投資での利益にかかる税金を非課税とするのがNISA(少額投資非課税制度)だ。120万円までの投資の配当金や売買差益などの利益が5年間非課税となる。

証券会社の口座は一人で複数持つことはできるが、NISA口座は「一人1口座」だ。しかし金融機関は1年ごとに変更できる。このあたりのルールについて確認しておこう。

目次

  1. 銀行預金の利息にも税金はかかる
  2. NISA口座の開設は税務署がチェック
  3. 複数申し込んでも開設は1口座
  4. 開設後に金融機関を変えることはできる?
  5. 変更を行った場合、NISA口座はどうなる? 
  6. 変更のデメリット「ロールオーバー不可」に注意
  7. 「ジュニアNISA」「つみたてNISA」と複数で口座は開設できる?
  8. NISA口座は一人1口座だが、証券口座は複数持てる
  9. NISAの主要証券会社比較を確認する

銀行預金の利息にも税金はかかる

NISA,口座開設
(画像=PIXTA)

銀行の預貯金でつく利息も所得(利子所得)なので課税対象であり、銀行で約2割の税が源泉徴収される。そしてこれと同様に、投資で得られた利益にも税金がかかる。分配金、配当金は「配当所得」、売買差益は「譲渡所得」として課税対象となる。税率は20.315%(所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%)となることが多い。通常の取引では、利益の約2割が課税されるので、単純計算すると1万円利益が出ても、約2000円が税金として取られるということだ。

しかし、金融機関にNISA口座を開設し、その口座内での取引であれば税金はかからない。NISAは個人が投資を通じた資産形成に取り組みやすいように設けられた、特別な税優遇制度だからだ。先の例では、1万円をそのまま手にすることができる。

NISA口座の開設は税務署がチェック

NISAを始めるには、証券口座などとは別に「NISA口座」の開設を金融機関に申し込む必要がある。

金融機関は、個人の申し込みを受けると税務署にNISA口座開設申請を行う。税務署は、申し込んだ個人が他にNISA口座を開設していないかを確認して、「非課税適用確認書」を交付。非課税制度を利用するため、口座開設にこのように税務署が関与することになっているのだ。

非課税のメリットを考えると、NISA口座を複数持ちたいと考える人もいるかもしれない。しかし、税務署が二重開設できないようにチェックをしているので不可能な仕組みだ。

複数申し込んでも開設は1口座

もし同時に複数申し込み手続きをしたらどうなるだろうか。一人1口座なら問題がないので、税務署は「非課税適用確認書」の申請を受け付けた順に手続きに入る。

NISA口座が1つ開設されると、他の金融機関からの申請が届いても新たにNISA口座は開設できない。NISA口座が開設できなかった他の金融機関には、税務署から「非課税適用確認書の交付を行わない旨の通知書」が届くようになっている。

NISA口座を複数開設しようとしても1つしか認めらない。そのため、複数申し込んでも希望通りの金融機関で開設できるとは限らない。「複数OKならどの金融機関で口座を持っても構わないけど、1口座だけなら別の金融機関にしたかった」と後で気づいて困るかもしれない。日本証券業協会は、間違えて複数の口座を申し込んでしまった場合は「早急に取消しを申し出るように」とアナウンスしている。

ただし、すでに金融機関から税務署に申請が届き、処理が済んでNISA口座が開設されてしまうと取り消せない。

開設後に金融機関を変えることはできる?

NISA制度が始まった2014年の時点では、一度NISA口座を開設したら最長4年間は金融機関の変更はできなかった。しかし利便性に欠けるとの指摘もあり、15年からは1年ごとの変更が可能となった。

NISA口座の金融機関を変更したい場合、変更したい年の9月末までにその金融機関で変更手続きをする。ただしその年に金融商品を1度でも購入していたら、その年について変更することはできない。

なぜ変更する必要が生じるかといえば、金融機関によって取り扱う商品が異なるからだ。証券会社・銀行・郵便局など業態ごとの違いがある。証券会社では上場株式、株式投資信託、ETF(上場投資信託)、REIT(不動産投資信託)など幅広く購入できる。銀行・郵便局でもこれらの取り扱いはあるが、主な商品は投資信託のようだ。銀行や郵便局などなじみのある金融機関で口座を開設した後、より幅広く商品に投資したいと考えて証券会社への変更を希望する人がいるのだ。

また、証券会社同士でも扱う商品が異なっている。投資信託やETF、REITにも様々な商品があり、自分が欲しい商品をその金融機関で取り扱っているのか確認しておく必要がある。

変更を行った場合、NISA口座はどうなる? 

NISA口座の変更は、変更前の口座の中身をそっくりそのまま移動させるわけではない。変更前の口座で購入した商品は、そのままその口座で保有する。このため「NISA口座を複数持っている」状態ともいえる。

ただし、それは商品を保有している金融機関が結果として複数になったというだけで、税務署がその年の非課税枠を認めるのは変更後の口座1つだけだ。

NISA口座の開設は、税務署流にいうと「非課税管理勘定を設定した」ことになる。変更の手続きでは、変更前の金融機関のNISA口座について「非課税管理勘定廃止通知書」の交付を受ける。そして、変更後の金融機関に対して「非課税口座開設届出書」を出すとともに、変更前の金融機関から受け取った「非課税管理勘定廃止通知書」を提出する。前のNISA口座での非課税取引は終わったことを証明してから、別に新たにNISA口座を開設するような手続きとなる。

変更前のNISA口座で購入した金融商品は、変更後のNISA口座に移すことはできない。購入時にその金融機関で5年間の非課税枠をもらったので、購入時の金融機関で5年間、非課税で保有と売却をすることになる。変更後は、その金融機関での非課税口座は廃止された扱いなので追加で新規購入はできない。

