来年1月からのスタートを控える新しい少額投資非課税制度が「つみたてNISA」であるが、制度開始に先立ち、10月より口座開設の申し込みが始まっている。利用する金融機関は銀行か証券会社から1社を選ぶ事となるが、「つみたてNISA」を利用するにあたって、どこに口座開設をすれば良いのだろうか。今回は銀行で「つみたてNISA」を始める利点と、対象商品取扱数の多い銀行について説明する。

スタートまで残り僅か 「つみたてNISA」とは?

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(画像=PIXTA)

来年1月の制度開始まで残すところ後わずかとなった「つみたてNISA」であるが、まずは制度の概要を簡単に紹介しよう。

「つみたてNISA」は毎年40万円までの非課税枠を20年間与えられる少額投資非課税制度である。投資対象は長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託となり、金融庁への届出を経て、登録銘柄として公表された商品のみが対象となる。「つみたてNISA」では、口座で購入した対象商品の分配金や売買益となる譲渡益に係る税金が非課税となる。制度は現行NISAとの選択制となるが、現行NISAの最大非課税枠が年間120万円の5年間で600万円となるのに対し、「つみたてNISA」は年間40万円の20年間で800万円と200万円も多くなる。

長期積立投資では、時間の分散による効果が期待される。いわゆる「ドル・コスト平均法」による投資である。買付のタイミングを分散させる事により、リスクも分散され、買付価格が平均化されるという考え方である。「つみたてNISA」では、こうした投資の大原則に立ち、投機では無く、資産運用としての投資を根付かせたいという考えに基づいており、若年層からの資産形成を促す効果もあると期待されている。

制度利用者は銀行や証券会社から1社を選び、専用口座の開設を行う事となる。途中での金融機関の変更は可能であるが、変更の申し込みがその年の9月末までとなっていたり、変更前の金融機関でその年の買付実績があったりする場合、変更後金融機関での買付は翌年以降となる等、制約も多い。従って、申し込む金融機関の選定は慎重に行ったほうが良いと言えるだろう。

「つみたてNISA」の金融機関選び 銀行で口座開設するメリットとは?

申し込む金融機関を決めるにあたり、銀行にするか、証券会社にするかで頭を悩ませる人も多いだろう。それぞれにメリットはあるが、今回は銀行で「つみたてNISA」を始めるメリットを紹介する。

銀行で「つみたてNISA」を始めるメリットとして、まず挙げられるのは、預金口座と一括して管理する事が出来る点である。取引のある銀行で「つみたてNISA」の口座を開いた場合、一つの画面で資産を一元管理する事も可能である。預金口座から資金を移動させずに買付代金を引き落とす事も出来る為、管理に掛かる手間は非常に少ない。

証券会社でも銀行の預金口座から買付代金を引き落とす事は可能であるが、管理面では、銀行の預金口座と証券会社の口座を別々に管理する必要がある。自身の資産を分かりやすく管理したい場合は、日常的に使う銀行で「つみたてNISA」を始める事が望ましい。

心理的なハードルの低さもメリットとなりうるだろう。「つみたてNISA」の目的として、投資に関心の薄かった層に対し、資産形成の手段としての長期投資を根付かせるという意味合いがある。「つみたてNISA」を検討している人の中には、投資未経験者も多いだろう。そうした投資未経験者にとって、いきなり証券会社に口座を作るという事に抵抗を感じる人も少なくないと見られる。まずは気楽に「つみたてNISA」を始めたいという人は、銀行で始めてみてはいかがだろうか。

「つみたてNISA」では対象商品が限られている。分散投資の観点からも、商品ラインアップが豊富な金融機関のほうが多様な選択肢を選べ、高い分散効果を発揮できる可能性がある。商品の豊富さは、金融機関選定の重要な要素となるだろう。現状では、ネット証券が対象商品を豊富に揃えており、ラインアップではこちらに分がある。ただ、ラインアップをそろえ、選択肢を多く用意している銀行も少なくない。対象商品の取扱本数が多い銀行をモーニングスターWebサイトをもとに紹介しよう。

スルガ銀行(取扱本数18本)

モーニングスターWebサイトをみると、12月12日時点で取扱本数の最も多い銀行はスルガ銀行 <8358> であり、その数は18本となっている。

同行は静岡県沼津市に本店を置く地方銀行であるが、首都圏等にも多くの支店を構えている。様々な施策を行う事で存在感を示している銀行であるが、「つみたてNISA」においても、他の銀行を凌ぐラインアップを誇っている。

スルガ銀行の特徴はパッシブ型と呼ばれるインデックス投資信託の豊富なラインアップに加え、アクティブ型投資信託に、人気の高いレオス・キャピタルワークスの「ひふみプラス」を持つ点にあろう。同ファンドは日本株に投資するアクティブファンドの中でも、その運用実績から高い人気を誇っている。インデックスファンド中心の運用になりがちな「つみたてNISA」において、アクセントとなり得るラインアップを持っている事は重要であろう。

