「つみたてNISA」がいよいよ2018年1月からスタートする。投資経験者はもちろん、投資未経験者も含め、資産運用としての積立投資が広がる事に期待が掛かっている。「つみたてNISA」を活用するにあたり、商品選びで頭を悩ませている方も多いのではないだろうか。

商品選びでは、総合金融情報を提供するモーニングスターが投資信託の運用成績評価基準として用いているモーニングスターレーティングも参考となるだろう。100本を越す「つみたてNISA」の対象商品の内、レーティング上位の投資信託を紹介する。

「つみたてNISA」の対象商品とは?

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(画像=PIXTA)

まず「つみたてNISA」では、全ての投資信託が対象となるわけではない点に注意が必要だ。「つみたてNISA」は長期・分散投資を原則とした制度であり、それに適した商品のみが対象商品として認められる事となる。

対象商品となるには、金融庁への届出が必要となり、次のような条件をクリアした商品のみが対象商品としての登録を認められる。

  • 販売手数料がゼロ(ノーロード)
  • 信託報酬が一定水準以下(国内インデックスファンドは年率0.5%以下、国内アクティブファンドは年率1.0%以下など)
  • 顧客一人ひとりに対し、過去1年間に負担した信託報酬の概算金額を通知
  • 信託期限が無期限、または20年以上である事
  • 分配頻度が毎月でない事
  • ヘッジ目的の場合を除いて、デリバティブ取引による運用を行っていない事

他にも細かな条件はあるものの、簡単に言うと、コストを抑え、デリバティブ取引のような過度にリスクの高い取引や、毎月分配型のような複雑な仕組みを持たない投資信託が対象となる。

このような条件をクリアした投資信託が対象商品となる為、「つみたてNISA」の対象商品となっている事をもって健全な投資信託であると言う事も出来るだろう。ただ、「つみYたてNISA」の対象商品には、既に100本以上の投資信託が登録されている。特に投資未経験者にとってみれば、ここから購入商品を絞り込む作業は簡単な事ではない。

悩ましい投資商品選び コストと過去の実績に注目

投資信託を選ぶにあたり、注目すべきポイントは、コストと過去の実績である。

まずコストについてであるが、投資信託には買付や売却時に掛かる手数料と、運用期間中に掛かる信託報酬等がある。「つみたてNISA」の場合は、対象商品の要件として、販売手数料が掛からない事が定められており、運用期間中に掛かるコストにのみ注意すれば良いだろう。

また信託報酬についても、一定水準以下に抑えられている事が要件となっており、ここでの差はつきにくい。もちろん、年率換算での差は僅かでも、長期間で見れば大きな差に繋がるケースもあるが、同じ性質をもつ商品同士で比較し、大きな差が無ければ良いというスタンスでも問題は無いだろう。

問題は過去の実績である。ここは商品によって大きく差のつくポイントとなる。投資信託への投資は、言い換えれば、運用会社へ運用を任せる事である。運用会社の腕前が実績に直結するのである。アクティブファンドであれば、如何にリターンを残せているか。インデックスファンドであれば、如何にベンチマークに沿った運用が出来ているかである。将来は読めないという事が投資の世界における大原則である。不確実な将来を予測する為の材料として、過去の実績が重要となる。

過去の実績を計る上で参考となるのが、総合金融情報を提供するモーニングスターが算出するモーニングスターレーティングである。

モーニングスターレーティングとは?

モーニングスターレーティングとは、投資信託の過去の実績を客観的に判断する際に活用される指標である。リターンにリスクはつきものだが、同じリターンを得るならば、リスクは少ない方が良いという考え方に基づいており、投資信託を47分類し、同じ分類の商品を相対的に評価している。3年以上の運用実績がある投資信託を対象に、過去3年、5年、10年といったスパンでの運用成績やリスクを総合的に判断している。

レーティングは★~★★★★★の5段階に分けられており、上位10%以内の商品が最高評価(★★★★★)、上位32.5%以内の商品が次点(★★★★)といった具合である。

投資信託の過去の実績が一目で分かる、簡易的で使い易い指標であると言えよう。「つみたてNISA」の対象商品でも、レーティングが公表されているものは多くある。レーティングはモーニングスターのホームページで確認する事が出来る。もちろん、過去の実績は将来の運用成績を必ずしも保証するものでは無い事には注意が必要だが、商品選びをする際の一つの指標としては十分に活用する価値がありそうだ。

次に「つみたてNISA」の対象商品の内、レーティング上位の商品を個別に紹介する。

セゾン 資産形成の達人ファンド(★★★★★)

