起業で成功したいならば、野望やアイデアだけではなく、市場の需要を見極めるマーケティングスキルも重要だ。今年起業を考えているのならば、今年大きな波にのりそうな産業に挑戦してみるのもいいだろう。

国外ではすでにVRバーやeスポーツ賭博プラットフォーム、スーパープレミアム・ジン(蒸留酒)、ヘルシーなファストフードなど、新しいアイデアをもったスタートアップ事業が続々と生まれている。日本市場向けにアレンジは必要だが、4つのアイデアと実例を紹介しよう。

eスポーツ賭博プラットフォーム――賭博禁止の日本では景品・サービスで代用?

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(画像=Thinkstock/GettyImages)

2017年、世界中で15億ドルの収益を記録したeスポーツ(スーパーデータ・リサーチ2017年12月データ)。2020年にかけて23億ドル(26%増)に伸びると期待されており、日本でも2024年のパリ五輪を目途にじわじわと盛り上がる可能性がある。

欧米ではすでに「ベットウェイ」「GGベット」「スピンパレス」といったeスポーツ専用の賭博サイトが人気を集めている。

まだまだ競争率が低い市場であるため、狙い目ではあるものの、残念ながら日本で同様の賭博プラットフォームを運営すると、現段階では違法行為と見なされる。日本の法律では、賭博罪(刑法185条。「賭博をした者は、50万円以下の罰金又は科料に処する。ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りでない」)で、賭博に金銭を賭けることが違法と定められているからだ。賭けるものが金銭ではない「一時娯楽物」は例外となるため、景品やサービスといった形で代用することはできそうだ。

宝くじや競馬、パチンコなどは特別法によって例外的に許可されているので、eスポーツが日本でも浸透すれば、いずれ賭博サイトも合法化されるかも知れない。

VRバー、テーマバー――アルコールを片手にVRやダーツを楽しむ

アルコールを片手にVR(バーチャル・リアリティー)を楽しむ―そんな時代がついに訪れた。スロバキアのVRBAや米国アトランタのレヴァリーでは、クラフトビールやコーヒーを飲みながらVRを体験できる。

「VRを気軽にリラックスした雰囲気で試せる、楽しめる」機会を消費者に提供する場として、今後世界中に広がっていくと予想される。

VRバーのほかにも、欧米では「テーマバー」が話題になっている。例えばダーツをテーマにしたファイトクラブダーツは、ロンドンに2軒出店。本格的なカジュアルダイニングとダーツを一度に楽しめる。卓球バーはニューヨークのスピンやパリのゴッシマ、ロンドンのバウンスなど、欧州では非常に人気がある。

またゲームショーの疑似体験も見かける。英国では90年代の人気テレビ番組「クリスタルメイズ」をテーマにしたザ・クリスタルメイズが、アトラクションとして登場。テレビと同じくチームのプレーヤーが協力し合い、4つのアドベンチャー・ステージをクリアするという体験ができる。

スーパープレミアム・ジン(蒸留酒)製造――高級感あふれるデザインからフルーツ風味まで

人気のアルコールというとビールやウィスキー、日本酒、焼酎などが思い浮かぶが、ここ数年、スーパープレミアム・ジンの製造・販売が順調に伸びている。

世界のジンの売上量は2012~16年にかけて1.2%増し、5800万ケース(容量9リットル)を記録。そのうち3239万ケースが中・高価格帯のジンだったことが、英調査企業グローバルデータが2017年11月に公表した調査報告書から明らかになっている。特に欧州でスーパープレミアムの需要が強い伸びを示していることから、今後はほかの地域に広まる可能性も高い。

2015年に販売を開始したケンブリッジシャーで製造しているドライジン・ブランド「ギヴィニティー(Givinity)」は、発売後たった6週間で国内だけではなくオランダやスペイン、イタリアなど6カ国へと出荷する人気ぶりを見せた。良質な原料はもちろん、高級な香水を思わせる容器が注目を浴びた理由のひとつだろう。レーベルには11金が使われている。700mlで48ポンド(約7377円)前後で市場に出回っている。

またラズベリーやカシスなどフルーツ風味の人気上昇が、ジン全体の売上増加に貢献している。

オーストラリアのクラフトジンメーカー、フォー・ピラーズのトレード・リレーション・マネージャー、ジョン・ワーシントン氏は、成功する秘訣のひとつとして「商品とデザインのバランス」を挙げている。多くのブランドがボトルやレーベルのデザインにこだわり過ぎて商品自体の重要さを軽視し失敗する、あるいは商品自体は非常によいものだが、デザインが消費者にアピールしないという例も多いという(ヴァ―ディクト2017年12月20日付記事)。

ヘルシーなファストフード――新鮮・高質な原料で体に優しいメニュー

ひと昔前までは「ハンバーガーやフライドチキン=不健康な食べ物」のイメージが強かったファストフードだが、社会のヘルシー志向や食の安全への意識に応え、健康を意識したメニューも増えている。例えば英国のマクドナルドでは、スナック感覚で食べれるキャロットスティック(生の人参をカットしたもの)のほか、全粒粉パンやフリーレンジエッグ(牧場などで放し飼いされた鶏が生んだ卵)を使用したメニューも用意されている。

大手チェーン店以外のファストフードでも、ヘルシー志向のものが増えている。カリフォルニアの「グリーントマト・グリル」は、健康的な原料や調理法にこだわったファストフード店だ。ほかにもとれたての野菜や新鮮な肉のみを使用して注文を受けてから手作りするミシシッピー州の「ネイティブボール」など、「体に嬉しいファストフード店」が続々と市場に進出している。 もっと手軽に事業を始めたいのであれば、ヘルシースナックの販売という手もある。グラノーラ、ナッツ、ドライフルーツなどヘルシースナックの世界の売上高は、2016年に211億ドルに成長。2025年にかけて年間成長率5.1%と予想されている(グランドビュー・リサーチ2017年5月データ)。(アレン・琴子、英国在住フリーランスライター)