山口銀行 もみじ銀行 北九州銀行(取扱本数11本)

山口フィナンシャルグループ <8418> 傘下の地方銀行3行は取扱本数が11本と、スルガ銀行に次いで豊富なラインアップを誇る。山口県に地盤を置く山口銀行、広島県に地盤を置くもみじ銀行、福岡県に地盤を置く北九州銀行である。金融持株会社の傘下に地方銀行が3行ぶら下がる形となっているが、グループ全体で「つみたてNISA」に力を入れているようだ。

対象ファンドは3行共同じでインデックスファンドのみとなっているが、株式型からバランス型まで取り揃えている。

富山銀行(取扱本数11本)

富山銀行 <8365> も11本の取扱本数を誇っている。国内最小規模の地方銀行として知られており、県外店舗は石川県金沢市に1店舗を構えるのみである。地域密着型の地方銀行であるが、「つみたてNISA」には積極的に取り組んでいる。

11本の対象ファンドは複数の運用会社から選ばれている。また、アクティブファンドである日興アセットマネジメントの「年金積立Jグロース」も含まれており、幅広い選択肢を提供している点が特徴であろう。

横浜銀行(取扱本数10本)

コンコルディア・フィナンシャルグループ <7186> 傘下であり、地方銀行の雄としても知られる横浜銀行は10本のファンドを取り揃える。

同行のラインアップの特徴は基本的なインデックスファンドに加え、投資家人気の高いアクティブファンドを3本取り扱っている点にある。コモンズ投信の「コモンズ30ファンド」、セゾン投信の「セゾン 資産形成の達人ファンド」、「セゾン バンガード・グローバルバランスファンド」である。インデックスファンドだけでなく、人気の高いアクティブファンドで積極的に運用を行いたい人には良い選択肢となるだろう。

また、神奈川県を中心とした首都圏に多くの店舗を構えている事もメリットと言える。

南都銀行(取扱本数10本)

奈良県に地盤を置く南都銀行 <8367> も10本のファンドを揃える。奈良県唯一の地方銀行として、県内だけではなく、大阪府や京都府にも積極展開を行っている。

取扱ファンドはインデックスファンドのみとなるが、三菱UFJ国際投信の「eMAXIS」シリーズを中心に据え、バランス型ファンドを充実させている。

イオン銀行(取扱本数9本)

イオングループのイオンフィナンシャルグループ <8570> 傘下のイオン銀行は「つみたてNISA」用に9本のファンドを取り揃える。

8本のインデックスファンドに加え、アクティブ型投資信託に、人気の高いレオス・キャピタルワークスの「ひふみプラス」の選択肢を用意する。バランス型運用の中にアクセントを加える事が可能である。

同行では、NISA口座の開設者向けのキャンペーンも用意する。2017年12月31日迄に同行でNISA口座を開設された方に電子マネーWAONポイントをプレゼントしている。「つみたてNISA」の開設にキャンペーンを用意している銀行は少なく、力の入れ具合が見て取れる。キャンペーンは年内で終了する予定となっており、せっかくなら同キャンペーンを活用したいという方は急いだ方が良いだろう。

青森銀行(取扱本数9本)

青森県と北海道の函館市に地盤を置く青森銀行 <8342> も9本のファンドを並べる。

インデックスファンドは三菱UFJ国際投信の「eMAXIS」シリーズのバランス型ファンドを中心に、アクティブファンドにはレオス・キャピタルワークスの「ひふみプラス」を用意した。人気の高いファンドでの運用が可能である。

福岡銀行 熊本銀行 親和銀行(取扱本数9本)

ふくおかフィナンシャルグループ <8354> 傘下の地方銀行3行も取扱本数は9本となっている。福岡県福岡市に地盤を置く福岡銀行、熊本県熊本市に地盤を置く熊本銀行、長崎県佐世保市に地盤を置く親和銀行の3行である。こちらもグループ全体で共通の方針を持って「つみたてNISA」に取り組んでいる。

3行ともラインアップは同じとなっており、その特徴は9本中4本がアクティブファンドとなっているところにある。レオス・キャピタルワークスの「ひふみプラス」、コモンズ投信の「コモンズ30ファンド」、セゾン投信の「セゾン 資産形成の達人ファンド」、「セゾン バンガード・グローバルバランスファンド」の4本が対象となっている。人気の高いアクティブファンドを多く揃え、アクティブファンドの品揃えでは銀行随一となっている。

四国銀行(取扱本数9本)

高知県高知市に本店を置く四国銀行 <8387> も取扱本数は9本となっている。

同行は9本中6本をバランス型ファンドとしており、国内株式型、先進国株式型、新興国株式型はそれぞれ1本ずつとなっている。選択肢を抑え、投資未経験者でも分かりやすいラインアップにしている点に特徴があると言えよう。また、「つみたてNISA」の口座開設者を対象に、現金500円をプレゼントするキャンペーンも行っている。対象は2018年6月29日迄に申込みを済ませ、月額5000円以上の積立投信契約をされた人となっている。

