子どもの将来のために投資や資産運用を考えている親・保護者は少なくないだろう。学資保険が頭に浮かぶところかもしれないが、「ジュニアNISA」はどうなのだろうか。また証券会社では未成年の子どものための口座を作ることができる。この2つは併用できるのだろうか?

子どもが生まれた際に知っておきたい教育資金

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(画像=PIXTA)

文部科学省の「平成28年度子供の学習費調査の結果について」(2017年12月発表)によると、幼稚園から高校まですべて公立に通った場合の学習費用総計は約540万円だという。幼稚園から高校まですべて私立の場合は、倍以上の約1770万円という結果となった。

ちなみに、大学(昼間部)に1年間通った場合の学費は、国立大学で64万7700円、公立大学で66万6300円、私立大学で136万1600円かかるという(独立行政法人日本学生支援機構「平成26年度学生生活調査」より)。ここでいう「学費」とは、授業料、その他の学校納付金、修学費、課外活動費、通学費の合計である。授業料のみの場合、もう少し金額は抑えられるはずだ。

このデータを参考にすると、幼稚園から大学まで公立学校に通った場合の学習費(1万円以下切り捨て)は、804万円となる(540万+(66万×4年間))。すべて私立の場合は、2314万円(1770万円+(136万×4年間))に膨れ上がる計算となる。

子どもが産まれて成長するまでにかかる費用は、軽く1000万円を超えるだろう。だからこそ、計画的な貯蓄や資金づくりが必要なのだ。

今回、解説する「ジュニアNISA」「未成年口座」は、ともに子ども名義で投資がおこなえ、教育資金づくりにも活用できる口座である。子どもの未来のために、または「お金のたいせつさ」を実践的に教える場として、どのように活用できるのか、探っていこう。

ジュニアNISAと未成年口座のはじまり

おとな用の一般NISAは、20歳以上の日本居住者ではないと口座が開設できない。そのため、未成年の子どもが株に興味を持っても、非課税投資枠のあるNISA口座を持つことはできなかった。そこに登場したのが「ジュニアNISA」(2016年)なのである。

これに先立ち、2015年から未成年証券総合口座(未成年口座)の受付を開始する証券会社がみられるようになる。では、ジュニアNISAと未成年口座とは、いったいどのようなものなのか。まずは未成年口座から解説していこう。

未成年口座とは何か?

未成年口座とは、「未成年の未婚者」を対象とした証券総合口座(総合取引口座)のことだ。0歳から口座開設ができるので、産まれた赤ちゃんのために口座を開設し、こつこつと子どもや孫のために資産形成がおこなえる。

口座開設には、親権者が先に証券会社に口座を開設しておく必要があり、親権者による署名・捺印などの各種手続きを経て、晴れて未成年口座は開始される。

未成年口座は、あくまでも未成年者の財産を親権者が管理する目的のためにある。そのため、常に親権者が未成年口座の取引状況などを管理・把握できるように、未成年口座のID・パスワードは、登録親権者に知らせてくれるので安心だ。

また「取引主体」は、未成年者の年齢によって異なる。取引主体とは、実際に未成年口座で発注などをおこなう人物のことだ。こちらは、証券会社によって違いがみられる。

SBI証券は、未成年者が満15歳未満ならば、取引主体は「親権者もしくは未成年後見人」、満15歳以上ならば「未成年本人または親権者」となり、楽天証券は「未成年者が満15歳以上の場合は、未成年本人が取引することも可能」としている。

未成年口座名義人が20歳を迎えた場合や、婚姻した場合は成人とみなされるので、成人用の証券口座に移されることとなる。

●未成年口座での取扱商品

SBI証券は、国内株式現物、PTS取引(SBIPTS)、単元未満株(S株)、新規上場/公募増資・売出、立会外分売、外国株式、投資信託、債券がある。

楽天証券の場合は、国内株式(現物)、IPO、PO、立会外分売、外国株式、投資信託、債券、金・プラチナ、貸株、定時為替、楽ラッブがある。

松井証券の場合は、現物取引、新規公開、公募・売出し、立会外分売、預株(よかぶ)、投資信託、米ドルMMFがある。

ジュニアNISAとは 特徴をおさえておこう

未成年口座と同じく、未成年(0歳から19歳)を対象としているが、こちらは非課税口座となる。では、どれくらいの年間非課税投資枠があり、どのような注意点があるのか調べてみよう。

●ジュニアNISAの特徴

制度そのものは、成人対象の一般NISAと似ている。年間80万円の非課税投資枠が、最大5年間毎年付与され、そこで得られた利益(譲渡益、分配金や配当金)に対する税金が非課税となるのだ。年間非課税投資枠の80万円が残った場合は、翌年度には繰り越せないが、新しい年度には、ふたたび80万円の非課税投資枠が付与されるという訳だ。

なお、ジュニアNISAで取引できる対象金融商品は、株式投資信託、国内・海外上場株式、国内・海外ETF、ETN(上場投資証券)、国内・海外REIT、新株予約権付社債(ワラント債)となっている。

●ジュニアNISA口座と課税ジュニアNISA口座

ジュニアNISA口座を開設すると、もう1つの口座「課税ジュニアNISA口座」が開設される。非課税投資枠のあるジュニアNISA口座に申し込んだつもりが、なぜ課税口座までついてくるのか、不思議に思う方もいるかもしれない。

