2018年9月14日に株式会社ZUUのオフィスにて、若手金融パーソンを対象とした少人数制懇親会が行われた。若手金融パーソンとZUU代表冨田の質疑応答内容をお届けする。(編集:元野村證券のZUU online編集部員 菅野陽平)

目次

  1. 質問①「アポは入るが、紹介したい商品まで話を聞いてもらえないときは?」
  2. 質問②「PB時代はどうやって新規開拓してたのですか?」
  3. 質問③「『これはやっておいたほうがいいよ』ということはありますか?」
  4. 質問④「なぜZUUを創業したのですか?」
  5. 質問⑤「これから金融業界はどうなると思いますか?」
「若手金融パーソンのリアルな悩み」に元野村證券トップセールスが回答【1万字レポート】
(画像=ZUU)
冨田 和成
神奈川県出身。一橋大学在学中にIT分野にて起業。2006年大学卒業後、野村證券株式会社に入社。新人時代は220件のオーナー社長を開拓し、同期トップになる。2年目以降は優良対象先に特化し、3年半で300件のオーナー社長を開拓。3年目終了時、7年目までの全セールスで営業成績トップに。史上最年少で本社の富裕層向けプライベートバンキングへ異動。シンガポールマネジメント大学でウェルスマネジメント、イエール大学でオルタナティブ投資のビジネススクールに通い、卒業後はASEAN地域の経営戦略担当等に従事。2013年3月に野村證券を退職。同年4月に株式会社ZUUを設立し代表取締役に就任。2018年6月マザーズ上場。

質問①「アポは入るが、紹介したい商品まで話を聞いてもらえないときは?」

質問者:私はテレアポですとか、飛び込みあるいはDMで営業をやっています。ドアノックはお役立ち情報…「相手先企業が喜んでくれそうな情報を提供しますよ」っていうスタイルで、アポは1日に2、3件入るんですけれども、実際にアポが入って提案をするときに、自分が紹介したい商品までいかない事が非常に多くてですね…。

冨田:「お役立ち情報」って言っているので、少し遠回りに感じているということですよね?

質問者:そうです。それは喜んでもらえます。喜んでもらったあとに「さあ、運用の提案をしたいな」ってなるんですけれども、「運用の提案だったら、いいや」みたいな感じで…。

冨田:これは「あるある」ですね。

質問者:そうですか。それどうやって解決しようかなっていう風に今…。

冨田:法人にやってるか、個人にやってるかで違うし、今回は個人に対してのお役立ち情報ではなく法人なので、法人の話からさらに個人の話まで持っていかなきゃいけないとか、そういう話になってくるんですけど。「どこかの金融機関使ってるか?」っていう話から入るか、お役立ち情報からニーズ喚起に入るかという2パターンあって、前者であれば「金融機関を使ってるかどうか?」という話に近づけていって「ああ、金融機関使ってるんですね、今どういうお付き合いなんですか?」「普通に銀行さんで借り入れだけですか?」みたいな話とか、証券会社さんとか使ってるんだったら「あれ?もしかしたら上場準備してるんですかね?」とか何かそういう話で、あえて外す。資産運用の話をしたいなら、あえて外してみます。

具体的なケースではないので少し広く言いますよ。ここでポイントになるのが、金融機関を使ってるときに、何らかのニーズを喚起して、自分たちの金融ビジネスの話につなげたい方向に最初から繋げてしまうと、結局また同じように「いやいや、別にそれはいいですからね」って話になっちゃうんで、あえて外す。外すと何が起こるかというと、外し方が遠すぎると「お前全然分かってないな」ってなっちゃうんですけど、人間って近くで外されると修正したくなるものなんです。たとえば早稲田の商学部だった人に「あれ?早稲田の経済学部でしたっけ?」みたいな。

「若手金融パーソンのリアルな悩み」に元野村證券トップセールスが回答【1万字レポート】
(画像=ZUU)

いくつかポイントが出てきたところから「あっ、取引されてるんですね?」「なんだ、言ってくださいよ僕に。証券会社なんですから」みたいな話から近づいていくか、もうちょっとだけ具体的に言うとしたら「あっ、ご運用されてるんですよね?」「うん、そうだけど…」と運用していることを先方の口から確認できたら、比較的「どのように運用されてるんですか?」という話にも近づけやすくなると思います。

もう1個は、抽象的ないくつかのニーズ喚起ポイントを投げて、情報提供する話題から課題の話に近づけてくるという話です。情報提供する話題が、たとえば業界向け情報のケースと、どの業界でも共通した情報のケースに分かれると思いますけど、今回はどっちが多いですか?

質問者:業界向けが多いです。

冨田:業界向けだとしたら、業界向けの情報提供の中に3つ目くらいに金融の話に移るブリッジを差し込んでおくとよいです。イメージで言うと、1つ目を話して2つ目がいきなり金融ビジネス寄りの話だと「こいつ、何かそっちに話を持っていこうとしてるな」とバレるので、少なくとも2つは「The 業界向けの情報」で、金融ビジネスには近づかず満足してもらった状態で、3つ目の情報として「不動産業界で事業承継が進んでる」とか「スルガさんの問題もあり、貸し出しが一気に絞られてきてる」みたいな話から資金調達の話をするとか。

ブリッジを入れるって事が非常に重要になってくる。そこから自然に金融ビジネスの話へスルッとすり替わるので、そこからは比較的金融ビジネスの提案がしやすいかなと。下のメンバーの同伴とかしたときに、ぶつ切りになってることを何度も目の前で見たので。

質問者:ぶつ切りになりますね、私も。

冨田:なのでブリッジを。「このトークからこのトークには、少し距離があるな」と感じた場合、ここに橋を架ける。業界情報と金融ビジネスのブリッジになるネタを用意する。

質問者:はい。どの業界でも共通している話題の場合は、どうやってブリッジするのですか?

冨田: それって結局「どういう企業、どういう場所を目指してるか?」とか、そういう話に近づけやすいです。「どういうところを目指してるか?」が分かると「そのために何が必要か?」という話になってくる。その中に金融ニーズとかぽろぽろと混ざってるケースが非常に多かったりしますし、給料を上げなきゃいけないとか、労務リスクとか訴訟リスクに備えて内部留保を少し蓄積しておかなきゃいけないだとか、そうしたら「保険を積み上げて置いた方がいいですよね」とか「そういった万が一の対策のために」とか。ブリッジのパターンをたくさん持つ事が重要なのかもしれないね。

質問者:ありがとうございます。「ブリッジ」と「外す」について、次の営業日から早速使ってみようと思います。今すごく具体的にイメージがついてて、私は不動産会社さんを主なターゲットとして営業活動をしてるんですけど、ちょうどスルガさんの事件があって、それで本当におっしゃっていた通り、地銀さんや信用金庫さんを中心に、スルガさん属性のお客様しか持たない不動産会社さんは倒産が始まってるんですね。どのぐらいかというと2017年の大体3倍ぐらいですね、今年は。本当にすごい数が倒産していて、ちょうどそこに関心がある方が多いので、早速ブリッジを架けながら営業してみようと思います。

質問②「PB時代はどうやって新規開拓してたのですか?」

質問者:野村證券のプライベートバンキング部門にいらっしゃったときの新規開拓の手法について教えて下さい。