口座の変更は1年ごと。新しい口座で新しい年分の非課税枠を設定することになる。したがって、同じ年に非課税枠が複数存在することはない。口座を変更しても税務署が認める非課税枠が大きくなることはないわけだ。保有に関してNISA口座が複数になったとしても、非課税枠のメリットは生じない。

変更のデメリット「ロールオーバー不可」に注意

このような変更前後の口座の取り扱いの違いに関して、気を付けたいのは「ロールオーバー」だ。非課税期間の5年間金融商品を保有していても、値上がりしなかったなどの理由でもっと持ち続けたいことも起こる。同一金融機関であれば、5年経過後の新しい年の非課税枠を使って保有し続けることが可能だ。これをロールオーバーという。

しかし金融機関を変更してしまうと、変更前の口座の金融商品を今の口座でロールオーバーはできない。。

NISAの制度も発足以来、利便性向上のため細かく変更されてきた。2015年に金融機関が変えられるようになり、2016年には非課税枠が100万から120万に拡大されたし、2019年からはロールオーバーの上限額が撤廃される。この制度変更との兼ね合いにも注意したい。

他にも変更のデメリットがある。複数の口座で保有すると管理がわずらわしくなる点だ。自分がどの口座にどの商品を保有しているか把握しておかなければならないし、それぞれの売り時も見計らわなければならない。口座が分かれていると面倒に感じる人も多いだろう

NISA口座を開設する金融機関を変えることには、有利なサービスへの乗り換えが可能になるメリットもある。ロールオーバーができないなどのデメリットを上回るなら、変更を考えてみてもよいだろう。

「ジュニアNISA」「つみたてNISA」と複数で口座は開設できる?

通常のNISAに加え、2016年4月から「ジュニアNISA」が、2018年から「つみたてNISA」が始まった。

「ジュニアNISA」は、20歳未満の子ども一人につき年間80万円までの投資にかかる利益が非課税となる制度だ。「つみたてNISA」は、年間40万円までの投資にかかる利益が20年間非課税となる。普通のNISA同様、20歳以上の国内居住者ならだれでも口座を持てる。

一般のNISAと「ジュニアNISA」「つみたてNISA」と同時に口座を開くことはできない。ジュニアNISAは年齢制限があるから当然できないし、「つみたてNISA」と「一般のNISA」も同時に利用することはできない。金融庁によると、、同じNISA口座の中で「つみたてNISA」「一般NISA」のどちらか一方を選択することになっている。

この選択は年ごとに変更することができる。同じ金融機関のNISA口座内であれば、設定を切り替える手続きをとる。その年に取引を行っていなければその年から変更できる。手続きの締切は9月30日までだ。その年に取引を行っている場合には翌年からの変更となる。

金融機関を変更することもできる。一般のNISA口座の変更と同様の手続きだが、新しい金融機関で「つみたてNISA」を設定したい場合は、その旨伝える必要がある。

一般のNISAと、「つみたてNISA」との間で、すでに購入した商品を移動させることはできない。一般NISAから「つみたてNISA」に変更しても、変更前の一般NISA枠で購入した商品は5年間非課税で保有と売却ができる。

NISA口座は一人1口座だが、これらのNISA口座を家族それぞれが持つことが出来る。例えば夫が一般NISA口座、妻が「つみたてNISA」口座、子どもが「ジュニアNISA」口座を持つという使い方だ。このように世帯で複数の口座を持つのは可能であり、非課税枠もそれぞれを足した枠を世帯で持つことができるようになる。

NISA口座は一人1口座だが、証券口座は複数持てる

NISA口座は非課税であるため、一人1口座であるなど制約がいくつかある。また、普通の証券口座からNISA口座へ商品を移動させることはできない。しかし、反対にNISA口座から普通の証券口座へ商品を移動させることはできる。

なお、5年間の非課税期間が終わった商品を次の年の非課税枠を使ってNISAで保有することもできるが(ロールオーバー)、普通口座に移動させることもできる。

もちろんNISA口座から普通の証券口座に移動すれば、非課税扱いにはならない。しかし、他の節税策を用いることができる。それが損益通算だ。株の売買で損失が出た場合に、他の取引での利益との間で赤字と黒字とを相殺し、課税額を低くすることをいう。さらに、黒字分と相殺しても赤字が残った場合は、3年間その赤字分を繰り越すことができる。

政府広報や金融機関でも、「NISA口座では損益通算」ができないと説明されている。投資を手広く行うようになれば、損益通算を行いたい場面も出てくるが、NISA口座という非課税枠ではそのような節税策はとれない点に注意が必要だ。

ただし、NISA口座を持っていても、証券口座を他に持つのは自由だ。NISA口座内から商品を持ち出すことも自由だし、複数の金融機関に口座を持つのも自由だ。自分で計算して確定申告する手間をいとわないなら、複数の金融機関に分かれた口座どうしで損益通算もできる。

NISAならでは非課税枠を十分活用しつつ、投資への理解を深めながら、自分の投資スタイルに合わせて一般の口座へも投資の枠を広げていくことも可能なのだ。

NISAの主要証券会社比較を確認する

数あるネット証券会社の中で、どこを選ぶのが最良の選択となるだろうか。

まずNISAは損益通算ができないため、NISA口座を利用するなら、値上がりに自信がもてる銘柄を取引するべきだ。

そのため高確率で値上がりし、利益幅の大きい新規公開株(IPO)への投資にNISAを利用する人は多い。またNISAの非課税枠120万円を無駄なく投資できる 投資信託 に利用する人も多い。

IPO株や投資信託だけでなく、外国株など取引を行える商品の種類や銘柄が豊富に揃っていることなどが、NISA口座を選ぶ基準になるだろう。(ZUU online編集部)

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