民法の相続に関する規定(相続法)が、およそ40年ぶりに大きく変わろうとしています。今期国会で民法改正が成立すれば、2019年中にも施行されることに。では、この法改正によって、相続がどのように変わるのでしょうか。その変化のポイントをシリーズで紹介していきます。1回目は直近の遺族に保障される最低限の取り分(遺留分)の制度の見直しについてチェックしてみましょう。

遺産相続の「遺留分」とは?

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(写真=Lemon Tree Images/Shutterstock.com)

今回の相続法改正のなかでポイントの一つとなっているのが、遺留分制度の見直しです。

そもそも遺留分とは、一定の範囲の法定相続人に認められた最低限の遺産取得分を指します。現行の民法では、第5編「相続」のうち第8章「遺留分」で、その内容が規定されています。

(遺留分の帰属及びその割合)
第1028条
兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める割合に相当する額を受ける。
一 直系尊属のみが相続人である場合 被相続人の財産の3分の1
二 前号に掲げる場合以外の場合 被相続人の財産の2分の1

(遺留分の算定)
第1029条
1.遺留分は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与した財産の価額を加えた額から債務の全額を控除して、これを算定する。
2.条件付きの権利又は存続期間の不確定な権利は、家庭裁判所が選任した鑑定人の評価に従って、その価格を定める。
第1030条
贈与は、相続開始前の1年間にしたものに限り、前条の規定によりその価額を算入する。当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与をしたときは、1年前の日より前にしたものについても、同様とする。

もともと、相続財産は被相続人(故人)の遺志に従って自由に処分できるというのが原則となっています。その遺志を明らかにしたものが「遺言」ということになります。

とはいえ、全面的に故人の遺志のみに従うと、例えば「愛人に全財産を」といった相続も成り立つことになります。ごく近しい人たちの生活保障の意味からも、一定割合の相続の権利を定めたものが、この「遺留分」です。

具体的に遺留分を認められているのは、基本は被相続人(故人)の配偶者と子ども、そして親です。さらに子どもが被相続人より先に亡くなっていた場合には、孫という具合に、代襲相続人にも遺留分が認められます。一方で、上記の条文冒頭にあるように兄弟姉妹には遺留分は認められておらず、また相続放棄した人や、何らかの理由で相続欠格となった人も認められません。

ちなみに、遺留分を受け取る場合には、その権利を持つ相続人が権利主張を行う必要があります。そうでない場合には、仮に遺留分を侵害している遺言であってもそのまま執行されることになります。

相続法改正で「遺留分」の何が変わる?

今回の相続法改正では、この遺留分の制度に大幅な見直しが行われることになっています。その最大のポイントは、遺留分の権利を有する人に対し、遺言に書かれた相続分が遺留分に満たなかった場合、その不足を現金(金銭債権)で受け取れると明記されていることです。

実はこれまでの民法(相続法)の規定では、財産そのものを返還する「現物返還」というのが原則。そのため、遺留分の請求を行った場合に、対象となる財産が家や土地といった「すぐには分けられないもの」だった際、共有物分割訴訟などに発展し、解決が長引くケースが多々ありました。

これまでも、裁判所が調停や和解の場で「不足分を現金で」というやり方を提案することはよく行われていましたが、これはあくまで、例外的な方法でした。法改正により、金銭債権の考え方が条文に明記されると、遺留分に起因する相続トラブルの発生が少なくなるだろうと期待されています。

また合わせて、遺留分の算定方法にも見直しが行われることになっています。現行では、相続人に対する生前贈与は期間を設けず、すべての贈与が遺留分の算定の際に考慮されています。これについては範囲を限定、相続開始前10年間にされた贈与に限って算入するという取り扱いに変更することが提案されています。

遺留分制度の見直しに注目し、内容を確認しよう

このように、相続法が変わることによって、遺留分制度も見直しされることがわかりました。近しい相続人の権利を保障するものである一方、場合によってはトラブルのもとにもなる遺留分。改訂内容はしっかりチェックしておきましょう。

ご自身が相続を検討している場合であっても、相続を受ける側であっても、この遺留分の見直しによって残される子どもたちがどのようになるのかをイメージしておく必要があります。そのうえで、早めの対策が取れるのであれば、専門家のアドバイスを受けるなど行動をしておくことが肝心でしょう。(提供:IFA online


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