遺言書は、遺された人たちに自分の思いを伝える大切な手段です。しかし、遺言書は所定の形式に則って作成しないと、法的拘束力を持たない場合があります。本稿では、遺言書を作成するときに注意しておきたい、遺言書の内容や形式について概要をお伝えします。

いつ作成したらよいのか

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(画像=PIXTA)

遺言書の目的は人によってさまざまです。ただし、遺言書には、遺言書として認められるための形式や条件があり、それらを満たさないと無効と判断されます。走り書きのようなメモ形式はもちろん、録音テープや本人の動画なども法的には無効になってしまいます。

形式を整えた遺言書を作成しようとすると、想像以上に知識・体力とともに時間が必要になります。また、遺言書が必要になる時(相続)というのは、ある日突然やってきます。遺言書は「いつごろ作ればいいかな」と考えだしたその時から、作成に取り掛かることをお勧めします。

遺言書作成の方法

遺言書の内容で、法的拘束力があるものを遺言事項といいます。遺言事項には、財産の相続分などを指定する「財産に関する事項」、子の認知や後見人などを指定する「身分関係に関する事項」、遺言の執行者などを指定する「遺言執行に関する事項」があります。これらを法定遺言事項といい、この法定遺言事項以外は法的な拘束力を持ちません。

また遺言書の形式も定められており、一般的に用いられる「普通方式」では「自筆証書遺言」・「公正証書遺言」・「秘密証書遺言」があります。この3つにはどのような違いがあるのでしょうか。

1.自筆証書遺言とは

自筆証書遺言とは、パソコンやワープロなどを使わずに、全て直筆で内容・作成日付・氏名を書く遺言書です。紙と筆記用具さえあれば作成でき、費用もかからず自分の好きなタイミングで書けるという手軽な方法として最も利用されています。

自筆証書遺言は、遺言者が一人で作れるという手軽さの反面、直筆ができない人は利用できません。何よりも、法的に形式不備になってしまう可能性が高くなりがちです。場合によっては、誰かが見つけて破り捨ててしまうなどの危険性もあります。

2.公正証書遺言とは

公正証書遺言とは、遺言者が公証人の前で遺言の内容を伝え、それに基づいて公証人が遺言証書をまとめていくものです。作成する場合は、本人と4親等内の親族関係にない証人2名と一緒に公証役場に行きます。法律のプロである公証人のアドバイスが受けられますし、公証人が遺言書をまとめていくため形式不備の危険性はほとんどありません。

また直筆ができない方でも、公証人に依頼することで遺言を残せますし、病気などで外出が難しいときは、病院や自宅などでも行うことが可能です。作成された遺言書は、公証役場で保管され、紛失・偽造リスクもありません。

一方で自筆証書遺言と比べて費用がかかってしまうというデメリットがあります。また遺言書の内容が証人に知られてしまうという点には気を付けなければなりません。信頼できる方に証人をお願いしましょう。

3.秘密証書遺言とは

秘密証書遺言は、公証人によって遺言書の存在を認められつつ、中身は伏せておきたい場合に使用されます。自筆証書遺言と異なり、パソコンなどに打ち込んだものや代筆でも可能です。秘密証書遺言のデメリットとして、遺言書に署名・押印して封じて公証役場に届けるため、遺言書の存在は認められても、形式に不備があった場合、法的に無効になるおそれがあります。

遺言書が効力を持つために

遺言書が効力を発生するためには注意すべきことがあります。一つ目は「検認」という手続きです。検認は、相続人に対し遺言書の状態や日付・署名を家庭裁判所で確認し、それ以降の偽造・変造を防止するものです。遺言書を見つけたからといってすぐに開封したりなどすると、過料を取られてしまう場合があります。自筆証書遺言と秘密証書遺言では、この検認が必要となります。

また、自筆証書遺言は自宅保管のため、保存状態に効力を左右されるおそれがあります。丈夫でない紙であったり、こすれて消えてしまうペンでの記入だったりすると、いざ開封したときに何が書いてあるかわからない、という事態が生じかねません。

相続を「争続」にしないために

遺された親族が、遺産などのために争ってしまう「争続」は何としても避けたいところです。そのためにも預金の通帳番号や不動産の登記簿謄本など、数字や記号で見分けられるものは具体的に記入しておいた方がよいでしょう。

また遺言書の内容は法律で定められていますが、それ以外のことを書いてはいけない、というわけではありません。「家族協力して事業を繁盛させる」「葬儀は密葬で」といった思いのたけをつづっておくことで、遺された親族が逝去された当人の意図を汲んでくれる場合もありますので、伝えたいことをしっかり残しておくことも大事です。

遺言書は旅立つ方はもとより、遺された多くの方に大きな影響を及ぼします。法的な形式をしっかり把握して、体力・時間に余裕があるうちに遺言書の作成を始めることをお勧めします。(提供:プレミアサロン


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