2017年1月に法改正され、原則的にすべての現役世代を対象とした確定拠出年金。この制度を支える法律が確定拠出年金法で、より詳細な内容を定めているのが政省令である確定拠出年金法施行規則と確定拠出年金施行令だ。

確定拠出年金法の目的や制度導入の背景は?

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確定拠出年金法は全124条(附則を除く)で成り立つ。特に重要な条項について説明していきたい。

確定拠出年金法では、第1章(総則)第1条でこの法律の目的について規定している。まずこの法律制定の背景として少子高齢化の進展や高齢期の生活の多様化などを挙げ、個人の責任で運用でき、高齢期に給付を受けることができる年金制度の必要性を説いている。

法律自体の目的としては「確定拠出年金について必要な事項を定め、国民の高齢期における所得の確保に係る自主的な努力を支援し、もって公的年金の給付と相まって国民の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする」としている。確定拠出年金法の第2条では、確定拠出年金が「企業型」と「個人型」イデコの2種類に分かれることを説明している。

「企業型」の確定拠出年金は法律でどう定められている?

第2章(企業型年金)では、確定拠出年金法における企業型年金について解説している。

まず、株式会社などの法人が企業型確定拠出年金を導入する場合には、会社に所属する厚生年金被保険者の50%以上で構成される労働組合があるときはその労働組合の同意が必要で、労働組合がない場合も厚生年金被保険者の過半数の代表を務める人の同意が求められることを規定している。

そして株式会社などの法人で企業型確定拠出年金が導入させる前に、厚生労働大臣が法人からの申請に基づいて認可と非認可を判断する。企業型確定拠出年金の規約内容を変更する場合にも、厚生労働大臣の承認を受ける必要がある。

同法第7条では、企業型確定拠出年金の運営管理業務について規定している。条項によれば、企業型確定拠出年金を実施する法人は、その業務の全部または一部について、銀行や信用金庫などの「確定拠出年金運営管理機関」に委託することが可能となっている。2018年2月14日時点で、この確定拠出年金運営管理機関は全国各地に211社ある。

同法第8条では、企業型で実施する法人は将来的に給付に充てる積立金について、金融機関や生命保険会社、農業協同組合連合会、損害保険会社などと契約を結ばなければならない旨を明記している。

「企業型」の掛金や法人側の責務は?

同法第19条においては、企業型確定拠出年金の掛金などについて定めている。掛金については1年間で1回以上、定期的に各法人が定めた企業型年金規約に基づいて掛金を拠出しなければならないものとしている。

企業型確定拠出年金の責務の一つとして「運用」について定めているのが同法第22条だ。確定拠出年金では原則的に加入する「個人」が運用を行う。そのため同法第22条では、資産運用に必要な資料などの提供を事業主側の責務として規定している。

確定拠出年金法で運用方法として定めているのが6つ。「銀行などの金融機関や国を相手方とする預金・貯金の預入など」「信託会社への信託」「有価証券の売買」「生命保険会社などへの生命保険の保険料や生命共済の共済掛金の払込み」「損害保険会社への損害保険の保険料の払込み」「政令で定める要件に適合する契約の締結」となっている。

法人側はこのうち3つ以上を選んだ上で、企業型確定拠出年金の加入者に提示する必要がある。また運用先となる運用関連運営管理機関は、あらかじめ運用方法について利益見込みや損失の可能性などの必要情報を加入者などに示さなければいけないことも明記されている。

「企業型」の給付要件や最低加入期間は?

企業型確定拠出年金の給付については、第28条以降で定めている。

企業型確定拠出年金の給付の種類については「老齢給付金」「障害給付金」「死亡一時金」の3タイプがあることを説明しており、給付額は各法人の企業型年金規約に基づいて算出されることを明記している。

第33条では、老齢給付金を受け取ることができる「支給要件」について年齢別に通算加入者等期間を定めている。

条項によれば、60歳以上61歳未満の人は10年、61歳以上62歳未満の人は8年、62歳以上63歳未満の人は6年、63歳以上64歳未満の人は4年、64歳以上65歳未満の人は2年、65歳以上の人は1カ月と定めている。障害給付金については第37〜39条で、死亡一時金については同法第40、41条でそれぞれ明記している。

個人型確定拠出年金「イデコ」についての法律の規定は?

