「従業員が選ぶ働きたい米国のIT企業」が発表され、セールスフォース・ドットコム、Adobe、Facebookがトップ3に輝いた。

上位企業はいずれも高所得、福利厚生、ワークライフバランス、社風、職場環境、マネージメント、ほかでは得られない特典など、従業員のやる気を活性化する要素をふんだんに盛りこんでいる。

ランキングは転職・求人情報サイト「Indeed」 が、1800万人以上の従業員から寄せられたデータに基づいて作成したもの。2015年10月〜2017年12月にかけてレビューが50件以上ある企業を選択し、その中から最も評価の高いIT企業を順位付けしている。

「最も働きたいIT企業トップ15」と2018年1月30日の時点での募集募集件数

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(画像=OPOLJA/Shutterstock)

15位 アプライド・マテリアルズ(561件)
14位 Intel(706件)
13位 ラックスペース・ホスティング(87件)
12位 CISCO(684件)
11位 クアルコム(392件)
10位 Yahoo!(募集なし)
9位 ジュニパー・ネットワークス(85件)
8位 Intuit(312件)
7位 Microsoft(3500件)
6位 Apple(3000件)
5位 SAP(949件)
4位 Google(1933件)
3位 Facebook(1861件)
2位 Adobe (625件)
1位 セールスフォース・ドットコム(775件)

常に優秀な人材不足に悩むIT企業、雇用のチャンスも豊富?

データ科学者や開発者、技術者などIT関連職は、金融や医療分野と並ぶ「高所得・需要が高い人気の職業」として定着しつつある半面、慢性的に人材が不足している。

優秀な人材確保の手段として、金銭的、社会的な報酬に加え、カジュアルで親しみやすいが成長する機会に恵まれた職場環境、寛大な有給休暇など、従業員が「働きやすく、働きたくなる環境」の提供に努めている企業が多い。

有名企業になるほど就職は狭き門という印象をあたえがちだが、実際の募集件数を見ても分かるように、常に新しい人材を求めている。特にAppleやMicrosoftは募集件数が3000を超えており、実力とやる気が十分にあれば雇用のチャンスがつかめそうだ。

首位のセールスフォース、技術関連職の給与の高さが魅力?

首位のセールスフォースは「最も働きたいフォーチュン500企業ランキング」 でも、AppleやGoogleをおさえ2年連続1位だった 。多数の従業員が高評価のポイント として、「刺激にあふれた労働環境」「毎日新しいことが学べる」「チームが協力しあう職場」「仕事の質の高さ」「会社自体の業績」などを挙げている。評価5項目(ワークライフバランス・報酬・雇用保障・マネージメント・社風)の中では、報酬への評価が最も高い。

しかし一部からは好評を得ている「仕事のペースの速さ」を、「仕事がきつい」と見なす声もある。また「労働時間が長い」「チームによっては働きにくい」「成長面でサポートがない」といった不満も聞こえる。

給与は分野によって差がでる。コンピューター科学者や製品マネージャー、ソフトウェア・エンジニアは年収11.5万ドル強、製品マーケティング・マネージャーは12.2万ドル、シニアコンピューター科学者は14.4万ドルと高所得を狙える。一般的な技術スタッフは7.2万ドル、リサーチアナリストおよび製品アナリストは各9.9万ドル、データアナリストは8.9万ドルと10万ドルの大台を切る。

米国労働統計局の2016年データ によると、米国人の年間所得の中央値は4.4万ドル(週40時間勤務)というから、技術関連職はそのおよそ2〜3倍に値する。

一般事務職など技術関連以外の職業は管理アシスタントで3.9万ドル、事務長で3.1万ドルと中央値よりは低めになるようだ。

Facebookは無料の食事と通勤バスが高評価?

2位のAdobeは総合、報酬スコアともにセールスフォースと同じ。評価で負けているのは社風だけで、報酬も全般的にセールスフォースと大差ない。

「従業員が常に成長できるサポート体制が整っている」「チームワークが素晴らしい」「ヘルスケアまで万全」など多くの従業員が満足しているが、「出張が多い」「コントラクターと常勤・非常勤のあつかいに差があり過ぎる」「マネージメントからのサポートが不十分」といった不満の声も。

3位のFacebookで働く利点 として、多くの従業員が「社風」や「サポート」と並んで「無料の食べ物」「福利厚生」を挙げている。Facebooksは本社の食堂で、すべての飲食類を無料あるいは格安で従業員に提供しているほか、無料の通勤バスも運行させている。

その反面「キャリアを伸ばせない」「大人気ないマネージメントにうんざり」「性格の悪い同僚がいる」など、職場の人間関係やキャリアの展望は今ひとつという印象を受ける。

報酬はソフトウェア・エンジニアが14.1万ドル、製品マーケティング・マネージャーが15.3万ドル、エンジニアリング・マネージャーが19.5万ドルと、トップ3企業中飛びぬけて高い。受付・一般事務職の平均年間所得は5.5万ドル、プログラムマネージャーの時給は71.67ドルというから驚きだ。 5位のSAPは 本社をドイツに置く欧州最大規模のソフトウェア企業だが、このランキングではペンシルバニア州のSAPアメリカ が対象になっている。

「全従業員が満足している」企業はトップ15にも見当たらないが、従業員が恩恵を受けやすい労働環境を提供している点が共通点だろうか。(アレン・琴子、英国在住フリーランスライター)