つみたてNISAやiDeCoの普及で、投資信託による“積み立て投資”に興味を持った人も多いだろうが、投資信託初心者がまず悩むのが「分配金の受け取り」をどうしたらいいのかということだろう。

証券会社の投資信託販売ランキングなどを見ていると、毎月分配型の投資信託が上位に挙がっていることも多いが、実際、分配金は受け取ったほうがいいのだろうか?

分配金=利益というわけではない

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(画像=PIXTA)

投資信託は大きく2つに分類できる。分配金を出す「分配型投資信託」と分配金を出さない「無分配型投資信託」の2つだ。

分配型投資信託を購入すると、投資家は一定のタイミングで(毎月受取型から年1回のものまで投資信託により異なる)分配金を受け取ることができる。多くの証券会社では投資信託を購入する際に「分配金受取コース」か「分配金再投資コース」を用意しているため、分配型投資信託でも受け取るか再投資するかどうかを選択できるようになっている。

「分配金」と言われると、投資から得た利益の一部を投資家に還元しているだけのように思えるが、実は分配金には投資から得た利益ではない資金も含まれている。

日本の投資信託での「分配金」とは、決算日時点の純資産の一部、分配可能原資の中から支払われることになっており、分配可能原資は税金の発生有無で「普通分配金」と「元本払戻金(特別分配金)」とに分けられる。

普通分配金……投資信託から得た運用益なので課税対象になる
元本払戻金(特別分配金)……運用益でなく投資元本の一部を払い戻して得るため非課税

どちらの分配金も純資産の一部から支払われるため、当然基準価額は下がる。そうなると運用に回せる資金がその分減ってしまう。しかも元本払戻金(特別分配金)の場合はただ積み立てている元本を払い戻しているだけであり、受け取った分配金は利益ではないのだ。

「分配金」という言葉で銀行の利子のようなものをイメージしてしまいがちだが、投資信託における分配金は銀行の利子とは全く性質が異なる。銀行の利子は、受け取っても元金が減ることはないが、投資信託で分配金を受け取ると、資産総額は減ってしまうのだ。

分配金の金額はどうやって決まるのか

分配金は運用益と元本の払い戻しで成り立っているが、「決算時に分配金の金額が大きいということは運用益が多く出たということなのでは?」と思う方もいるだろう。しかし、分配金の金額が大きい=運用がうまくいっているというわけではない。

分配金は、決算日における投資信託の分配方針によって、市場動向や分配可能原資の水準などを考慮したうえで運用会社が決定している。つまり、投資している投資信託によって分配金の決め方は異なるのだ。

分配可能原資は過去の収益が積み重なったもののため、過去からの運用益が大きい投資信託ほど分配可能原資が潤沢ということになる。

しかし、投資信託の分配方針が「できるだけ定額を維持して分配金を出す」なら、運用成果が分配金の金額に影響されることはない。

反対に「運用成果をダイレクトに分配金に反映する」という分配方針であれば分配金額が決算時によって増減するため、運用状況によっては分配金が無いという場合もあり得るのだ。

こうした投資信託ごとに異なる分配方針は、購入前に閲覧できる「投資信託説明書(交付目論見書」の「収益分配金に関する留意事項」に記載されている。

投資信託は、運用のプロに自分の資金を預けて投資を任せるといういわば「他人任せ」の投資手法である。他人任せだからこそ、自分の資金を預けるプロ(運用会社)の運用方針は最低限理解しておかなければいけないということだ。

分配型と再投資型、それぞれのメリット・デメリット

●分配型のメリット 日常的に使えるお金が増える、楽しみになる

分配型の場合、分配金はいわばお小遣いのようなものであり、日常生活で使えるお金が増えることで生活が少し豊かになる。そしてそれは投資信託を続けるうえでの楽しみであり、投資を続けるモチベーションにもなる。これこそ分配型の最大のメリットといえる。

●分配型のデメリット 投資に回せる額が減る

しかし、分配型で受け取った分配金は結局純資産の一部であるため、分配金を受け取るとその分投資に回せる資金が少なくなる。特に毎月分配型投資信託の場合はその分プールする分配可能原資が大きくなり、普通分配金であれば毎月税金がかかってしまう。

分配金を受け取り続けるとこうしたデメリットが積み重なり、複利効果も薄まることになる。結果として分配金はトータルリターンに悪影響をもたらしやすいということなのだ。

●再投資型・無分配型のメリット 投資額が増えて複利効果を大きくできる

それに対して分配金を受け取らない再投資型やもともと無分配型の投資信託の場合は、利益を投資元本に再投資することができ、複利効果を大きく享受できる。この複利効果こそ、再投資型最大のメリットといえる。

●再投資型・無分配型のデメリット モチベーションが保ちにくい

しかし分配金というお小遣いがないので、投資継続のモチベーションを保ちにくいのがデメリットといえる。

●複利効果とは?

複利効果とは、運用で得た利益を元本に投資し続けることで、投資元本+利益がどんどんふくらみ、まさに雪だるま式に資産が増えていくことである。

毎月コツコツと投資信託を買い続け、発生した利益(分配金)を受け取らずにコツコツ投資元本に再投資し続けることができれば、複利効果で大きく資産を増やすことができる。

もちろん、複利効果を得て資産を増やすためには投資信託の運用成果が良いことが大前提だ。また、各種手数料が高い投資信託だと、いくら運用成果が良くても複利効果が薄くなってしまう。再投資型を選んだから必ず資産が雪だるま式に増えるわけではない。手数料が安く、運用成果の良い投資信託(ファンド)選びが重要になる。

●分配型と再投資型のメリット・デメリット

分配型 メリット
・定期的に分配金が得られ生活資金などに回しやすい
・投資のモチベーションになる

分配型 デメリット
・運用成果によっては分配金が出ないこともある
・複利効果が得られにくい
・運用に回せる資金が減る分、運用成果に悪影響が出る可能性も

再投資型(無分配型も含む) メリット
・複利効果を得やすい
・運用に回せる資金が増える分、運用成果に期待できる

再投資型(無分配型も含む)
・お小遣い的な楽しみがなくモチベーションを維持しづらい