地域の企業や地場産業の「金庫番」といえる存在が、地方銀行です。いわゆるメガバンクの本店が所在する都心などを除けば、「その地域随一」の金融機関であることも多く、地方経済とは切っても切れない関係にあるといえます。とはいえ、地方経済の伸び悩み、金融再編の荒波などにもまれ、苦しい経営状態を強いられているところも。そんな「地銀」の現状と生き残り策について探ってみました。

経営環境の悪化に苦慮する地方銀行

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(写真=Kevin George/Shutterstock.com)

日常生活のなかでは「銀行」とひとくくりにされがちでも、実際にはその規模、業務のバリエーションなどでいくつも種類が分かれているのはご存じの通り。そのなかで、地場に根付いた中小規模の銀行で、「一般社団法人全国地方銀行協会」に属する64行を指して、特に「地方銀行」と呼んでいます。また広義には、相互銀行から転換した「第二地方銀行協会」に属する41行を足した105行を指すこともあります。

いずれにせよ、その多くは本店が所在する都道府県内で業務を行い、地域の経済を支える重要な役割を担っています。

しかし、全体的に貸出金残高は増えているにもかかわらず、一般企業の営業利益にあたる業務純益をみると、地方銀行は収益を落としており、その経営状態は決して良好とはいえないことがわかります。

2025年、6割以上の銀行で「顧客向けサービス業務利益率」がマイナスに

日本経済はアベノミクスによって持ち直し基調にあるとはいえ、地方経済は低基調にあります。金融緩和政策の影響による超低金利の長期化が響き、貸出業務の収益力はますます低下。地方ほど早く進む人口減少もじわじわと響いてきます。そうした背景のもと、地方金融機関同士の競争も激化していることなどが主な理由になっていると考えられます。

銀行を監督している金融庁は毎年秋、日本の金融システムとそれを担う各金融機関の現状と課題をまとめた「金融レポート」を発行していますが、2016年9月発行の「平成27事務年度 金融レポート」では、地方銀行・第二地方銀行などの地域金融機関に関して、顧客向けサービス業務の利益率は「2025年3月期では6割を超える地域銀行がマイナスになる」と試算。

さらにその1年後、2017年10月の「平成28事務年度 金融レポート」では、すでに直近の2017年3月期決算で「顧客向けサービス業務の利益は過半数の地域銀行でマイナスとなっており、平成27 事務年度の推計・試算を上回るペースで減少している」と警鐘を鳴らしています。

「新たなビジネスモデルが必要」との声も

こうした環境変化に対抗するため、地方銀行・第二地方銀行では都道府県をまたいだ連携やグループ化が加速しています。たとえばここ数年の間では、2016年4月、もともと地銀最大手の横浜銀行(神奈川)と第二地銀の東日本銀行(東京)が経営統合、コンコルディア・フィナンシャルグループを発足させました。

さらに2016年10月にはともに第二地銀の足利銀行(栃木)と常陽銀行(茨城)によるめぶきフィナンシャルグループが誕生しています。また、出資を伴う経営統合ではないものの、個々の業務で協力しあう提携関係を結ぶ例もあります。

実際のところ、業務純益率で地方銀行をランキングすると、上位には首都圏や地方中核都市などを拠点とする、規模の大きい銀行が並びます。上記のように経営統合が進んでいるのも、こうした「ボリューム・メリット」を追求してのこと。とはいえ、もともと優良企業が多く存在する大都市圏にあるわけではない、その他の地方銀行では、むやみに規模を追求しても経営改善につながらないとも考えられます。

単純に貸し出し拡大を目指すのではなく、新たなビジネスモデルへの転換を目指す抜本的な経営改革が求められているという意見も大きくなっています。現時点でそれがうまく行っているかどうかは今後の動向次第ですが、「地方再生」は安倍政権の大きな課題でもあります。こうした環境下にあって、地域に芽生える新たなビジネスの芽を見つけ、育てる役割がより強く求められているというのです。

実際、南日本銀行や富山第一銀行など、決して規模が大きくないにもかかわらず収益力が高い、地域密着性の高い銀行も存在しています。

生き残りをかけて銀行の創意工夫は続く

少なくとも、「銀行=手堅い商売」というイメージは、もうはるか昔のもの。これからの生き残りを賭け、どう特色を打ち出せるかが鍵になってくることは確かなようです。特に、「地域に密着した金融機関」である地方銀行の場合、泥臭くはあっても、「いかに地域に役立っているか」が厳しく問われる時代になってきたといえるのかもしれません。(提供:IFAオンライン

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