会社名 デジタル・インフォメーション・テクノロジー株式会社

デジタル・インフォメーション・テクノロジー株式会社
(画像=インベストメントブリッジ)

証券コード / 3916
市場 / 東証1部
業種 / 情報・通信
社長 / 市川 聡
所在地 / 東京都中央区八丁堀4−5−4 FORECAST桜橋
事業内容 / 独立系情報サービス会社。業務システム開発、組込み開発等幅広く展開。金融、通信などに顧客企業多い。また、独自技術による自社製品開発販売に注力。
決算月 / 6月末日
HP / https://www.ditgroup.jp/

株式情報
(画像=インベストメントブリッジ)

- 株式情報 -
株価 / 発行済株式数(自己株式除く)/ 時価総額 / ROE(実)/ 売買単位
1,398円 / 15,361,356株 / 21,475百万円 / 21.1% / 100株
DPS(予)/ 配当利回り(予)/ EPS(予)/ PER(予)/ BPS(実)/ PBR(実)
14.00 / 1.0% / 43.37 / 32.2倍 / 170.68円 / 8.2倍
*株価は9/10終値。発行済株式数は直近期決算短信より。ROE、BPSは前期実績。

業績推移
(画像=インベストメントブリッジ)

- 業績推移 -
(単位:百万円、円)
決算期 / 売上高 / 営業利益 / 経常利益 / 当期純利益 / EPS / DPS
2013年6月(実) / 7,391 / 294 / 266 / 109 / 8.48 / 1.00
2014年6月(実) / 8,052 / 330 / 339 / 209 / 16.26 / 1.75
2015年6月(実) / 8,492 / 427 / 427 / 297 / 22.93 / 5.00
2016年6月(実) / 9,341 / 524 / 553 / 351 / 23.80 / 6.00
2017年6月(実) / 10,273 / 653 / 641 / 466 / 30.34 / 7.50
2018年6月(実) / 11,076 / 787 / 790 / 531 / 34.57 / 11.00
2019年6月(予) / 11,904 / 1,000 / 997 / 666 / 43.37 / 14.00
*予想は会社側予想。16年10月1日付および18年4月1日付でそれぞれ1:2の株式分割を実施。EPS、BPSは遡及して再計算。
*16/6期より当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。以下同様。

デジタル・インフォメーション・テクノロジー株式会社の2018年6月期決算概要、市川新社長へのインタビューなどをお伝えします。

今回のポイント

・18年6月期の売上高は前期比7.8%増の110億76百万円。エンベデッドソリューション事業が大きく牽引し、自社商品も着実に伸長した。販管費は1桁の伸びにとどまり、営業利益は同20.5%増の7億87百万円となった。
8期連続の増収増益で過去最高を更新した。

・19年6月期の売上高は前期比7.5%増の119億4百万円、営業利益は同26.9%増の10億円の予想。各事業とも増収を計画。新規事業への投資も継続するが利益率は向上し、2桁増益を見込み、9期連続の増収増益、過去最高更新へ。配当は中間、期末それぞれ7円/株の合計14円/株を予定。予想配当性向は32.3%。

・市川新社長にインタビューを行った。社長就任にあたり「不変」と「変化」という2つの言葉を掲げ、変えない部分、変わらなければいけない部分を明確にしたうえで活発に社員とのコミュニケーションを図り、理念やミッションを改めて社内に浸透させていくとともに、意識改革も進めて行く。また、ビジネスソリューション事業、エンベデッドソリューション事業、自社商品事業それぞれ今後の収益性向上の余地は大きいとのことだ。

・前回のレポートでも触れたが、同社の第4四半期(4‐6月)は、新入社員の受け入れ、期末手当の支給などがあるため、営業利益は他の四半期よりも低水準となる傾向があるが、前々期、前期の第4四半期(4‐6月)と比較し営業利益率は上昇傾向にある。市川社長へのインタビューにもあるように、主要事業において利益率向上の余地はまだまだ大きいようで、短期的には今期営業利益10億円達成がなるか、中長期的には自社商品事業が収益化した時点でどこまで全社の利益率を高めることができるかを注目したい。

