日本では、超低金利の状況が長く続いています。銀行の定期預金金利は、キャンペーンなどでお得なときを利用しても0.2%程度です(1年物)。仮にこの利率で100万円を1年間預けても、受取利息はわずか2,000円(税引き前)です。しかし、日本人は安全、安心だからと元本保証のある現金や預貯金を漫然と保有する人が多くいます。

現金・預貯金で資産を保有する人が多い

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(写真=HelloRF Zcool/Shutterstock.com)

実際、国税庁が毎年発表する「平成28年分の相続税の申告状況について(全管)」における相続財産の構成比の推移を見ると、相続財産のなかでも高い比率を占める金融資産の一つに、現金や預貯金などがあります。さらに、超低金利の状況が長引いているにも関わらず、現金や預貯金などが占める割合が年々高まっている状況にあることが明らかになっています。元本保証で安全だからと、金融資産を現金や預貯金のままでいいのでしょうか?

相続税の基礎控除は引き下げ

少子高齢化が進む日本では、2015年に相続税の基礎控除額が「5,000万円+1,000万円×法定相続人の数」から「3,000万円+600万円×法定相続人の数」に引き下げられました。また、最高税率は50%から55%に引き上げられたのです。広く浅く相続税を徴収する動きが進むなか、相続税への理解を深めておく必要があるでしょう。

たとえば、現金の相続税評価額は時価です。現金1億円を相続すれば、相続税評価額は1億円になります。しかし、金融資産を現金から不動産に変えただけで相続税評価額を引き下げることが可能です。結果として節税効果が期待できるようになります。不動産は時価ではなく、固定資産台帳や路線価などから案出した評価に対しての課税です。

不動産に変えると課税評価額は減少

一般的に、土地は国税庁が定めた路線価に基づいて路線価の80%程度の評価額とされています。そして、建物は固定資産課税台帳に記載されている固定資産税評価額に基づいて評価され、建築費用の50~60%程度で評価されることが多い傾向です。そのため、不動産は他の金融資産よりも相続税評価額を減額できることから、結果的に相続税を抑えることができるようになるわけです。

また、不動産が投資用不動産で第三者に賃貸する場合にも、評価額を減額することができます。賃貸用住宅が建っている土地は貸家建付地になり、たとえば200平方メートルまでの土地の評価額は50%引き下げることが可能です。建物についても評価額を30%引き下げられますので、相続税の評価額を減額させることができます。

さらに、「小規模宅地等の特例」を活用することも可能です。賃貸用住宅を除く事業で使われている場合には、一定の条件のもと、200平方メートルまでの土地の評価額は80%引き下げることができます。また、居住の場合は夫が亡くなっても相続税の支払いのために同居している妻や子どもが自宅を売らなくても済むように配慮したもので、一定の条件のもと330平方メートルまでの土地の評価額を80%引き下げることが可能です。

相続税は資産家だけの問題ではない

このように、不動産を活用することで相続税評価額を減らすことができるようになり、結果として相続税を減らすことが可能になることから、節税効果が期待できます。相続税の対象者は、これまで資産家だけというイメージがありました。しかし、相続税制の改正で一般家庭でも相続税の対象になる時代に変わってきています。

こうした特例などを活用することで相続税の課税評価額を引き下げられることができるため、課税対象にならないで済む場合もあるでしょう。そのため、「相続税への対策を何もしていないから相続税の対象者になってしまっている」という風にも考えられます。相続税への理解を早い時期から深めて、事前に対策をとっておきたいものですね。 (提供:Wealth Window


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