一つ目の五つ星ファンドは、独立系運用会社であるセゾン投信の運用する「セゾン 資産形成の達人ファンド」である。国内外の株式を中心とした分散投資を行うアクティブファンドである。

直近の運用レポートによると、投資地域は北米が約45%、欧州が約27%、日本が約12%、新興国が約15%となっている。資産配分に関する投資方針の開示は行っていないが、概ね各国の時価総額に沿った比率での運用を行っていると見られる。また、相場状況によっては、債券での運用も行うとしているが、現状では株式中心の運用となっている。

11月末時点での実績では、3年間のトータルリターンが年率で9.35%、5年間だと年率21.30%となっている。モーニングスターのカテゴリーでは、日本を含む国際株式型に分類されているが、3年、5年共にカテゴリーの平均リターンを大きく上回っている。ベンチマークを設けないアクティブファンドであるが、カテゴリー平均を上回る実績を残してきている点が高レーティングにつながっている。

コスト面では、信託報酬が年率1.35%(税込)と「つみたてNISA」対象商品の中では高い部類に入る。ただ、国際株式型という事を加味すれば、決して高い比率とは言えず、リターン実績も残している点からも許容範囲と考えられるだろう。

年金積立Jグロース 『愛称:つみたてJグロース』(★★★★★)

日興アセットマネジメントの運用する「年金積立Jグロース」も五つ星を獲得している。投資対象は国内株式となっており、TOPIXをベンチマークに置き、それを上回る運用成績を目指すアクティブファンドである。

直近の運用レポートによると、投資資産の95%近くが東証一部の株式となっている。ただ、その中でも成長性が高く、株主への利益還元に期待が出来る銘柄をボトムアップアプローチによって選び出して投資を行っている。11月末時点の組入比率が高い銘柄には、マクロミル <3978> や東証2部の朝日インテック <7747> 等、時価総額等には拘らない独自の銘柄選定も目立つ。

モーニングスターのカテゴリーでは、国内大型グロース株式型に分類されており、11月末時点での実績では、3年間のトータルリターンで年率14.35%、5年間で年率26.02%とカテゴリーの平均リターンを上回る実績を残している。ベンチマークであるTOPIXを上回る運用も行えており、銘柄選びに定評のあるアクティブファンドであろう。

信託報酬は年率0.89%(税込)となっており、インデックスファンドと比較すれば高く見えるが、銘柄選定にコストの掛かるアクティブファンドである事を考慮すれば、及第点であろう。

ダイワ・ライフ・バランス50/ダイワ・ライフ・バランス30(★★★★★)

大和証券投資信託委託の運用する2つのファンドも五つ星を獲得している。共に国内外の株式や債券に分散投資を行うバランス型のファンドであり、資産毎にインデックス運用を行っている。ファンド名についている数字は株式比率を表している。

「ダイワ・ライフ・バランス50」は、株式と債券を50:50の比率で運用する事を基本方針としている。細かい内訳は日本株が30%、外国株式が20%、日本債券が40%、外国債券が10%である。

モーニングスターのカテゴリーでは、バランス型に分類されている。11月末時点での実績では、3年間のトータルリターンは年率4.94%、5年間で年率11.42%となっている。5年間の実績では、カテゴリーの平均リターンを下回っているものの、このファンドには資産価格の変動幅であるリスクが同カテゴリー内でも小さいという特徴がある。こうした点も踏まえ、総合的に見て、高レーティングとなっているようだ。

「ダイワ・ライフ・バランス30」は、株式と債券を30:70の比率で運用する方針を掲げる。内訳は、日本株が20%、外国株式が10%、日本債券が55%、外国債券が15%である。

モーニングスターのカテゴリーでは、安定成長バランス型に分類されている。11月末時点での実績では、3年間のトータルリターンは年率3.53%、5年間で年率8.21%となっており、「ダイワ・ライフ・バランス50」同様、5年間の実績ではカテゴリーの平均リターンを下回る。こちらもリスクの小ささを含めた総合的な判断による高レーティングとなっている。

ひふみ投信(★★★★)

独立系の運用会社であるレオス・キャピタルワークスの運用する「ひふみ投信」は四つ星のレーティングを獲得している。国内の中小型株を中心に、割安株を発掘する目利きに長けたアクティブファンドとして注目が集まっている。

直近の運用レポートによると、投資資産の80%強を東証一部の株式が占めているものの、マザーズやJASDAQにも資産を振り向けている。11月末時点の組入比率が高い銘柄には、共立メンテナンス <9616> やあいホールディングス <3076> 、クレハ <4023> といった時価総額3000億円未満の中小型株も並び、独自のリサーチから割安株を発掘する方針を貫いている。また、同ファンドは「守りながらふやす」というコンセプトも持っており、相場変動時には現金比率を高める戦略を取る事もある。2010年頃には現金比率を25%以上に高めていた事もあり、柔軟な運用を行うファンドである。

