「ESG投資」という言葉をご存じでしょうか。「環境:Environment」、「社会:Social」、「企業統治:(Corporate)Governance」という3つの単語の頭文字をとって名付けられたこの言葉は、現代の企業にとって必要不可欠と考えられるようになってきました。これらに特に配慮している企業を選別し投資しようというのが、ESG投資の基本的な考え方です。日本でも今後、さらに注目度が上がってきそうなこの概念を改めてチェックしてみましょう。

知っておきたいESG投資の基本

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(写真=Onchira Wongsiri/Shutterstock.com)

日本のGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)に次いで、世界第2位の機関投資家とされるノルウェー政府年金基金は、2017年末、石油・ガス関連株式への投資を停止する方針を発表しました。

ノルウェー政府はこれに先立って、年金基金の運用先として石炭関連産業に投資しない方針も打ち出しています。具体的には、収入の30%以上を石炭関連の事業から得ている企業を投資先リストから除外するという内容です。除外された企業には、日本の電力会社(中国電力、北陸電力、四国電力、沖縄電力、Jパワー)も含まれています。

2006年、当時のアナン国連事務総長は金融業界に対し、投資家がとるべき行動規範として「責任投資原則(PRI:Principles for Responsible Investment)」を提唱しました。これは、世界の企業にESGへの配慮をより徹底させる後押しとして打ち出されたものです。法的拘束力のない任意の原則ではありますが、日本企業を含む多くの機関投資家がこれに賛同・署名しています。このことが、ESGに着目した投資=「ESG投資」という概念となり、動きが広まったきっかけだと考えられています。

3つのキーワードによりよく配慮する企業への投資が行われる一方で、これらを無視した企業活動を行っている、あるいは配慮が足りないとみなされた企業からは、資金の引き上げも加速しています。その代表的なものといえるのが、先述のノルウェー政府年金基金の方針表明というわけです。

実際、「ESG投資」としてくくられる投資の規模は、ここ数年で急増しています。国際団体「GSIA(Global Sustainable Investment Alliance)」の試算によれば、2016年時点での世界全体のESG投資額は約22兆8,900億米ドル(2,541兆円)にものぼり、世界の投資のおよそ1/4に達していると考えられています。

日本国内での動きと関連銘柄

こうした世界の潮流のなか、日本でもESG投資の動きは広がりつつあります。GPIFも2015年に「責任投資原則(PRI)」に署名しています。GPIFは自身で直接株式は保有せず、外部の運用会社を通じて投資を行っていますが、投資運用を委託している金融機関に対しESGを考慮して投資するよう求めています。

また、2017年7月には新たな基準として「ESG指数」を選定し、この指数に連動した運用(パッシブ運用)を開始しています。GPIFの髙橋則広理事長は「今回選定したESG指数の活用が日本企業のESG 評価が高まるインセンティブとなり、長期的な企業価値の向上につながるよう期待しています。ESGを重視する海外の長期投資家 がこの点に着目すれば、日本株の投資収益が改善する可能性も高まります」というコメントを発表しています。日本企業にとっても、ESGへの配慮がますます強く求められる時代になったといえそうです。

ここまで述べてきたように、ESGとは、特定の業界・業態に特化したものではなく、すべての企業活動において、それぞれの形に合わせて配慮が求められるものだといえます。つまり、「ESG投資」「ESG関連銘柄」とは、そうした要望に対し「うまく応え、それをよりよく開示できているか否か」が基準になっていると考えることができます。

例えばニューヨークに本拠地を置く金融サービス企業MSCIは、日本企業のESG格付けレポートを発表しています。また東洋経済は、先のGPIFの表明に合わせ、独自に「ESG企業ランキング」を発表しています。ESGはその名が示すように3つのキーワードが組み合わさっており、しかもそのいずれも共通の定量化ができる指標とはいえないので、どこをどう評価するかによって「注目企業」の顔ぶれは変化しそうですが、こうしたレポートや報道は、判断の一助になりそうです。

一方では、キャピタル アセットマネジメントの「ESG日本株ファンド」、シュローダー・インベストメント・マネジメントの「アジアパシフィック・エクセレント・カンパニーズ」などのように、ESG関連銘柄に特化したファンドも登場しています。

ESG投資の今後に期待

いずれにせよ、ESGとは、その企業が地球・社会に「いかに好ましくない負荷を掛けていないか」を測るものだと言えるでしょう。その意味では、企業の長期的な安定性の指標とも言えるもので、投資先としても短期の高リターンよりも長期的に安定したリターンを得るものだということには留意しておく必要があるといえそうです。(提供:IFA online

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