東京都豊島区に位置する副都心「池袋」。東京23区の中でも、新宿や渋谷と並ぶ“三大副都心”のひとつとされています。池袋駅の一日あたり平均乗降車数は、おおむね260~270万人規模で推移しており、新宿駅とともに世界有数の規模を誇るターミナルです。

池袋エリアは、池袋駅を中心に百貨店や専門店、飲食店などが軒を連ねていて、池袋駅西口・東口ともに繁華街が形成されています。池袋を代表するランドマークとしては、水族館などのレジャー施設と大型商業施設が一体化し、海抜251メートルの展望台もあるサンシャインシティがあります。池袋界隈は「トキワ荘」に代表されるように、かつて漫画家が暮らした街としても有名で、現在もアニメ文化が根付く街として日本国内だけでなく外国人にも人気を博しています。

また、池袋駅を最寄りとする大学には、立教大学をはじめ東京音楽大学、帝京平成大学、東京福祉大学があります。周辺の駅までを含めると、学習院大学(目白駅・雑司ヶ谷駅)、お茶の水女子大学(茗荷谷駅・護国寺駅)、早稲田大学(早稲田駅・西早稲田駅・高田馬場駅)など、名門校と呼ばれる大学が集積している文教エリアとなっています。

このように、多くの人々を集める要素が豊富な土地柄となっている池袋ですが、2015年7月には池袋駅周辺地域が都市再生特別措置法に基づく「特定都市再生緊急整備地域」に指定され、143ヘクタールにわたる広大な地域内において再開発計画・整備が進められています。これから先どのような再開発が計画されているのでしょうか。これまでに行われた再開発もふまえ、池袋の未来について探っていきましょう。

“実質ゼロ円”で建設された、画期的な豊島区新庁舎建設

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(写真=PIXTA)

2015年5月7日、豊島区南池袋の2丁目に「豊島区新庁舎」が誕生しました。新庁舎が入る建物は、再開発建築物である「としまエコミューゼタウン」です。その1階の一部と3階から9階までが庁舎となっています。敷地面積は約8,324平方メートル、建築面積は約5,319平方メートル、延床面積は約94,681平方メートルで、高さは約189メートルにものぼります。

新庁舎の特徴としては、年間345日利用できる窓口サービスや、先端技術を駆使した災害への対応(安全・安心庁舎)、日本を代表するアーキテクトの英知を結集した環境庁舎、文化を体験できるミュージアム庁舎、そしてキッズコーナーを設けるなど子育てに優しい施設となっています。

「豊島区新庁舎」豊島区

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(豊島区公式ホームページより)

特に注目すべきなのは、豊島区は新庁舎を建設するにあたり、税金を投入せずに建設費用を捻出する画期的な手法を採用したことです。具体的には、下記のような点が挙げられます。

・閉校した日出小学校と児童館の敷地に加えて、周辺の住宅地までを含む区域を対象として大規模な新庁舎建築を計画。従前の土地の価値を高めることで、権利交換方式により豊島区が取得する床面積を増やすことに成功した。
・区役所に利用される区画と地権者に配分される区画のほかに生み出された住戸を販売、売り上げを建設費などに充当。
・木造家屋が密集する地域の再開発として、国から補助金も取得。
・旧区役所跡地は定期借家方式により民間に貸与し、賃料収入を得ることとした。

豊島区はバブル崩壊以降、財政難を理由に老朽化した庁舎の改築を進めることができずにいましたが、マンション建設の手法および定期借地方式を活用することで、豊島区庁舎は「日本初のマンション一体型本庁舎」として生まれ変わることとなったのです。

完成当事は「“実質ゼロ円”で建設された庁舎」として各メディアで報じられ、全国から各自治体が視察に訪れるなど大きな注目を集めました。税金を投入することなく、池袋に新しいランドマーク、コミュニティ形成の拠点が創出されたという意味でも、大きな意義のある再開発事業と言えます。

東京オリンピックに向けて整備が進む「Hareza(ハレザ)池袋」

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(東京建物 公式サイトより)

次に、豊島区庁舎(旧庁舎)の跡地活用について見ていきましょう。庁舎跡地では隣接する豊島公会堂・区民センター・分庁舎跡地との一体的な再開発計画が採用されました。豊島区は事業主である東京建物およびサンケイビルとともに、定期借地方式にて官民一体の再開発プロジェクトを進めています。この再開発エリアの愛称は「Hareza(ハレザ)池袋」に決定していて、2020年の東京オリンピック・パラリンピック前に全体が完成する予定となっています。