モーニングスターのカテゴリーでは、国内小型グロース株式型に分類されており、11月末時点での実績では、3年間のトータルリターンは年率21.53%、5年間で年率28.64%となっている。カテゴリー内の平均リターンは僅かに下回るものの、ベンチマークであるTOPIXを長年に渡り大きく上回る運用を続けている点と、カテゴリー内での相対的なリスクの低さが総合的に評価されたレーティングとなっている。

「ひふみ投信」はレオス・キャピタルワークスでしか購入出来ないが、姉妹ファンドである「ひふみプラス」は他の金融機関にも取り扱いがある。投資資産は同様であり、こちらも四つ星のレーティングを獲得している。

ニッセイ外国株式インデックスファンド(★★★★)

ニッセイアセットマネジメントの運用する「ニッセイ外国株式インデックスファンド」も四つ星ファンドの一つである。外国株式への分散投資を行い、MSCIコクサイ・インデックス(配当込み、円換算ベース)をベンチマークに置くインデックスファンドである。

注目すべきはそのコストの低さである。信託報酬は年率0.20%(税込)となっている。一般的にインデックスファンドは、銘柄選定等の手間が少なく、低コストでの運用が可能であるが、外国株式への投資がここまでの低コストで可能であるという点は特筆すべきものである。

投資対象は日本を除く先進国株式が中心となっており、米国が3分の2近くを占めている。モーニングスターのカテゴリーでは、日本を含む国際株式型に分類されており、11月末時点での実績では、3年間のトータルリターンが年率で5.60%とカテゴリーの平均リターンを上回る。ベンチマークであるMSCIコクサイ・インデックス(配当込み、円換算ベース)との乖離も少なく、理想的なインデックスファンドと言えるだろう。低コストで国際分散投資が可能なファンドとして、検討する価値がありそうだ。

野村インデックスF・内外7資産バランス・H型 『愛称:Funds-i 内外7資産バランス・為替ヘッジ型』(★★★★)

野村アセットマネジメントの運用する「野村インデックスF・内外7資産バランス・H型」も四つ星ファンドとなっている。このファンドの特徴は、徹底した分散投資戦略にある。資産配分の基本方針として、株式、債券、REITの3資産を均等に保有する事を目指している。また、各資産についても、株式は国内株式と先進国株式、債券も国内債券、先進国債券、新興国債券、REITも国内REITと海外REITをそれぞれ均等に保有するようバランスを取っている。国内外の7資産をバランス良く保有する事に特化したファンドであり、これ1本で分散投資が可能となる。

各資産のインデックスファンドへ投資を行う為、コストが割安に抑えられている点も重要である。信託報酬は年率0.54%(税込)と国内外の様々な資産に投資するバランス型ファンドの中では割安である。

モーニングスターのカテゴリーでは、バランス型に分類されている。11月末時点での実績では、3年間のトータルリターンが年率で4.53%とカテゴリーの平均リターンを上回る。また、徹底した分散投資により、バランス型カテゴリーの中でも資産価格の変動幅であるリスクが小さくなっている。長期・分散投資は投資の基本であるが、多くの資産を持つと管理が面倒だという方は、このファンドを検討してみても良いだろう。

レーティングがすべてではないが……

モーニングスターレーティングで評価の高いものをいくつか紹介したが、他にも「つみたてNISA」の対象商品で高レーティングのものはいくつもある。100本を越える対象商品全てを精査する事は非常に困難な作業となる。レーティングを基にしたスクリーニングを行う事等も投資資産の選定に役立つかもしれない。

注意すべき点は、レーティングはあくまでも過去の実績に基づくものであり、将来の運用成績を保証するものでは無い点である。今後の運用実績次第では、レーティングが変更となる可能性も十分にある。

また、レーティングはあくまでも総合的な判断に基づくものであるという点も重要だ。トータルリターンだけで無く、資産価格の変動幅であるリスクの大きさも加味したものとなっている。高いリターンを追及するのであれば、敢えてリスクの高い商品に投資を行う事が必要となる場合もある。レーティングの星の数だけでなく、投資資産や過去のトータルリターン、リスクの大きさを表す標準偏差といった細かな項目にも目を通す事が望ましいだろう。

「つみたてNISA」の目的は国民に資産運用としての投資を根付かせる事にもある。レーティングだけに頼らず、自身の投資資産をしっかりと分析する思考を一人ひとりが持つようになれば、投資の裾野は広がるだろう。(ZUU online編集部)