つみたてNISAは取り扱う商品が厳選されていることや、非課税期間が20年と長いことなど、非常にメリットが多い制度である。しかし、制度の内容をよく理解しておかないと、思わぬところで損をしてしまうことにもなりかねない。今回は、つみたてNISAを始める前に、理解しておきたい制度のリスクとデメリットを紹介する。

損益通算と繰越控除ができない

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(写真=Khongtham/Shutterstock.com)

つみたてNISAの注意点として、金融機関の一般口座や特定口座と違い、「他の口座との損益通算」ができないことが挙げられる。損益通算とは、各種所得金額の計算上生じた損失のうち一定のものを、他の所得金額から控除することができる制度である。

例えば、一般口座Aで損失が20万円、一般口座Bで利益が50万円出た場合、損益通算をすると、利益は50万円 - 20万円 = 30万円となる。株式や投資信託の利益には20.315%の税金がかかるので、この場合の課税額は、約6万900円となる。

しかし、損失が出たのがつみたてNISA口座である場合はどうなるだろう? つみたてNISA口座で20万円の損失、一般口座で利益が50万円出た場合、損益通算ができないので、一般口座の利益50万円に税金がかかる。この場合の課税額は約10万1,500円である。

また、その年の損益通算だけでなく、「翌年以降の繰越控除」も利用することができない。繰越控除とは、株式や投資信託で損失が生じ、その損失がその年の利益で相殺できなかった場合、その損失を翌年以降3年間にわたり損益通算ができる制度である。

つまり、つみたてNISAは、運用益が非課税になるぶん、利益が出た時は有利だが、損失が出た時は逆に一般口座や特定口座に比べて不利になる場合がある。

非課税期間終了後の取り扱いに注意が必要

つみたてNISAの非課税期間は20年間と長期に渡るが、売るタイミングは15年目を越えたあたりから考え始めたい。

上で述べたとおり、つみたてNISA口座内で損失を出すと、損益通算や繰越控除などの救済措置が使えないので、資産を売却する時期は慎重に見ておく必要がある。もしギリギリまで積み立てを続け、19年目に投資信託が暴落してしまうと、そこから価額が回復しなければ利益を出すのが難しくなる。

また、売却するのを忘れたり、売るタイミングを逸したまま、20年の非課税期間が終了した場合の取り扱いを確認しておこう。

非課税期間20年間が終わると、つみたてNISA口座内の投資信託は、一般口座や特定口座などの課税口座に非課税期間終了時の時価で払い出されることになる。この時、つみたてNISA勘定で保有していた間の値上がり分には課税はされない。

ただし、ここでも損失が出ている場合は要注意である。例えば、20年間で800万円の資金を投資したが、非課税期間終了時に700万円になっていたとする。この場合、一般口座か特定口座に700万円で払い出される。もしこの後も運用を続け、800万円に資産が回復したとしても、元の投資資金から利益は出ていないにもかかわらず、払い出し時の700万との差額100万円に税金がかかってくるのである。

元本確保型の商品がない

前述の通り、つみたてNISAは、損失を出した時は逆に不利になることがあると述べた。

となると、利益は最小限でもいいので、損失を出さない運用商品を買いたいと考えるかもしれないが、残念ながらつみたてNISAでは、iDeCoとは異なり元本確保型商品(預金・保険など)は取り扱っていない。比較的リスクが少ない運用商品もあるにはあるが、元本割れの恐れのない運用商品はない。

つみたてNISAの投資対象商品は、長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託となっている。投資信託は、プロが運用するとは言え、損失を出す可能性がゼロにはならないということは覚えておこう。

目標金額や売るタイミングをしっかりと定める

つみたてNISAは、損失を出した時の救済措置が非常に少ないというデメリットはあるものの、その投資対象商品が厳選されていたり、信託報酬も比較的低廉に押さえられていたりと、優れた面も多い。大切なのは、紹介した注意点を念頭に置き、当然だが極力損失を出さないようにすることである。

投資初心者の中には、さらなる値上がりを期待して売るタイミングを逃す人も多いが、つみたてNISAを利用できる期間には限りがある。目標金額や売るタイミングをしっかりと決め、つみたてNISAのメリットのみを享受できるようにしていただきたい。(提供:確定拠出年金スタートクラブ


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