「良い対象先が見つからない…」「お金持ちはどこにいるのだろうか…」
営業を行う金融アドバイザーであれば、誰しもがこうした悩みを感じたことがあるだろう。野村證券で数々の営業記録を樹立し、最年少で本社PBに異動、プライベートバンカーとして超富裕層ビジネスに携わり、『鬼速PDCA』『営業 野村證券伝説の営業マンの「仮説思考」とノウハウのすべて』の著者でもあるZUU代表 冨田に「お金持ちの見つけ方」の極意を聞いた。(編集構成:ZUU online 編集部 菅野陽平)
目次
最重要顧客のペルソナから逆算する

——多くの金融アドバイザーにとって「お金持ち(対象先)を見つけること」がひとつのハードルになっていると思います。
努力を重ねているのに営業成績が伸び悩んでいるなら、顧客リストを見直してみるいい機会だよ。顧客リストが会社から渡される、もしくはルート営業で営業先が決まっている場合を除き、リスト選定ほどPDCAを回したときの成果が直接的な数字に表れるプロセスはないから。金融アドバイザーであれば「懐が深くて、資産運用のモチベーションが高くて、継続的に付き合ってくれる『いい顧客』を増やしたい」と考えるものだよね。
しかし、「いい顧客」とはどんな顧客セグメントで、どんな共通点を抱えているのかといった因数分解をしっかりしないと、取るべきアクションがわからないし、リストの改善もできない。リスト作りには「世の中にどんなリストがあるのだろう」ではなく「想定ターゲットはどんな属性の人たちなんだろう」という着眼点から始めることが重要。
想定ターゲットの特徴を分解し、そこから仮説を立て、リストの作り方を探り、検証し、精度を上げていこう。金融アドバイザーの場合、富裕層が最重要顧客のペルソナとなるケースが多いだろうね。富裕層にも年間のキャッシュフローが潤沢な「フローリッチ」とバランスシートが大きい(高い)「ストックリッチ」があり、一概に一括りにはできない。まずは、富裕層にはどのような特徴(因子)があるかメモに書き出して、リスト作成のヒントがないか考えてみよう。例えば以下のような特徴が考えられる。
・オーナー社長
・医療法人オーナー
・弁護士事務所の代表
・ビル(不動産)オーナー
・地域の地主
・地域で有名な神社の神主や寺院の代表
・大手上場企業の役員
・昔の有価証券報告書に記載されている役員(高額の退職金)
・昔の高額納税者リストに記載されている人
・子どもを慶應幼稚舎などの有名私立小学校に通わせている人
・ロータリークラブや法人会の上位役職に就いている人
・地価が高い地域に大きな家(不動産)を持っている人
・「一番地」の住所に住んでいる人
・会員制のホテルやスパリゾート、ゴルフ場の会員になっている人
・飛行機のファーストクラスを使う人
・百貨店の外商が自宅に訪れる人
・M&Aでバイアウトした元企業オーナー
・IPOした(または実施予定の)企業の役員以上
・資産管理会社保有者
私自身、こうやって書き進めていくときに目に止まったのが資産管理会社の存在だった。資産管理会社を持っている人はかなりの確率で富裕層であり、周りの先輩で資産管理会社を重点的に攻めている人はいない。もし資産管理会社のリストをつくることができれば、効率的に富裕層にアプローチできると思ったわけ。