夫婦の離婚は、もはやめずらしいことではありません。厚生労働省の「平成29年 我が国の人口動態」によると、平成27年には22万6,215組の夫婦が離婚していたそうです。離婚をするとき決着をつけておきたいのが、お金の問題です。今回は離婚時のお金のなかでも、「厚生年金の分割」にポイントを絞って説明しましょう。

離婚したいけどお金の不安がネックに

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(写真=gerasimov_foto_174/Shutterstock.com)

子どもの自立や夫の定年など、夫婦2人の時間が増えるタイミングで「もう自由になりたい」と妻が夫に離婚を切り出す……。こういった熟年離婚が話題になっているのをご存じの人もいるのではないでしょうか。

一方で、「夫と離婚したいけど、ずっと専業主婦をしていたのでスキルがなく、仕事が見つかるかわからない。ひとりになって、果たして老後のお金が足りるのだろうか」と、離婚をしたくても、お金の不安で離婚に踏み切れない女性もいるようです。

若いうちなら、女性の働き口は見つかりやすいかもしれませんが、ある程度歳を重ねると簡単に仕事を見つけられない可能性もあります。そのため、離婚時の財産分与が重要です。結婚後に夫婦で蓄えた財産は半分ずつに分けるのが基本です。例えば、現金、家、土地、車、貴金属や家具・家電、有価証券などが対象ですが、実は「厚生年金」も分割の対象なのです。

厚生年金を分割できる?

厚生年金の分割は「年金分割」といい、結婚期間中に夫婦が支払った年金保険料を決まった割合で分割する仕組みです。実際には結婚期間中に年金保険料を支払った記録を分割して適用するという処理がなされています。

そもそも厚生年金は、基本的に会社員でないともらえないため、専業主婦が離婚をするともらえるのは国民年金のみになります。ずっと専業主婦でなくとも、働いた期間が短かった、低賃金だったなどの場合は当然のことながら年金額が少なくなってしまい、夫婦間で年金受給額に大きな差ができてしまいます。こういった不公平を解消するため、年金は公平に分割すべきという考えのもとにあるのが「年金分割」なのです。

「合意分割」と「3号分割」

年金分割の方法には「合意分割」と「3号分割」の2種類あります。

● 合意分割
3つの条件すべてに該当した場合、夫婦2人からの請求により厚生年金の分割ができます。
・ 平成19年4月1日以降に離婚(または事実婚を解消)をしていること
・ 2人の合意または裁判手続きにより年金分割の割合が定まっていること
・ 請求期限(離婚をした日の翌日から2年)を経過していないこと

● 3号分割
3つの条件すべてに該当する場合、第3号被保険者であった人からの請求により、相手の保険料納付分を1/2ずつ分割できます。
・ 平成20年5月1日以降に離婚(事実婚の解消)をしていること
・ 平成20年4月1日以降に、2人のうち一方に国民年金の第3号被保険者(※)期間があること
・ 請求期限(離婚をした日の翌日から2年)を経過していないこと
(※)第3号被保険者…厚生年金保険(共済組合員)の配偶者で20歳以上60歳未満の人

合意分割の請求をした場合、同時に3号分割の期間が含まれている場合には、両方(合意分割と3号分割)の請求が実施されます。つまり、年金分割には合意分割、3号分割、合意分割+3号分割の3種類があります。適用要件や請求の方法が異なるため、自分がどのパターンに属するかを把握しておきましょう。

合意分割,3号分割

なお手続きをする場合は、近くの年金事務所に「標準報酬改定請求書」など必要な書類を提出する必要があります。

分割の際の注意点

分割の条件で説明したとおり、請求は離婚した翌日から原則2年以内という期限付きであることをはじめとして、いくつか注意点があります。

まず、対象となるのが厚生年金であるということです。そもそも厚生年金に加入していない自営業者が夫の場合は、この分割が適用されません。また、分割の対象となる期間は婚姻期間のみという点にも注意が必要です。例えば婚姻期間が10年などと比較的短い場合では、その10年間の年金保険料のみが分割されます。

離婚で分割できる年金

分割される年金は報酬比例部分に限られ、基礎年金や厚生年金基金などは対象外です。夫が受け取る年金すべての50%が貰えるわけではありません。そして共稼ぎの場合、それぞれの厚生年金を足して2で割る、つまり多い方から少ない方に分割をするため、もし妻の方が夫よりも収入が多ければ、妻の年金は減ることになることも知っておきましょう。

なお、合意分割で分割の割合が決まらなかった場合、家庭裁判所による審判又は調停が可能なので、もし合意に関して揉めた場合は裁判所に相談するのが最適です。

最後に

厚生労働省の「平成27年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によれば、厚生年金の分割が行われたのは離婚総数の約1割程度にとどまっています。もうこれ以上揉めたくない、申請が面倒など、事情はさまざま推測されますが、将来的なお金の不安を少しでも軽くしたいならば、厚生年金の分割についても話し合いを持つのがよいのではないでしょうか。(提供:iDeCo online


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