2018年1月、無人スーパー「Amazon Go」が未来の小売店舗の姿としてついに一般公開され、世界中にインパクトを与えた。しかし、未来の小売店舗の姿を示すのは、Amazon Goだけではない。次世代の小売店舗になりうるものは多様な姿で存在している。

ここでは、世界の小売店舗の現状を踏まえ、次世代型の小売店舗がどのように進化しているかを考察したい。

最新のテクノロジーをフル活用 中国の無人店舗とは

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(画像=Rocky Grimes/Shutterstock.com)

中国では無人店舗の展開が進んでいる。中国最先端の無人店舗は、ネット通販最大手の阿里巴巴集団(アリババ)が2017年7月に披露した無人店舗「淘珈琲(タオカフェ)」である。

タオカフェを利用する際、来店客はスマホのアプリからQRコードをスキャンして、「入店許可証」を取得する。表示される店舗利用規約に同意すれば入店可能になる。商品を手に取り、会計をする際にはレジで並んで待つ必要はない。ただ決済ゲートを通過するだけで良いのだ。ゲートを通過する際にはスマホを取り出すことなく、商品の代金が決済アプリ「支付宝(アリペイ)」から自動的に引き落とされる。

店舗内では、顔認証やセンサーを取り入れ、客が商品を手に取り、かばんに入れる動作を認識している。また、併設されているカフェで注文を行った場合も、顔認証で誰が注文したのか記録され、商品が用意されると誰の注文か識別し渡される。

「コンビニ電子タグ1,000億枚宣言」 官民一体で進める日本の取り組み

日本でもコンビニエンスストア(以下、コンビニ)の効率化が国の方針としても進められている。経済産業省は、2025年までに、セブン-イレブン、ファミリーマート、ローソン、ミニストップ、ニューデイズの5つのコンビニに置くすべての商品に、電子タグを付ける「コンビニ電子タグ1,000億枚宣言」を策定した。「1,000億」は、1年あたりに5つのコンビニに出回る商品数の推計だ。

その背景としては、小売業が人手不足や労務コストの上昇をはじめとした、さまざまな課題に直面していることがあげられる。

電子タグが商品に付いていると来店客はどのような購買体験ができるのだろうか。具体的に電子タグを活用したコンビニの省人化の取り組みとして、ローソンとパナソニックが共同で行っている実証実験を紹介する。

店舗内では、顧客は専用の買い物かご「スマートバスケット」に買いたい商品を入れる。レジはパナソニックが開発した「レジロボ」だ。レジロボの所定の位置にスマートバスケットを置くと、レジロボが自動的に電子タグをすべて読み取り合計金額を計算する。しかもレジロボは購入した商品をレジ袋に入れてくれる機能まで備えている。顧客は店員を介することなく手短に買い物ができ、店側としてはレジの人員を削減できるのである。

ECと遜色なし!?検証が進められる移動式店舗の可能性

日本では、コンビニの利便性を高めるため、セブンイレブンなどは車を運転して地域を回る移動式のコンビニを提供している。経済産業省によると、近隣に店がない、荷物を運べないなどの理由で買い物に不便・困難を感じる「買物弱者」の数は、2014年10月時点で約700万人おり、増加傾向にあるという。

日本と比較すると、中国では移動式店舗が革新的に進んでおり、「無人の」移動式店舗が登場している。

上海市内では、お菓子や飲料、市販薬、雑貨などを扱う無人の移動式店舗「モビーマート」が街中を走行中だ。スウェーデンのウィーリーズ社が開発した自走式のモビーマートは、利用者がタクシーの配車アプリのように場所を指定し、そこに移動するサービスを提供している。利用者は店舗車内に入り、購入する品物をスキャンして外に出る。

太陽電池を使うモビーマートは、遠隔操作で現在テスト走行中とされているが、2018年中には完全に無人化することを目指している。また、モビーマートの屋根部分にはドローンが搭載されており、半径5キロ以内の場所へ商品を配送するサービスも提供している。

このような移動式店舗はモビーマートの他にも、米国のロボマート社などがあり、これからも発展が期待されている。

次世代の小売店舗はAmazon Goとは限らない

これまで紹介した小売店舗は、無人運営や自動運転の移動式など今までにない形態のものだ。従来は、自分で店舗に行き、店員にレジを打ってもらい買い物をしていたが、将来的には店舗が指定の場所に自動運転で移動し、消費者は移動してきた店舗から商品を取るだけで買い物が完了するサービスが提供されるだろう。センサーや自動運動の技術を活用し、顧客にとって利便性の高い店舗を提供することで、店舗側にとっては極限まで効率化させた運営を実現できる日も近いだろう。

執筆者:金本 拓

(提供:MUFG Innovation Hub


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