庁舎跡地では地上33階建て・地下2階・延床面積約6万8,000平米のオフィス棟「Hareza Tower(ハレザタワー)」の建設が進むとともに、公会堂跡地にて新ホール棟の整備、区民センターの改築、周辺の公園・道路や路上デッキの一体的な整備が進められています。完成形としては広場を囲むように「8つの劇場」が誕生し、国際的な”文化にぎわい拠点”となることが期待されています。なお、劇場空間については2019年より順次オープンとなる見通しです。

「Hareza池袋」庁舎跡地の活用と周辺まちづくりの推進

Hareza Tower ハレザタワー |(仮称)豊島プロジェクト オフィス棟

Hareza池袋「8つの劇場空間」

オリンピック後の発展を担う、池袋駅前の再開発

「Hareza池袋」のほかにも、池袋駅周辺では東京オリンピック以降を見据えた再開発計画が目白押しです。

・西武池袋旧本社ビル建替え計画

池袋駅を拠点とする西武ホールディングスは2018年現在、池袋旧本社ビルの建て替えを進めています。この建て替え事業は、もともとこの地にあった池袋旧本社ビルの敷地に加えて西武池袋線の線路上空や線路西側の同社所有地も活用し、地下2階・地上20階、延床面積約5万平米のオフィスビル「ダイヤゲート池袋」を建設するものです。低層部分には商業スペースも設けられていて、オフィスフロアには西武グループが入居する予定となっています。2019年春の開業を予定しています。

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(西武プロパティーズ 公式サイトより)

・池袋駅西口地区

池袋駅西口駅前では、東武百貨店(メトロポリタンビルを除く)、西口公園、バスターミナルを含む合計5.3ヘクタールを対象とした再開発計画の準備が進められています。2015年12月に「池袋駅西口地区市街地再開発準備組合」が設立され、三菱地所と三菱地所レジデンスの2社が事業協力者となっています。具体的には、区域内に3棟の高層ビルと駅前広場を配置する計画で、2018年度中に都市計画が決定される見通しとなっています。

この地区のうち、人気ドラマ「池袋ウエストゲートパーク」の舞台にもなった池袋西口公園は、クラシックのコンサートなどができる野外劇場として整備される計画です。2019年初頭から整備工事開始予定、2019年秋に完成予定となっています。

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(三菱地所設計 公式サイトより)

・池袋駅東西連絡通路(東西デッキ)整備

豊島区は2015年3月、池袋駅東西連絡通路(東西デッキ)整備基本構想を策定しました。これは「首都直下地震への早急な対策の推進」「快適な移動空間の整備推進」「池袋副都心における都市整備プロジェクトの連鎖的推進」を目的に、池袋駅線路上空に「北デッキ」と「南デッキ」2つの東西デッキを整備する構想です。

南デッキはメトロポリタンプラザビルの既存デッキと西武百貨店を接続する構想となっていて、2020年から工事着工が想定されています。また、北デッキについては池袋駅西口地区のまちづくりとの関連性を意識し、関係事業者と協議を行いながら整備を進めることとしています。

・西池袋一丁目地区

西池袋一丁目地区では、2017年6月からまちづくり懇談会が開催され、2018年3月には「まちづくり構想(案)」が策定されました。この地区は池袋西口に近い立地でありながら、小規模敷地が多く土地のポテンシャルが活かせていない点や、建物の老朽化や耐震性といった防災面が課題となっています。まちづくり構想(案)では「国際アート・カルチャー都市の実現に寄与する、周辺の再開発と連携した池袋西口の新たなランドマークの創生」を掲げています。

「文教エリア」としても発展し続ける池袋

冒頭で述べたように、池袋エリアには名門校を含む数多くの大学が集積しています。近年では、2000年に群馬県伊勢崎市で開学した東京福祉大学が2008年4月に池袋キャンパスを開設しました。同じく2008年4月には区立時習(じしゅう)小学校の跡地を使い、帝京平成大学が池袋キャンパスを新設しています。

そして2018年1月には、サンシャインシティに隣接する造幣局跡地において進む防災公園整備事業の一環として、東京国際大学の「池袋国際キャンパス」の開設が決定しました。この新キャンパスは、池袋にグローバル教育機能を集約した都市型国際キャンパスを開設するもので、地上22階、延床面積約3万5,000平米の校舎が建設される予定です。ここに川越キャンパスの収容定員約7,000人のうち3,500人を移転し、そのうち2,000人は100ヵ国超からの留学生で構成するものとしています。

東京国際大学は2020年10月にUR都市機構から土地の引渡しを受ける予定で、2023年までに新キャンパスの完成・開校予定とされています。

このように、池袋エリアはさまざまな再開発が進められています。さらなる可能性を含んだ池袋駅周辺の動向から、これからも目が離せません。(提供:マンション経営online


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