課税ジュニアNISA口座とは、いわばジュニアNISA口座の管理用口座である。ジュニアNISA口座で買付した株式の売却金や配当金などは、課税ジュニアNISA口座で管理されるという訳だ。もちろん、課税ジュニアNISA口座でも投資をおこなうことはできる。その場合、課税対象となるので注意が必要だ。

●ジュニアNISA口座の注意点

ジュニアNISAでは、取得できる口座は、1人につき1口座となっている。複数の金融機関でジュニアNISA口座を持つことはできない。口座開設金融機関の変更も口座を廃止しなければできないうえ、口座を廃止すると、過去の利益まで課税されてしまう。たいせつな子どものお金を扱う証券会社だ。慎重に選び、口座変更による利益課税のないようにしたいところだ。

また、年間の非課税投資枠の80万円を超えた投資をおこなった場合は、超えた注文すべてが課税対象となる。さらに、ジュニアNISA口座内の損失を、特定口座・一般口座で取引された売買益および配当金との損益通算はできない。

そのほかにも注意点はある。払い出しが可能な一般NISAとは違い、ジュニアNISA口座は、口座名義人である未成年者がその年の3月31日において18歳である年の前年12月31日までは原則として18歳まで払い出しができない。災害などやむを得ない事情について税務署による確認を受けた場合を除き、この制限期間内に払出す場合は、過去に生じた配当金や譲渡益などに課税されてしまうのだ。また払出しは、口座開設者本人または、口座開設者本人の法定代理人にのみおこなえる。ジュニアNISA口座は、子どもの将来における資金づくりのためにつくられた、長期取引前提の口座なのである。

●5年後の年齢によって対処がかわるジュニアNISA口座

ジュニアNISA口座を開設した年から5年後の年齢によって、その後の対処方法がかわってくる。5年後、18歳未満の場合は「時価で課税ジュニアNISA口座に移管」と翌年の非課税枠(80万円)への移管「ロールオーバー」が選べる。ロールオーバーを選択すれば、20歳になるまでの間、一定金額非課税保有が可能だ。

では、5年後に18歳以上となっている場合はどうだろう。18歳で払出し制限が解除されるので、条件を満たしていれば、通常口座(未成年口座)の特定口座や一般口座に移管することができる。

5年後20歳以上となる場合は、20歳となって初めての1月1日を迎えるとともに、成人NISA口座が自動的に開設されるのだ。また、ジュニアNISA口座で保有している上場株式等の非課税期間が終了する際に、成人NISA口座が開設されていればロールオーバーできる。ただし、移管の上限額は非課税枠である120万円となる(成人用NISA口座の非課税投資枠と同額)。手続きには「未成年者口座非課税口座間移管依頼書」のご提出が必要となる。

家族でNISA生活

親は、一般NISA口座やつみたてNISA口座を活用し、子どもたちはジュニアNISA口座を持つことも可能なので、家族みんなでたのしみながら投資ライフがおこなえるのも、NISA口座の魅力のひとつだ。16歳ともなれば、取引主体となる証券会社が多くみられるので、投資を通した新たな親子のかたちが生まれそうだ。また株主優待を家族人数分楽しめるのも、見逃せないメリットといえるだろう。

相続対策をみすえて

大事な子どもや孫のために、より豊かな資産を残してあげたいと思う人は、多いのではないだろうか。だが実際に相続する段階で、莫大な相続税の存在を知り、相続放棄する話などをよく耳にする。だからこそ、資産の生前贈与をおこなうことは、子どもや孫へのやさしさでもあるのだ。

生前贈与は、年間110万円まで基礎控除枠があり、非課税となる。この範囲内でおこなっていくのが得策といえるだろう。

ジュニアNISAなら、年間投資可能額が80万円となっているので、贈与税基礎控除枠の110万円(年間)におさまる。子どもや孫のために、賢く資産移動が可能な金融商品のひとつなのである。

ジュニアNISAと未成年口座の併用は可能か

ジュニアNISAをはじめるにあたって、上記以外にも、条件や決めごとは多々存在する。そのひとつに、ジュニアNISA口座開設の条件として「未成年口座で特定口座を開設されている」ことをあげる証券会社の存在がある。未成年口座とジュニアNISAの併用は、この事例によって「可能」と位置づけてよいだろう。だが、あくまでも未成年口座は課税口座となるので注意が必要だ。

また子どもの教育資金として、全額をジュニアNISAや未成年口座で運用しようと考えるのは、非常に危険である。投資である以上、リスクをともなう。学資保険や貯金などで堅実に残しながら「ジュニアNISA」や「未成年口座」を活用することで、リスクの分散も可能となる。一本気に進めることなく、広い視野で計画的な商品取引をおこなっていきたい。そのなかで、少しでもお金に関するよい記憶が子どもに残せればいい。

自分名義の口座を小さい頃に両親や、祖父母が作ってくれたという想い出と、成長していくにつれて自分主導で取引ができたという自信。その2つを叶えられる口座が「ジュニアNISA」「未成年口座」なのである。もちろん、リスクを含め家族で話し合いながら進めていかなければならないことは、ここに記すまでもないだろう。(ZUU online編集部)