1.会社概要

独立系の情報サービス会社。金融、通信などを中心顧客とした業務システム開発、組込み開発等の受託開発が売上の大半を占めるが、Webセキュリティソリューション「WebARGUS(ウェブアルゴス)」、Excel業務イノベーションプラットフォーム「xoBlos(ゾブロス)」を始めとした独自技術による自社製品の拡大に注力している。「多面多様のIT企業」、「部分最適と全体最適の組織戦略」といった特長を持つ。

【1-1 沿革】

日本電信電話公社在籍時にプログラマーの資格を取った市川 憲和氏(現:代表取締役会長)はコンピュータという今まで経験したことの無い新しい世界と出会い、その将来性に大きな魅力を感じ、チャレンジ精神を奮い起こされ独立。

1996年に知人が経営していた東洋コンピュータシステム株式会社の社長として経営を任された後、業務システム開発事業を皮切りに、コンピュータ販売事業(現・システム販売事業)、組込み開発検証事業、運用サポート事業などを手掛け、多面多様のIT企業として事業領域を拡大していった。

その後、2002年にグループ企業数社を完全子会社化して、同社の前身となる東洋アイティーホールディングス株式会社を設立し、2006年に子会社4社を統合し、現社名に商号変更した。

また、2011年1月にDIT America, LLC.を米国カンザス州に設立、2015年6月に東証JASDAQ市場に上場、2016年5月に東証2部市場に上場し、2017年3月に東証1部へ市場変更。

2018年7月、変化が加速する経営環境の下、経営体制の若返りを図り、迅速な意思決定を可能にする体制作りを目的として代表取締役専務 市川 聡氏が代表取締役社長に就任した。

【1-2 企業理念】

ロゴマーク
(画像=同社HPより)

*当社のロゴマークは、無限階段がついた立方体の集合体となっています。
*この集合体こそが、当社そのものであり、立方体一つひとつが社員一人ひとりを表しています。
*立方体の6つの面は、全社員が共有し、大切と考える6つの価値を表しています。
*この価値をお客様、会社、社員の3層で言葉に表したのが、当社の企業理念です。

ロゴ2
(画像=同社HPより)

立方体を展開したのが上の図で、市川社長によれば、「まずは顧客起点。ここから全てが始まる。」ことを強調している。その意識の下で、会社としては「社員の育成」と「対顧客、社員同士のコミュニケーション」、社員は「付加価値の向上」、「熱い情熱を持つ」、「目的意識を持つ」ことが重要な価値であることを示している。

社員はこの理念をクレドにして携行し、常に基本に立ち返ることとしている。

【1-3 事業内容】

1.セグメント

セグメントは「ソフトウェア開発事業」と「システム販売事業」の2セグメント。「ソフトウェア開発事業」は、ビジネスソリューション事業、エンベデッドソリューション事業、自社商品事業の3事業から構成されている。

事業別売り上げ構成
(画像=インベストメントブリッジ)

(1)ソフトウェア開発事業

①ビジネスソリューション事業

(業務システム開発事業)
金融業、医薬・製薬業、通信業、流通業、運輸業等の幅広い分野において、エンドユーザーや顧客の情報システム子会社からの受託開発が中心。その他、大手SIベンダーからの受託開発も行っている。
具体的には各分野で培った技術により、Web系や基幹系、フロント業務からバックオフィス業務、新規システム開発や保守開発を行い、各分野の大手企業との信頼関係を築き上げ、安定した受注を確保している。

(運用サポート事業)
主要取引先は通信キャリア、人材総合サービス会社、及び航空会社系情報システム子会社など。
「ITを通じて顧客の日常業務の運用をサポートする事業」であり、大手顧客の事業ドメインに沿った形での継続的なビジネスであるため、安定した収益を見込むことができている。

