SaaS企業を中心に、SlackやマイクロソフトのTeamsなど「コミュニケーションツール」の導入が進んでいる。これらの便利なコミュニケーションツールの導入で、企業にはどのようなメリットがもたらされるのだろうか。

今後、コミュニケーションツールによって、企業やプロジェクトチームの働き方はどのように変化するのか探ってみよう。

Slack、Teams、コミュニケーションツールが活況に

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(写真=GaudiLab/Shutterstock.com)

現代のビジネスでは、電子メールは企業のコミュニケーションツールとして不可欠だ。ところがメールボックスの容量や迷惑メールなどの増加が、企業の業務効率を低下させている。

この問題を解決する手段の一つが、チーム間で利用され、かつリアルタイム性が高い、企業向けコミュニケーションツールだ。Slackは現在世界で5万以上のチームが有料プランを利用しており、マイクロソフトが提供するOffice365とTeamsは合算で、12万5,000団体が利用しているなど(2017年)、コミュニケーションツールの中でもビジネス向けチャットツールは急成長を遂げている。

なぜ、このようなコミュニケーションツールが普及するのだろうか。それはこの2つのソリューションの特徴を知ると理解できる。

・Slack
IT企業を中心に最も利用頻度が高い。最大の特徴はビジネスチーム用のコミュニケーションツールで、GoogleドライブやZendesk、GitHubなど、外部サービスと連携していることだ。また、SlackではAPIも公開されており、自社で必要なアプリを開発して、Slack上で展開することも可能だ。チャット内でドキュメントを作成、編集、コメントできるポスト機能を使えば、必要な情報を社内でいつでも参照することもできる。さらに、ポスト機能を用いてチャンネル上の新情報が次々に流れるのを防げるところは、利便性を大きく向上させるところにもつながっている。

IT企業では、プログラムのソースコードの共有や、つくったプログラムを別のシステムで実行して検証することも可能だ。このようにメッセージをやりとりする以外にも、さまざまなかたちで利用できるのがSlackの強みとなっている。

・Teams
従来のSkypeに代わる新しいグループコミュニケーションツールで、特徴は一つのアプリケーション上でOffice 365の機能と連携できることだ。ファイル管理やメモの共有、会議スケジュールの管理などを完結できるだけでなく、定番のWordやExcel、PowerPointのほか、カスタマーサポートツールのZendeskやタスク管理ツールのTrello、ビデオ会議など複数のツールとも連携して使うことができる。Office 365の機能をより使いやすくし、社内コミュニケーションの促進や協同作業の効率化を図ることができる。

コミュニケーションツールの活用事例

コミュニケーションツールは固有のIPアドレスを持ち、インターネットに接続可能なIoTデバイスと絡めて利用する企業もあり、グループウェアと置き換えが可能だ。全社的に採用する大規模なITベンチャーも多く、エンジニア中心に多方面に活用できると評価が高まりつつある。

たとえば、Slackの活用に積極的な会社の一つがDeNAだ。DeNAは2014年からエンジニアを中心に活用を進めており、社内ユーザーからの要望により有償版の利用を2015年から開始している。Slackの機能を活用することで、DeNAのエンジニアはこれまでマニュアルで別々に行っていたビルド前のチェック、アプリの作成、GitHubへのアップロードなどの作業を、すべてSlackのテキストチャットで完了させる環境を構築。これにより、業務効率が大幅に向上したという。

さらに、経費精算システムとSlackを連携したり、SlackのAPIを活用してAIチャットを開発してヘルプデスクの自動応答化を進めるなど、日々の業務をSlack 上で完結できる体制づくりを構築しているという。このようなDeNAのような取り組みは、コミュニケーションツールの普及ならびに機能拡充に伴って、どんどん広がっていくだろう。

コミュニケーションツールを活用するメリットとは

複数の人間が関わるチームプロジェクトで最も重要なのは、どのような方法でグループ内のコミュニケーションを取るかということだろう。端的にいえば、コミュニケーションツールはメールより早く、簡単で、便利だ。

たとえば、Slackはチャットツールの域を超え、チームで業務の効率化を図る多彩な機能を備えている。外部サービスとの連携やAPIを活用したアプリ開発を可能にしていることで、企業が各々の状況に応じた環境を構築することができる。また、一個人が複数のチームに所属するケースでも、チーム毎にチャンネル(グループ)を使い分けることで業務の効率化が可能となっている。

従来のSkypeやSNSのメッセージツールよりSlackはグループチャットが柔軟で、1対1だけでなく目的別のチャンネルを簡単につくることができ、チーム内での使い分けも可能だ。コミュニケーションツールが持つ多彩な機能を、チームやプロジェクトごとに活用できるのは、利用するユーザーにとって大きなメリットになるのではないだろうか。

コミュニケーションツールは企業の働き方をどう変えるのか

コミュニケーションツールは、ワークフローをまとめることができ、企業の働き方を劇的に変える可能性を秘めている。近い将来、大企業でも業務で複数のツール間を往復することなく、多くの仕事がコミュニケーションツールの中だけで完結するといわれている。

たとえば、コミュニケーションツールで売り上げや在庫の確認や、チャット形式で質問に答えて経費報告書を作成や提出できるほか、カスタマーサポートへの問い合わせの返信などをすべてまとめて行えるようになるかもしれない。また、タスクやGPSで取得した位置情報の共有だけなく、アンケート、集計などを簡単に送信や共有できる機能なども実現可能ではないだろうか。

企業内コミュニケーションのポイントとして、情報伝達の迅速化や情報の共有、セキュリティが重要視される。コミュニケーションツールやビジネスチャットはリアルタイムなコミュニケーションによる情報伝達に加え、情報の共有化や企業が重視するセキュリティについても暗号化通信を同時に行うことができるのだ。

コミュニケーションツールは会話型インターフェース時代の到来に向けて、次世代のビジネスソフトウェア用プラットフォームをつくるだろうと考えられている。コミュニケーションツールの登場で、企業での働き方に大きな変化を与える進化が、今まさに起きようとしているのだ。(提供:MUFG Innovation Hub


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