近年、中国やロシア等の世界の富裕層の間では、イギリスのパブリック・スクールをはじめとするボーディング・スクールが注目を浴びており、小学校高学年くらいから全寮制の学校に子供を入れるケースが増加している。こういった学校の状況について筆者の独自取材及びリサーチに基づき紹介していこう。

中国、ロシアからの留学増加

お金持ち,ボーディングスクール
(画像=Thinkstock/Getty Images ※画像はイメージです)

海外からイギリスのボーディング・スクール(小学校から高校)に留学している生徒は約2.7万人(イギリスISCの最新の統計に基づく)に達するが、その内中国および香港からの生徒が約1万人、ロシアからの生徒が約2200人、ドイツ 約2000人、スペイン約 1300人となっている。なお、日本からの生徒は約300人とごく限られている。 とくに近年、中国とロシアからの生徒は増えていて、10年前との対比では中国からの生徒が約3倍、ロシアからの生徒が約2倍に増加しており、生徒の増加傾向に拍車がかかっている。 

なお、中国とロシアから来る生徒の中には、親がイギリスに不動産を購入することを行ったりしているケースも聞かれ、将来的な移住含みで来られているケースも結構あると思われる。

イギリスのボーディング・スクールの魅力とは?

イギリスのボーディング・スクールというと近年ハリー・ポッター等でも紹介されたが、イートン校、ハロー、ウィンチェスターといった有名なパブリック・スクールをはじめとして、多くの学校がイギリス全土にあり、イギリスの主要産業のひとつなっているがこういった学校の魅力とは何であろうか?

こういった学校では、少人数授業が通常行われ、ディスカッションを重視した授業が行われる。また学業のみならず、芸術やスポーツも重視し、最高の環境を提供し、知的教養や自立心やコミュニケーション能力を、寮生活を送りながら養成するのが特徴である。

パブリック・スクールはイギリスのエリート階級の養成機関といった側面もあり、デービッド・キャメロン元首相やボリス・ジョンソン外相を含む多くの政治家やリーダーがこのような学校の出身者である。このようなイギリスのエリート階級のみならず、アジアや中東の富裕層や将来のリーダーとのネットワークが自然とできるのは魅力的である。

上位のパブリック・スクールに入った場合、全体の約30-40%程度はオックスフォード大学またはケンブリッジ大学に入学でき、その他はハーバード大学やスタンフォード大学等のアメリカの名門校に行っているケースもある。欧米のトップレベルの大学を目指すことができるようになるのである。

イギリスのパブリック・スクールに子供を入れる場合のハードルとは何か?

さて、イギリスのパブリック・スクールを含むボーディング・スクールに子供を入れようとする場合の最大のデメリットまたはハードルとは何であろうか?

こういった学校は学費が年間30,000ポンド~35,000ポンド(450万円~550万円)程度かかり、以前よりポンドが安くなってきたとはいえ、その他諸経費を含めると富裕層または相当余裕のある家庭でないと子供を行かせるのは経済的な負担が相当重い。

次に世界的なブランド力があり教育環境の整った上位のパブリック・スクールに入るのは狭き門であり準備が大変である。

小学校の早い段階から志望する学校に登録することを行う必要があるが、ペーパー試験だけを通れば入学できるというものでもない。プレップスクールといわれる進学実績のある準備校(フィーダー校)に子供を入れる場合が多いが、志望している学校に定期的に成績表や内申書が送られ、在学中および卒業直前に試験や面接等がある。他にも、日本人の場合、日本語能力とのバランスをどうするかという課題等もあることはあるが、これは考え方と将来のキャリアプラン次第である。

日本の富裕層も子供にグローバル教育を受けさせることに関心がある

日本人がこういったグローバルなエリート教育を受けさせようとすると、準備の面では簡単ではないが、インター等で見受けられる富裕層や比較的余裕のある家庭では、このようなボーディング・スクールに目を向け始めている方が増えているようである。

この背景には、今までは日本はグローバルなプレセンスも一定あり、国内を重視していれば良い面もあったが、最近は、中国経済の飛躍および国内の人口減少傾向もあり相対的に国内総生産(GDP)が下がり、アジアの中でもプレセンスが急速に低下している傾向が気になると考えられる。

また、企業のグローバル化(国内企業が外資傘下になること含む)も急速に進んでいるが、日本の教育ではかなかうまく対応できていない可能性があることも不安要因である。

加えて、最近、日本では特に東日本大震災およびこれに伴う津波等の自然災害や各種地政学的なリスク等、日本の将来に対する不安要素が以前より高まっていると言わざるを得ないであろう。 

富裕層の間ではすでに投資地域を分散化することによるリスク分散する動きをすることもあるとは思うが、最大の投資の一つと言われる子供の教育についても、日本の教育だけを選択肢と考えることはリスクであると認識され始めているのではないか考えられる。

山田隆志
投資銀行及びシンクタンク出身。富裕層向けアドバイサリーを実施。子供は英国の名門ボーディングスクールに留学。

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