具体的な業務内容としては、以下のようなものがある。
◇各種業務システムを用いるエンドユーザーに対するサポートデスク業務
◇インフラ(サーバー、ネットワーク)の構築・維持保守を行う業務
◇最新技術動向に応じた、効率的なシステム運用を行う業務

②エンベデッドソリューション事業

(組込み開発事業)
車載機器、モバイル機器、情報家電機器及び通信機器等のソフトウェア開発を大手メーカーから直接受託している。
この内、車載機器、モバイル機器、情報家電機器等においては機器のファームウェア、デバイス機器の制御、アプリケーション等、システム全体にわたるソフトウェア受託開発を行っている。

特に、今後成長が見込める車載機器においては、インフォテインメントをはじめ、新しい技術である自動運転関連に注力している。また、通信機器においては、無線基地局や通信モジュール機器のソフトウェア受託開発を行っている。

(組込み検証事業)
製品に対する品質や性能の検証業務の受託及び検証業務を通じて機能や製品の改善について提案を行っている。
専門的な機器を使用し動作や性能を検証するラボ試験や、国内・海外(北米、アジア、ヨーロッパ等)の実際の環境で検証するフィールド試験、最終的な品質検証として第三者の観点で実施するシステム総合試験まで、様々な検証業務を行っている。

海外で実施するフィールド試験については、必要に応じて子会社のDIT America, LLC. に委託することにより、迅速なサービス提供と現地スタッフの感性も踏まえたユーザビリティの検証を行っている。
対象機器としては、車載機器、医療機器、通信機器、モバイル機器等である。

③自社商品事業

成長分野として独自技術の商品を自社開発し販売している。
現在同社が販売に特に注力しているのは、ウェブサイ卜の改ざんを発生と同時に検知し、瞬時に元の正常な状態に復元できる、新しいセキュリティソリューション『WebARGUS(ウェブアルゴス)』、データの分解・再構成機能を特徴とし様々な形のデータ事務処理ニーズに応えるExcel業務イノベーションプラットフォーム『xoBlos(ゾブロス)』の2つ。

この他、電子メールに電子署名を自動的に付与し、フィッシング詐欺やブランド盗用による被害を未然に防ぐためのソリューション『APMG(エーピーエムジー)』、ホームページ編集・更新が容易にできるCMS(コンテンツマネジメントシステム)『楽らくページ』などがある。

(2)システム販売事業

同社及び子会社の東洋インフォネット株式会社が、カシオ計算機株式会社製の中小企業向け業務支援・経営支援基幹システム「楽一」の販売を行っている。
販売エリアは、神奈川からスタートし、東京、千葉、群馬、愛媛へと順次拡大。ユーザーに対し、手厚いサポートを行うことで、リピート率の向上に努めている。加えて、コールセンターを設けて新規顧客開拓を進めており、「楽一」販売台数は全代理店中14年連続全国No.1となっている。

2.注目の戦略商品

①Webセキュリティソリューション「WebARGUS(ウェブアルゴス)」

WebARGUSは、ウェブサイ卜の改ざんを発生と同時に検知し、瞬時に元の正常な状態に復元できる新しいセキュリティソリューション。改ざんの瞬間検知・瞬間復旧により、悪質な未知のサイバー攻撃の被害から企業のウェブサイトを守ると同時に、改ざんされたサイトを通じたウイルス感染などの被害拡大を防ぐ。

ウェブアルゴス
(画像=同社資料より)

◎増加するウェブサイト改ざん
「JPCERTコーディネーションセンター」が公開しているインシデント報告対応レポートによると、毎月100件前後の報告がなされており、官公庁なども含めて規模に関わらず常にその脅威に晒されている。

「JPCERTコーディネーションセンター」(※):インターネットを介して発生する侵入やサービス妨害等のコンピュータセキュリティインシデントについて、日本国内に関する報告の受け付け、対応の支援、発生状況の把握、手口の分析、再発防止のための対策の検討や助言などを、技術的な立場から行なっている。

