あまり表に出ることのないファイナンシャル・プランナー(FP)という職業の女性たちに、普段どんな相談を受けているのかリレー日誌形式でつづってもらう連載。FP今関さんのもとを訪れたのは、結婚して専業主婦になった32歳の女性。結婚後もお金についてご主人と話せず、自身の貯蓄を切り崩して家計にあてていると悩んでいました。
結婚して専業主婦になった女性

季節は秋になり、家の前の桜の木の葉が紅くなりはじめた頃、専業主婦のサトミさん(仮名、32歳)が筆者のもとへ相談に訪れました。
「家計についてのご相談かな?」と思っていたら、少しばかり違っていました。
なんと、結婚して半年がたつのにご主人の収入も貯蓄額もわからないと言うのです。
結婚したのにお金の話がしづらい関係
サトミさんとご主人は友人の紹介で出会い、1年の交際を経て結婚することになりました。早く子供を望んでいたこともあり、サトミさんは結婚を機に長年勤めていた会社を退職して専業主婦となることにしました。
サトミさんは入籍前から率先して結婚式の準備を進めていましたが、だんだん「彼の収入や貯蓄はどのくらいなんだろう?」と気になってきました。
そこで結婚してすぐ、ずっと気になっていたお金について「どれくらい貯蓄はあるの?」と聞いてみましたが、「ちゃんと貯蓄しているから大丈夫」と流されてしまいます。
それ以来、お金について聞けなくなってしまったそうです。

このままだと貯蓄が底を尽きる
結婚後、家計管理はどうしているのかと聞いてみたところ、住居費、光熱費などはご主人が支払い、食費とサトミさんが日常的に使うお金はサトミさんの貯蓄から支払っているとのこと。
「結婚した途端『食費ちょうだい』って、なんかお金くれっていう感じがして……」
結婚当初は、いつか相手から食費だよって渡してくれるのを期待していましたが、結局半年が過ぎても変わらず、このままのペースだと年内には貯蓄が底をつくので相談に来た、ということでした。
仕事を辞めたことを後悔
サトミさんは、会社を退職した事をとても後悔していました。「働いていた頃は当たり前のようにお給料が入っていたので、お金の事で悩む日がくるとは思いませんでした。こんなことだったら、せめて出産してから退職するかどうか考えるべきでした」と。
ご主人に食費について尋ねてみては?と提案しても、「言えません。だからお願いがあって相談にきました」。
私はサトミさんに、「お願いとはなんでしょう?」と聞いてみました。(後編に続く)
※この連載は、奇数話がお悩み紹介の【前編】、偶数話が解決編の【後編】になっています。
今関 倫子
外資系保険会社勤務中にファイナンシャル・プランナー(FP)を目指し、AFP資格取得後、独立系FP事務所に転職。女性を中心に年間のべ200件以上のマネー相談を受ける。独立後は個人相談、執筆、セミナーを中心に活動。「FP Cafe」登録FP。
(提供:DAILY ANDS)
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