日本人の資産形成の新たなツールになると期待される「つみたてNISA」は投資方法を「積立方式」に限定している。毎月少額ずつコツコツと資産を投資に回せることから、日本人の気質に合う制度といわれるが、いくつか注意しておきたい点もある。

今回は、つみたてNISAを始める前に知っておきたい注意点を、現行のNISA(以下、単にNISA)やiDeCo(イデコ)、そのほかの投資信託と比較しながらご紹介する。

時期を見計らっての購入ができない

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(写真=Watchara Ritjan/Shutterstock.com)

つみたてNISAの最大の特徴は、毎月定額を積み立てていく積立方式に限定されていることだ。この積立方式は、買うタイミングを計ったり、金融商品の価格に一喜一憂する必要がないというメリットはあるが、積極的に投資で資産運用をしたいと考える人にとっては、自分の好きなタイミングで購入できないというデメリットにもなる。

投資で一番利益が出る売買の方法は、当然、安いときに買って高いときに売ることである。たとえば、年始からつみたてNISAで月々3万円ずつ投資信託を買う手続きをしているとする。5月まではあまり値動きの無いまま金融商品の価額が推移してきたが、6月になるとその価額が急に半分まで下がったとしよう。

この場合、買い付けている投資信託が安全性の高いもので、いずれその価額が回復することを期待できるほど長い投資期間を設定しているなら、買い増しを検討したくなるかもしれない。しかし、つみたてNISAでは、価額が下がった時に投資額を増やすという買い方はできない。

一般の投資信託やNISAに比べると、日頃から金融商品の値動きに注目している人にとっては、買うタイミングが選べないという点は、注意すべき項目である。

非課税枠を最大限使うには時間がかかる

NISAとつみたてNISAの最大のメリットは、運用益に税金がかからない非課税枠にある。この非課税枠の上限は、「NISAが年間120万円、最長5年で計600万円」なのに対し、「つみたてNISAの非課税枠は年間40万円、最長20年利用で計800万円」となっている。

金額だけ見るとつみたてNISAの非課税枠の方が大きいが、NISAの600万円を超えるには、年間上限の40万円を最低15年は続けなければならない。

注意が必要なのは、50代後半から60代の方が、老後資金形成のためにつみたてNISAを始めようとする場合である。これらの年代の方は、15年以上に渡って長期的に資産を形成するより、あるいはNISAを利用して年間120万円の非課税枠を利用する方が、結果として非課税枠を多く利用できるということになるだろう。

また、若い世代の方でも、途中で積み立てを中止してしまえば、結局は非課税枠をあまり利用できない。積み立てを始める前に、自分が積み立てようと考える金額が、長期に渡って無理のないものであるか、しっかりと計画を立てる必要がある。

商品の選択肢が限られる

つみたてNISAのもう一つの特徴は、投資できる商品が厳しく厳選されている点である。

NISAが株式、投資信託、ETF、REITなど幅広く扱っているのに対し、つみたてNISAは投資信託とETFに限られ、さらに、株式投資信託の場合、販売手数料ゼロ、信託報酬が一定水準以下、信託契約期間が無期限または20年以上、分配頻度が毎月でないこと、ヘッジ目的を除きデリバティブ取引による運用を行っていないことなど、満たさなければならない条件が多い。

もちろん、こうした条件はどれも長期的な資産の形成という観点からは大切なものだ。しかし、さまざまな金融商品を買いたいと考える人は、後悔の無いように買える商品をあらかじめ確認しておこう。

また、最後の注意点として、元本確保型の商品がないことも意識しておく必要がある。つみたてNISAはリスクの極端に高い商品は扱っていないが、それでも投資信託である以上、元本割れする可能性はある。その点が、元本確保型の商品も扱っているiDeCoとは異なるところだ。

今回紹介したように、つみたてNISAは投資商品、投資方法、年間投資額がほかの制度に比べしっかりと決められているため、自由度という点ではほかに劣る側面もある。自分で投資に関する情報を集め、さまざまな商品を好きなときに売買したい人にとっては注意すべき点もある。しかし、今の預貯金を投資に回したいと考える人にとっては、おすすめの制度であることは間違いない。後悔のないよう上手く利用していただきたい。(提供:確定拠出年金スタートクラブ


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