リスクを最小化できて情報収集の手間を省略できるなどの理由から、ドルコスト平均法は投資初心者向きの投資手法と言われているが、“万能”な手法とは言いがたい。ドルコスト平均法を生かすためには、あらかじめこの手法が適さない状況を知った上で、あくまで投資の一手法としてとらえる客観性が必要だ。

ドルコスト平均法は定額購入型の投資手法  

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(画像=PIXTA)

ドルコスト平均法は、定期的かつ継続的に一定額の金融商品を購入する投資手法である。相場の変動に関わらず購入価格を平準化することによって、結果的に大幅な損失を回避できるのが最大のメリットだ。

投資未経験の人にとっては、投資に対する最大の障壁は多大な損失を被ることだろう。こうした未知のリスクを低減できるドルコスト平均法は、投資への敷居を低くする効果があるのは事実だ。多くの従業員持株会や「つみたてNISA」のような商品でこの手法が採用されているのは、投資に不慣れな人を呼び込む意味合いもある。

こうした金融商品では、少額から始められる、自身で投資のタイミングを考える必要がない、知らず知らずに資産形成ができるといった謳い文句が頻繁に見られる。このようなメリットは、ドルコスト平均法の一面ではあるが全てではない。以下に、ドルコスト平均法が万能とは言えない2つの理由と、ドルコスト平均法の短所に対する対処法を紹介する。

短期的なキャピタルゲイン狙いには適さない

積立投資信託などで採用されているドルコスト平均法は、長い目で見て利益が出るように設計されているため、短期的な売買で大きな利益を得たい人には向かない投資手法だ。

定期的かつ継続的に一定額を購入するので、例え価格が底値であっても一括購入することはできないし、価格が高いからといって天井で売り抜けて利益を確保することもできない。デイトレーダーのように瞬時の判断で大きな利益を得ることをもくろむ人には、まったくお門違いの手法なのだ。

投資には、相場環境を見ながら短期間に売買を繰り返して利益を追求する短期利益追求型と、数カ月・数年から数十年という長期にわたって投資して、短期の値動きによらない投資効果を得る中長期堅実投資型の2つのタイプがある。

ドルコスト平均法は後者の中長期堅実投資型であり、日々の値動きを注視して売買のタイミングを見極めるといった手間を省くことができる代わりに、長期間投資することで大幅な損失を回避できるが大幅な利益も見込めない、それでも着実に利益を積み上げられる可能性がある無難な投資手法だと言える。この点が、投資リスクに尻込みする投資初心者に対して最もアピールできるポイントなのだ。

お目当ての金融商品がドルコスト平均法であることが分かった時点で、短期的に大きな利益を得ることを期待してはいけない。それを求めるなら自力で情報収集する手間や時間を費やすのを前提に一括投資などを選ぶ必要がある。このように、自分の投資方針に合わせて商品を選定するのが賢明だろう。

定期的で継続的な投資では手数料負担が積み上がる

ドルコスト平均法では、1カ月ごとなど定期的に中長期にわたって金融商品を購入する。少額から始められるのが売りの積立投資信託の場合、積立を継続する限り、毎回の購入価格が安くてもそのたびに手数料が掛かってしまう。こうして、相場環境に関わりなく毎回発生する各種手数料が大きければ大きいほど利益を圧迫してしまう。

ましてや、相場が悪いときや右肩下がりの局面にあるときは、手数料が積み上がってマイナスばかり増えてしまい、場合によっては元本割れリスクも出てしまう。こうなると、手数料が1回限りで安く済む分、一括購入したほうが有利になる。

定期的で継続的に発生する手数料は、価格が右肩下がりの場合、ドルコスト平均法のネックとなることを覚えておくべきだ。

場合によっては、損失の最小化のため他の選択肢も検討する

メリットもあるドルコスト平均法だが、前述のように価格の変動によって明らかに一括購入より不利になる、または利益が出ない場合がある。まとまった期間積立投資を継続し、相場がある程度読めるようになってきた、または投資の感覚に慣れてきたならば、場合によっては他の方法への切り替えを検討するのもよいだろう。

このままでは損失が拡大する一方だ、ドルコスト平均法のままではどうしても利益が出ないと判断した場合、思い切ってドルコスト平均法のぬるま湯から抜け出して、相場を見ながら一括購入に切り替えるバリュー平均法(一定額を積み立てるのではなく、相場の状況に応じて購入額を変動させながら積み立てる手法)を取り入れる、別の金融商品に乗り換えるなどの方法を検討すべきだろう。

もっとも、ドルコスト平均法は長期間継続することで価格変動リスクを低減できる仕組みなので、価格の回復を信じてその後も10年、20年という長期にわたって地道に積立を継続するのも選択の一つだ。

積立開始以来、価格が右肩下がりで回復する兆しがない、当初上昇を続けた価格がある時から下落の一途にある、こんな傾向が見られたら損切りするのも資産を守るためには必要な措置だろう。積立開始以来、ずっと右肩上がりを続けているような場合も、損失こそ出なくても、高値で購入することになり口数があまり増えない上に、やがて価格が下落するリスクもある。いくら右肩上がりでも投資金額が小さければリターンも小さいので、いっそのこと一括購入したほうが有利である、こうした判断を冷静に下せる素養ができていたら、あとは本人の決断次第だ。