口減による人手不足の深刻化などのマイナス要因があらわになってくる可能性は高いとも言われています。いよいよ3年後に迫った東京オリンピック。浮かれるだけでなく、冷静にその後を考えてみる必要もありそうです。(提供: IFAオンライン

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