税を徴収する国の戸惑い

それでは、国は仮想通貨をどのように位置付けているのか。2018年現在よりどころになる公的な見解は2017年の改正資金決済法だ。しかし、従来の課税対象とは異なる性質を持つ仮想通貨への国の戸惑いはその前後を通じてうかがうことができる。

●金銭か外貨か財産か

仮想通貨は通貨だろうか。法的には通貨とは強制通用力があるものを指す。現状、支払い時に相手が仮想通貨を受け取らなくても問題はなく、法的には通貨ではない。一方、経済学では、価値のあるモノとの交換に使えること、異なるモノの価値の尺度となること、その価値を貯蔵できることの3つの機能を有するものを通貨と考える。仮想通貨は、これらの機能はある程度満たしている。また、本来は支払い手段として生まれ、法的根拠がなくとも支払いに用いることも可能なので部分的ながら通貨の機能も果たしている。

では外貨との類似性はどうだろうか。仮想通貨はどの国の法定通貨でもないので外貨には当てはまらない。ただ、円貨との売買差益が生まれる点は外貨との取引に似ている。

それでは資産だろうか。資産は経済的価値があるものを指す。ただし、税の世界では、現金そのものは値上がりも値下がりもしないので資産とは考えない。外貨そのものも円に換算した価値を測ることができるので円貨に準じて資産にあたらないとされる(ただ、為替の変動で得た差益は「雑所得」として課税される)。後で述べるように完全にモノとして扱うなら、その売買には消費税がかかることとなるが、諸外国でも日本でも消費税はかからないという扱いになった。この点純粋な資産とは扱いが異なるものの、通貨や外貨以外の価値のあるモノなので資産であるとはいえる。

●改正資金決済法の前後

仮想通貨とは何か、について一定の回答となるのが2017年の改正資金決済法だ。この法改正そのものは、利用者保護などのために仮想通貨の取扱業者を規制するもので、直接仮想通貨について法的地位を与えるものではない。ただ、この法律で明文化された内容が2018年現在の国の公的な見解だといえる。

この法律の中で仮想通貨は、モノやサービスの購入する際に「代価の弁済のために不特定の者に対して使用することができ、かつ、不特定の者を相手方として購入及び売却を行うことができる財産的価値」であり「本邦通貨及び外国通貨ならびに通貨建資産を除く」とされている。

この前後に、仮想通貨に消費税をかかるかどうかが問題となっていた。2017年7月までは主要国(G7)の中で唯一日本だけが消費税を課していたが、改正資金決済法で仮想通貨が支払い手段と位置付けられたことと、諸外国の課税関係を考慮して消費税が非課税となった。

2017年12月には国税庁が「仮想通貨に関する所得の計算方法等について」を発表し、2018年現在の雑所得としての課税が定まった。

仮想通貨が誕生したのは2009年にビットコインの最初のブロックが作成されたときといえる。2014年には当時最大級のビットコインの取引所であったマウントゴックス社が破綻した、いわゆる「マウントゴックス事件」が起きたが、それを受け法整備が進められたことで、利用者は2017年前後から大きく増えた(一般社団法人日本仮想通貨交換業協会「仮想通貨取引についての現状報告 平成30年4月10日」)。

改正資金決済法前後で仮想通貨に係る消費税の扱いが変わるなど、急激な変化に国が戸惑っている様子がうかがえる。既存の金銭、外貨、資産との異同を踏まえ、国外の動きをにらみながら税制その他の法整備を図っている段階だ。

現在、仮想通貨は支払い手段というより投資の対象とされることが多い。そのため、他の投資と同じく分離課税にしてほしいと思う人も多いだろう。また、仮想通貨が広まることがブロックチェーンの技術を含めフィンテック(FinTech)の活性化につながる見解からも、税制を含めまだまだ議論は尽きない。国会でも既に取り上げられており、政府も慎重な見解を示しているが、今後も争点となるだろう。

ペナルティは大きい 確定申告は正確に

将来的に税制が変わる可能性があるかもしれないが、現時点では仮想通貨で得た利益は雑所得で総合課税だ。誰も源泉徴収してくれないので自分で税務署に対し確定申告を行う必要がある。

これまで給与から源泉徴収されたことしかない人にはなじみがないかもしれないが、1年の所得について翌年3月15日までに税務署へ申告しなくてはならない。勤め先企業からもらった源泉徴収票を基に給与所得について申告書に記入したうえで、仮想通貨での利益を加えて課税所得金額と納税額を申告する。

ただ、雑所得も含め給与所得以外の所得が20万円以内であれば、所得税については確定申告をしなくてもよいことになっている。国税庁の定めでは、給与所得者が源泉徴収以外に確定申告する必要があるのは「給与所得や退職所得以外の所得金額(収入金額から必要経費を控除した後の金額)の合計額が20万円を超える人」としているためだ。ただし、住民税についてはこの限りではなく、別途申告が必要となる。

では、仮想通貨での利益が20万円を超えたのに確定申告をしないとどうなるか。単なるうっかりミスで忘れていた場合でも延滞税はかかってしまう。延滞税とは利息に相当するもので、法定納期限の翌日から納付する日までの日数に応じてその税率が定められている。

正当な理由なく納税が遅れると加算税が課せられることになる。原則、納付すべき税額に対して、50万円までは15%、50万円を超える部分が20%となる。

せっかく仮想通貨で利益を上げても、そもそもの総合課税で3割以上の税がかかるうえ、遅れてしまうと延滞税と加算税で納税額の2割ほどの余計な税を払わなければならない。期限を過ぎても自発的に早期に申告すれば、延滞税や加算税の負担が軽くなることがある。まずは3月15日の締切厳守のうえ、どうしても遅れてしまったら即税務署に相談だ。

仮想通貨という投資から得た利益は、現在のところ雑所得とされ、総合課税となる。今後の展開次第では税制が変わる可能性もあるが、他の金融商品への投資に比べると不利な扱いといわざるを得ない。サラリーマンにはなじみがない手続きかもしれないが、20万円を超える利益があれば3月15日までに確定申告が必要だ。遅れるとさらに税負担が重くなるので確実に納税を行いたい。(ZUU online編集部)

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