◎「WebARGUS」開発の背景
こうした状況の下、電子メールに電子署名を自動的に付与しフィッシング詐欺やブランド盗用による被害を未然に防ぐためのソリューション「APMG」を既に自社開発しリリースしていた同社は、セキュリティに関するコア技術をベースに「WebARGUS」を2年程の調査の後、2013年春に開発に着手。2014年7月にリリースした。

同社はITに関する多様で豊富な技術を有するのが大きな特長・強みだが、セキュリティのコア技術に関してもハイレベルである。これは、受託開発では飽き足らず独自製品を作りたいという同社エンジニアのベンチャーマインドやチャレンジ精神に起因するもので、後述する同社の企業文化、カンパニー制度に代表される組織戦略が大きく影響しているといえそうだ。

製品の特長・概要
(画像=インベストメントブリッジ)

◎製品の特長・概要
*ウェブサイトの改ざん状態を極力ゼロにする瞬間検知・瞬間復旧
*正規ユーザーになりすました改ざんや内部犯行、防御が困難な新手の手口にも対応
*1ビットの改ざんも見逃さない、『電子署名』技術を駆使した高精度の改ざん検知
*アプリケーションや設定ファイルを狙った高度な改ざん攻撃にも対応
*通常監視時にウェブサーバにかかるCPU負荷(使用率)は1%未満
*改ざんされたファイルを証拠として保存する証拠保全機能搭載

Webサイト改ざん被害に遭った場合、サイトの公開停止、被害箇所の特定、防御強化、サイト復旧・再公開という手順を取ると復旧までは平均で1か月かかる。仮にEC(電子商取引)を手掛けていれば、売上減少、再公開の周知の手間、一度離れた顧客の呼び戻しが困難など、その被害は甚大なものとなる。

これに対し、「WebARGUS」を導入していれば、改ざんの瞬間検知・瞬間修復により、サイトの状態を正常に維持し続けることが可能なため、改ざんを検知しても慌ててサイトの公開を停止する必要がない。サイトの運用を続けながら、改ざんされた原因を追求し防御強化に専念する事ができる。

他社の改ざん検知ソフトは、事前設定によって決められたタイミングや間隔でWebサイトを検知する定期監視が主流。ただこの場合は改ざん時と検知時のタイムラグが発生するため、改ざん状態は免れない。またタイムラグを縮小するために検知の間隔を短くするとCPUへの負荷が大きくなってしまうなど課題が残る。

「WebARGUS」は、WebのOSに何らかのイベント(閲覧されている以外の、データを消された、書き加えられた等)が発生するとそのイベントを検知するリアルタイム検知を行うため、そのような課題は発生しない。
加えて、同製品は検知した改ざん状態を0.1秒未満(デモ環境の平均値:1ファイル当たり0.003秒)で正常復旧することが可能な、瞬間復旧機能を搭載している点が大きな特長であり、この瞬間復旧は同社のオリジナル技術である。

「WebARGUS」の年間ライセンス利用料は1OSにつき\480,000(税別)で、サポート込み。 マイナーバージョンアップ時の更新モジュールの無償提供なども含む。

◎導入および販売状況
リリース当初はWebサイトセキュリティに対する考え方は侵入に対する防御が中心で、「改ざん検知」自体の認識が低いこともあり、ややスローな立ち上がりであったが、日本におけるIT国家戦略を技術面、人材面から支えるために設立された経済産業省所管の独立行政法人「IPA(情報処理推進機構)」でも、改ざん防止のための対応への言及が増加していること等から、「防御ソフトのみでなく改ざん検知ソフトが必要」という共通認識が急速に広がりつつある。

加えて、2017年11月16日に発表された「サイバーセキュリティ経営ガイドラインの改訂ポイント」において経済産業省は、「攻撃の検知」および「復旧」に関する「サイバーセキュリティリスクに対応するための仕組みの構築」を新たに重要項目として追加したこともあり、引き合いは更に強まっているという。