ゆうちょ銀行(取扱本数8本)

ゆうちょ銀行 <7182> も8本の対象商品を取り扱っている。国内で2万4000を超える郵便局を含め、全国に張り巡らせたネットワークで銀行としての利便性は申し分ない。

取扱ファンドには6本のインデックスファンドに、セゾン投信の「セゾン 資産形成の達人ファンド」、「セゾン バンガード・グローバルバランスファンド」のアクティブファンド2本を加えた。選択肢の幅と銀行としての使い勝手を考えれば、候補として上位に来るであろう。また、2018年1月4日~3月30日迄に口座開設を行い、2018年中に買付を行った方を対象に、抽選で250人に現金5000円が当たるキャンペーンも開催している。

三菱UFJ信託銀行(取扱本数8本)

三菱UFJフィナンシャルグループ <8306> 傘下の三菱UFJ信託銀行も「つみたてNISA」用に8本のファンドを揃えた。全国の主要都市に店舗を構えており、銀行としての利便性に疑うところはないだろう。

取扱ファンドは8本中5本をバランス型ファンドとしており、国内株式型、先進国株式型、新興国株式型はそれぞれ1本ずつとなっている。バランス型ファンドに三菱UFJ国際投信の「eMAXIS」シリーズを並べ、分かりやすいラインアップとなっている。

メガバンク

メガバンクでは、みずほ銀行が5本、三菱東京UFJ銀行が4本、三井住友銀行が3本と取扱本数を抑えたラインアップとなっている。ラインアップではネット証券や地方銀行に劣るものの、これには理由があるようだ。メガバンクでは、本数を敢えて絞り込む事によって、投資未経験者が商品を選びやすくなるという判断の下、敢えてラインアップの絞込みを行っている。

メガバンクをメインバンクとして使う人は多いであろう。全国に支店網を持ち、インターネットバンキングの操作性も申し分無いと言える。そういう意味では、メガバンクで「つみたてNISA」の口座を開設する事のメリットは非常に大きい。絞り込んだ商品ラインアップに不満が無い人であれば、メガバンクは非常に有力な候補であるだろう。

商品ラインアップと資産管理の利便性 金融機関選びでは総合的な判断を

銀行によって、「つみたてNISA」対象ファンドの取扱本数やそのラインアップの種類は千差万別である。取扱本数や種類をしっかりと把握した上で、金融機関を選択する事が重要だ。メガバンクと比べ、地方銀行ではラインアップに趣向を凝らしているケースも散見される。深く考えずにメガバンクを選択し、いざ投資をする時に困るという事がないように、金融機関を選ぶ際は、取扱商品のラインアップに着目したい。

一方で、「つみたてNISA」の対象商品には、細かい規定があり、対象商品となっている事自体が優良ファンドであるという考え方も重要である。金融庁によると、公募株式型投資信託の場合では、次の要件を全て満たす事が求められている。

  • 販売手数料がゼロ(ノーロード)
  • 信託報酬が一定水準以下(国内株式のインデックス投信の場合、年率0.5%以下)
  • 顧客一人ひとりに対し、過去1年間に負担した信託報酬の概算金額を通知
  • 信託期限が無期限、または20年以上である事
  • 分配頻度が毎月でない事
  • ヘッジ目的の場合を除いて、デリバティブ取引による運用を行っていない事

健全な長期積立投資を行う為、対象商品には様々な規定があり、これらを満たしたファンドのみが金融庁に登録されるのである。つまり、対象商品となっている時点で長期投資に適したファンドであると言える。また、対象商品の多くはインデックスファンドであり、ベンチマークも同じものを採用しているケースも多い。

「つみたてNISA」の対象商品は100本を越えており、ネット証券では多くの商品を扱っている会社もある。取扱本数だけで見れば、ネット証券で口座開設を行う方が良いと見られがちであるが、商品の差は僅かであるという見方が出来る事も頭に入れておきたい。取扱本数が5本以上の銀行であれば、国内株式型から先進国株式型、新興国株式型、バランス型と一通りの資産を網羅する商品を取り揃えている事がほとんどである。投資資産毎に最低限の分散が出来れば、問題ないと割り切る事も出来よう。また、運用に差が出るアクティブファンドについて、自信の気に入ったアクティブファンドを持つ金融機関を選ぶという方法を選択する事も出来るだろう。

銀行では、預金口座から「つみたてNISA」まで、資金を一元管理出来るというメリットがある。日常的に利用しているメインバンクであれば、その管理に掛かる手間は非常に少なくなる。「つみたてNISA」対象商品のラインアップと銀行としての利便性、資産管理の手間を総合的に考えて金融機関を選びたい。(ZUU online編集部)