「世界で最も住宅市場が高い都市」は8年連続香港で、税引き前世帯収入(中央値)の19.4倍であることが分かった。

トップ10(全12都市)に米国から7都市もランクインしており、そのうちハワイをのぞく6都市がカリフォルニア州に集中している。

ランキングは米国のコンサルティング企業ウェンデル・コックス・コンサルタントが毎年発表している「デモグラフィア・インターナショナル・ハウジング・アフォーダビリティー調査」 に基づいて作成されたもので、2018年版では世界9カ国、293の大都市の住宅市場を対象としている。

世界で住宅価格が最も高い20都市

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(画像=Thinkstock/GettyImages)

20位(2017年28位)  トロント(カナダ) 7.9倍
19位(26位) ビクトリア(カナダ) 8.1倍
17位(16位) サンルイスオビスポ(米国) 8.3倍
17位(22位) サンタローザ(米国) 8.3倍
15位(16位) ゴールドコースト(オーストラリア) 8.4倍
15位(23位) サンディエゴ(米国) 8.4倍
14位(24位) ロンドン(英国) 8.5倍
13位(6位) オークランド(ニュージーランド) 8.8倍

10位(8位)タウランガ(ニュージーランド) 9.1倍
10位(14位) サリナス(米国) 9.1倍
10位(9位) サンフランシスコ(米国) 9.1倍
9位(12位) ホノルル(米国) 9.2倍
7位(12位) ロサンゼルス(米国) 9.4倍
7位(5位)サンタバーバラ(米国) 9.4倍
6位(11位) メルボルン(オーストラリア 9.9倍
5位(10位) サンノゼ(米国) 10.3倍
4位(4位) サンタクルーズ(米国) 10.4倍
3位(3位) バンクーバー(カナダ) 12.6倍
2位(2位) シドニー(オーストラリア) 12.9倍
1位(1位) 香港(中国) 19.4倍

香港の価格高騰はとまらない? 抑制対策も効果なし

この調査は各都市の不動産価格の中央値を世帯収入の中央値で割り、低・中所得層にとってどれぐらい住宅が手に届きやすいかを判断している。「指数=世帯収入の中央値に対する不動産価格の倍率」が3.0以下は「手が届く」、3.0〜4.0は「手が届きにくい」、4.0〜5.0は「ほとんど手が届かない」、5.0以上は「非常に手が届きにくい」といえる。

今年も予想通り—といった印象の香港は、昨年から0.7ポイント増の19.4倍と、最高指数の目安を大きく上回っている。香港では住宅価格高騰対策として、不動産の購入制限や担保融資利率の引上げなどを過去数年にわたり実施しているが、深刻な土地不足と中国本土からの需要を前に価格は跳ね上がるばかりだ(ロイター2017年5月22日付記事 )。

中国本土の裕福な投資家による旺盛な購買意欲が不動産価格を高騰させているのはオーストラリアや米国、英国などの大都市でも同様だが、香港に関しては物理的な近さや文化的な親近感、米ドル・ペッグ制度(2種類の通貨の為替変動を一定に保つ制度)など、様々な要因が対策の効果を弱めている。

香港の不動産価格が上がれば上がるほど、これらの投資家の目には魅力的な投資先として映るのかも知れない。大きな外的衝撃あるいは中国政府が香港への資金流入抑制に本腰を入れないかぎり、価格は今後も上昇を続けると予想されている。

大阪・神戸・京都は「最も住宅が手に届きやすい大都市」?

住宅価格に高騰が見られるのはカリフォルニアも同じだ。サリナス、サンタバーバラ、サンタクルーズを含めた6都市がトップ10にランクインしている。過去数年にわたりサンフランシスコ周辺は「住宅バブル期に突入した」といわれているが、現在はサリナスのような人口15万人にも満たない都市ですらマイホームをもつには年収の9倍のお金がいる。

ホノルル、ロサンゼルスの高騰も続いているが、ホノルル、サンフランシスコは昨年から0.2ポイント減、ロサンゼルスは0.1ポイント減とわずかながらに不均等さが縮小された。 オーストラリアはシドニーとメルボルン、カナダはバンクーバーが引き続きトップ10に。ニュージーランドはオークランド(昨年6位)に代わり、北島の北東部にある人口1.1万人の小都市タウランガが10位に浮上。

各国主要都市ごとの住宅価格を見てみると、オーストラリア(5.9)やニュージーランド(5.8)は非常に住宅価格が高く、シンガポール(4.8)、英国(4.5)、カナダ(4.3)、米国(3.8)、アイルランド(3.7)と続く。

日本の指数は4.2。つまり「住宅がほとんど手が届かない」ということになるが、対象となったのは東京・横浜と大阪・神戸・京都の2つの地域のみだ。地域によって数字は大差が見られ、大阪・神戸・京都の指数が3.5で世界の大都市の中でも「最も住宅に手が届きやすい」とされているのに対し、東京・横浜の指数は4.8とかぎりなく「非常に手が届きにくい」ラインに近い。

米国、カナダには「最も住宅が安い都市」も多い?

しかし米国やカナダのすべての都市で住宅が高いわけではない。「最も住宅が安い23都市」のうち22都市は米国(16都市)とカナダ(6都市)が占めている。

「最も住宅が安い都市」は米国オハイオ州北東部ヤングスタウンで、年収の1.9倍で家が買える。次いでカナダのニューブランズウィック州南東部モンクトン、米国ニューヨーク州中央部ユーティカ(各2.1)、カナダのアルバータ州北東部フォートマクマレー、ニューブランズウィック州都フレデリクトン、米国イリノイ州ピオリア郡ピオリア(各2.1)などだ。唯一他国の都市でトップ20入りしたのはアイルランドのマンスター地方リムリックのみとなった。(アレン・琴子、英国在住フリーランスライター)