世の中には流行がある。流行のファッション、流行のレストラン、流行の映画など、常にトレンドを追いかけていないだろうか?これはある程度は仕方がないことなのだ。人は周りの人と同調していると安心するというサガを持っている。一方、お金持ちは「多くの人が持っているもの」を買わないという。この一線が持つものと持たざるものを分かつのかもしれない。

ハーディング効果

ハーディング効果,行動経済学
(画像=PIXTA)

人は周りと同じ事をやっていると安心する。群衆に同調すると安心するのだ。これを行動経済学の用語で「ハーディング効果」という。ハーディングは、英語の「herd」だ。もともとは動物が群れることをいい、群衆、民衆という意味もある。ハーディングのことを日本語では「群衆行動」とも言う。羊が群れて草原を走るように、鰯が群れて泳ぐように、人も群れて行動すると安心できるのは本能なのだ。人は空いた店よりも行列が出来る店に並びたくなるのだ。

ハーディングでは、つねに合理的な行動を起こすわけではない。間違えたことで群衆に追従してしまうことがありうる。「赤信号、皆で渡れば怖くない」などはその典型例だと言われている。

金融の世界でもハーディングという言葉はよく使われる。暴落などのメカニズムはハーディング効果で説明されることも多い。

ハーディングが招いた史上最大の暴落

1987年10月19日に起きたブラックマンデーという史上最大の株式市場の暴落がある。NYダウは508ドル安と一日で22.6%安も下げた。暴落は世界市場に連鎖し、日経平均も3836円安の14.9%安と史上最大の下げを演じた。

暴落のきっかけは、米国の金融引き締め懸念である。それまで世界的な金融緩和で金余りとなり世界の株式市場は上げていた。一方、米国の貿易赤字が予想以上に膨らみ、ドル安・円高が大きく進行した。ドル安を阻止するために、米国が金利を上げる観測が広まった。

たしかに下げる材料ではあるかもしれないが、戦争やテロなどの地政学リスクがおきたわけでも、大恐慌時のように景気が壊滅的だった訳でもない。誰かが大きく株を売り始めて市場が急落したことで、理由が分からないだけに不安になり多くの人が追随してしまった可能性が高いのだ。

まさに投資行動において、ハーディング効果がはたらいた好例だろとも言える。翌日の日経平均は急速に戻し9.2%高、翌々日は1.9%高。2日で2494円も戻してしまった。もとからそれほど下げる材料でもなかったのだろう。NY株も日本株もその後順調に戻しバブルを形成していく。

お金持ちは「多くの人が持っているもの」を買わない

このフレーズは、お金持ちは「人と同じ事をしない」と言い換えられるかもしれない。お金持ちはハーディングを起こさない。自分で合理的な判断をして、群衆行動をとらないからこそお金持ちになれたのではないだろうか。サラリーマンとして群れず、例えば若い頃から起業して人と同じ事はせずに努力したから、金持ちになったのではないだろうか。群衆行動を取る限りは金持ちになることは容易ではないだろう。

お金持ちは、多くの人が持っているものを買わないのではない。多くの人が持っているものを買ったとしても多くの人が持っているものだからという理由で購入sル訳ではないということだろう。常に自分の道は自分で考えて切り開くという態度を取っているのではないだろうか。

ハーディングを起こす人は、周りと同調する動きをとることに慣れきっているだけかもしれない。同調してしまう行動体系はココロのクセだ。安心するために行動するのでなく、自分の意図をもって何事にも行動できるようになれば、結果は一緒でもハーディングとは言わない。

株式投資でたとえ市場が暴落していても、原因をみつめ割安だと思えば買う態度が必要だろう。Twitterでカリスマトレーダーがつぶやく銘柄を買う行為は「イナゴ投資」と言われる。つぶやきに対し群衆が買いに同調する。その様がまるでイナゴが集団で跳ぶようだからだ。決してイナゴが悪いわけではない。どうしてその銘柄に投資するか自分の意図をもって行動できれば構わない。

昔から「人の行く裏に道あり花の山」という相場の格言がある。株式投資で利益を得るためには他人とは同じ事をしていてはだめだ。違う行動をとった方がいいという教えだ。 市場でお金持ちになる人も、きっとハーディングをしない人だろう。

平田和生(ひらたかずお) 慶応大学卒業後、証券会社の国際部で日本株の小型株アナリスト、デリバティブトレーダーとして活躍。ロンドン駐在後、外資系証券に転籍。日本株トップセールストレーダーとして、鋭い市場分析、銘柄推奨などの運用アドバイスで国内外機関投資家、ヘッジファンドから高評価を得た。現在は、主に個人向けに資産運用をアドバイスしている。

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