「なかなかオーナー社長を開拓できない…」

営業を行う金融アドバイザーであれば、誰しもがこうした悩みを感じたことがあるだろう。野村證券で数々の営業記録を樹立し、最年少で本社PBに異動、プライベートバンカーとして超富裕層ビジネスに携わり、『鬼速PDCA』『営業 野村證券伝説の営業マンの「仮説思考」とノウハウのすべて』の著書でもあるZUU代表 冨田に「オーナー社長を開拓する9つの切り口」の極意を聞いた。(編集構成:ZUU online 編集部 菅野陽平)

目次

  1. 法人(オーナー社長)をあたるべき理由
  2. (1)事業承継
  3. (2)為替
  4. (3)資金調達
  5. (4)節税対策
  6. (5)不動産
  7. (6)資産管理会社
  8. (7)内部留保
  9. (8)福利厚生
  10. (9)非金融サービス
冨田 和成
神奈川県出身。一橋大学在学中にIT分野にて起業。2006年大学卒業後、野村證券株式会社に入社。新人時代は220件のオーナー社長を開拓し、同期トップになる。2年目以降は優良対象先に特化し、3年半で300件のオーナー社長を開拓。3年目終了時、7年目までの全セールスで営業成績トップに。史上最年少で本社の富裕層向けプライベートバンキングへ異動。シンガポールマネジメント大学でウェルスマネジメント、イエール大学でオルタナティブ投資のビジネススクールに通い、卒業後はASEAN地域の経営戦略担当等に従事。2013年3月に野村證券を退職。同年4月に株式会社ZUUを設立し代表取締役に就任。2018年6月マザーズ上場。

法人(オーナー社長)をあたるべき理由

元野村證券トップセールスが語る「オーナー社長を開拓する9つの切り口」【1万字インタビュー】
(画像=ZUU)

——前回のインタビューでもお聞きしましたが、なぜ法人(オーナー社長)にあたるべきか、今一度教えて下さい。

まず、法人は個人に比べてニーズが多様化しており、金融アドバイザーとしては提案できる商品の幅が広い。ということは、当たれる対象先が広がるということ。

元野村證券トップセールスが語る「オーナー社長を開拓する9つの切り口」【1万字インタビュー】
(画像=プロフェッショナルプランコンテンツより一部抜粋)

また、個人に比べて情報が取りやすい。あと一般論として、個人は昔からの付き合いを重視するウェット派、常に競争に晒されている法人はコスト削減に積極的なドライ派なので、良いものを提案すれば検討してくれる確率は法人のほうが高いという面もある。

元野村證券トップセールスが語る「オーナー社長を開拓する9つの切り口」【1万字インタビュー】
(画像=プロフェッショナルプランコンテンツより一部抜粋)

提案ロット(金額)が大きくなりやすいというのも法人をあたるメリットだね。また、オーナー社長は意思決定が迅速である場合も多く、即決即断してくれれば時間のロスも少ない。限られた時間で成果を出さないといけない営業パーソンにとって、これも実は大きなメリット。

——法人(オーナー社長)を開拓するうえで有効な切り口を教えて下さい。

因数分解していくとたくさん挙げられるんだけど、今日は9つの切り口を説明する。

(1)事業承継(※顧客の資産状況を聞き出すトーク例あり)
(2)為替
(3)資金調達
(4)節税対策
(5)不動産
(6)資産管理会社
(7)内部留保
(8)福利厚生
(9)非金融サービス

(1)事業承継

まず事業承継について。ベビーブーマー層がリタイア世代になりつつある昨今、事業承継に関するニーズが10年前くらいからずっと強くなり続けている。事業承継と一言で言っても、経営権(自社株)承継の問題と、「後継者として相応しい経営レベルを持っているか?」「取引先とうまくやっていけるか?」といった実務的な問題の2つに分解できる。今回はより金融アドバイザー向けに、前者(経営権の承継)について説明しよう。