個人型確定拠出年金、いわゆるイデコ(iDeCo)については第55条以降で説明している。

個人型確定拠出年金の実施主体は「国民年金基金連合会」となる。この国民年金基金連合会は銀行や信用金庫などの確定拠出年金運営管理機関に管理業務を委託する。それゆえに、個人型確定拠出年金に加入する個人は、銀行を通じて最終的にこの国民年金基金連合会に申し出る形で手続きを進めることになる。

個人型確定拠出年金に加入できる人は、2017年1月の法改正で大幅に広がった。原則的にサラリーマンや専業主婦(主夫)などを含む20〜60歳未満の現役世代、すべての人が加入可能だが、国民年金を滞納している人などは加入できない。

掛金については第68条で規定している。掛金の支払いは年間1回以上、定期的に行わなければならないことを定めている。個人型確定拠出年金の加入者に対する源泉控除は第71条で定めている。

銀行や信用金庫が担う「運営管理機関」

これまでに、確定拠出年金の運用・管理ができる「確定拠出年金運営管理機関」について触れてきた。確定拠出年金法では、この確定拠出年金運営管理機関についても定めている。大前提として、この登録を済ませた金融機関などでなければ該当する業務を行うことはできない。

登録を申請するには、商号や名称、住所、資本金額、役員氏名と住所、業務内容などを明記した上で、主務大臣に必要書類を提出する必要がある。登録を受けた金融機関は名義貸ししてほかの法人に確定拠出年金運営管理業に委託してはならないほか、確定拠出年金運営管理機関であることを明示した「標識」を掲示する必要がある。

そのほか、加入者に関する帳簿書類を作成することは主務大臣に報告書を提出することなどが定められている。

施行令で規定されている「個人型」の掛金上限額

ここまで、確定拠出年金法について重要な条項について説明してきた。続いて、確定拠出年金法の規定の基で制定されている「確定拠出年金法施行令」について解説する。確定拠出年金法施行令は全60条で構成されている。

特にポイントとなる条項が拠出限度額について定めた第11条だ。具体的には、企業型確定拠出年金のみに加入している人や退職一時金や中小企業退職金共済と併用している人は月額5万5000円、企業年金や厚生年金基金と併用する場合には月額2万7500円がそれぞれ拠出額の上限となる。

個人型確定拠出年金の限度額については、第36条で定められている。まず自営業者など(第1号被保険者)の場合は月額6万8000円(年額81万6000円)、専業主婦(主夫)(第3号被保険者)などの場合は月額2万3000円(年額27万6000円)となっている。

そのほか国民年金基金の被保険者については、厚生年金基金などの確定給付型年金を実施しているケースでは月額1万2000円(年額14万4000円)、企業型年金だけを導入しているケースでは月額2万円(年額24万円)、企業型年金のほか厚生年金基金などの確定給付型年金を既に導入しているケースでは月額2万3000円(年額27万6000円)、私学共済制度の加入者や公務員については月額1万2000円(年額14万4000円)。

確定拠出年金法施行規則では、さらに細かい規則が定められている。

確定拠出年金法についてのよくある質問は?

最後に確定拠出年金法について、よくある質問などについてまとめて解説していく。

個人型確定拠出年金に加入できる人についてだが、2017年1月の法改正で20歳から60歳未満の人は加入できることになったが、国民年金保険を滞納している人のほか、企業型の確定拠出年金に加入しているものの、会社側が個人型について加入を認めていない場合は、加入することができない。

また一方で、20歳未満であっても加入できるケースがある。その個人が厚生年金保険の加入者である場合だ。例えば、20歳になる前から企業に所属しサラリーマン(第2号被保険者)として厚生年金を支払っている場合は、個人型確定拠出年金の加入資格を得ていることになる。

掛金の支払い方については2パターンある。法人に所属しているサラリーマン等以外の場合は原則的には本人の銀行口座などから26日に振替という形になり、サラリーマンの場合は給与からあらかじめ定められた掛金が天引きされる。また、掛金額の変更は1年間で1回のみとなっている。

個人型拠出年金の積み立ては、途中で停止したり(停止中も手数料はかかる)、再開したりすることも可能だ。その場合はコールセンターなどに連絡して、必要な手続きを終えることで可能となっている。積み立てた年金は、60歳になってから老齢給付金として給付を受けることができる。障害の状態にある場合や加入者が亡くなった場合は、それぞれ障害給付金、死亡一時金(遺族が受け取る)として、60歳未満でも受け取ることができる。

最新知識の定期的な入手でうまく活用を

確定拠出年金法とその施行令や施行規則。企業型も個人型も資産運用の新たな選択肢にもなるため、正しい知識を身に付けた上で加入するかしないか、また加入した場合の運用方法などについて検討することが重要だ。

加入者が年々増え続ける中、今後はより利用しやすいように法改正が行われることも考えられる。定期的に最新情報をチェックすることで、よりうまく活用していけるといえよう。(岡本一道、金融・経済ジャーナリスト)