こうした環境下、同社では、より高度なセキュリティの必要性を認識しているユーザー層を対象に、セミナーの開催、展示会への出展などのプロモーションやマーケティングを展開している。
販売力強化に関しては、代理店販売にも力を入れており、現在の代理店契約総数は37社。
また、データセンターやクラウドサービス事業者との協業にも積極的に取組んでいるほか、国内への製品販売だけでなく、海外進出も予定しており、世界中のウェブサイト改ざん攻撃に対応する考えだ。

◎商品力の強化
当初はLinux版のみであったが、2016年4月にはWindows版を、2017年9月にエンタープライズ版をリリースしたほか、2018年2月にはトータルWebセキュリティ機能を大幅に強化する次世代型クラウドWAF「WebARGUS Fortify」の提供を開始した。特に大規模企業向けであるエンタープライズ版のリリースにより、上場企業を中心とした大企業の導入事例も増加している。
また、ユーザーの利便性を高め、一層の普及を促すべく「SaaS」による提供も開始した。

加えてIoT時代のセキュリティ対策を見据えた組込み製品向けWebARGUSをはじめとして、製品の適用範囲の拡大を検討している。特に組込み版については正式なプロジェクトを立上げ、製品化に向けて具体的なビジネスの検討と技術調査を継続中である。

②Excel業務イノベーションプラットフォーム「xoBlos(ゾブロス)」

IT化の進んだ先進企業でも、現場ではExcelを利用した手作業を含む様々な業務が数多く存在している。紙帳票からの手入力によるExcel帳票生成、複数のExcelシートを元にした集計作業、パッケージシステムから抽出されたCSVデータの可視化と分析等の非定型業務の多くは、現場部門の地道な手作業によって処理されている。
同社が独自開発した「xoBlos(ゾブロス)」は、こうしたExcelベースの非効率な業務を完全自動化し、劇的な業務効率化をサポートするもの。

ゾブロス
(画像=同社資料より)

◎開発の背景
企業では見積書や請求書作成に表計算ソフトの代表であるExcelを用いるケースが多いが、例えば、顧客ごとに異なったフォーマットの見積書、請求書をExcelで作成している場合、集計、分類・分析などを行うにはシステム化は困難で、手入力が必要となる。そこで、この作業を自動化し業務効率の大幅な改善を目指すことを目的として開発されたのがExcel業務イノベーションプラットフォーム「xoBlos」である。

製品の特長・概要及び導入例
(画像=インベストメントブリッジ)

◎製品の特長・概要及び導入例
*異なる形式のデータでも、まとめて集計・加工可能
*使っているExcel表を活かしたまま、効率化が可能
*マクロに比べ最大で数十倍の処理速度
*Excel表出力エンジンとして他社パッケージ製品に組込み可能

Excelを利用した業務効率の大幅な改善を目的として約8年前にリリースした「xoBlos」だが、長時間労働の是正を中心とした「働き方改革」のトレンドが強まる中、「現在使用しているExcelを使った業務フローをそのまま流用しながら業務効率化から経営判断に資する情報提供までをカバーする全社プラットフォームが構築できる」と言った効率性や、手軽さや導入コストの相対的な安さなどから注目度が飛躍的に高まっている。 まさに「時代が同社とxoBlosに追い着いてきた。」状況だ。

また、商品力強化に向けて2018年2月にはExcel業務の自動処理化をより一層強化した「xoBot(ゾボット)」の提供を開始した。「xoBot」は、得意とする Excel処理に加えてRPA(※)製品や他システムとの連携機能を持たせることで自動化処理をより一層強化したプラットフォーム商品。 PCクライアント上で動作する業務自動化プラットフォームである今回の「xoBot Solo(ゾボット ソロ)」に続き、8月にはWeb Server上で動作する業務自動化プラットフォーム「xoBot corabo(ゾボット コラボ)」を投入する予定だ。

同社では、「xoBot」を契機として今後提供するxoBlosテクノロジーを使った新商品・新サービスを「xoBlos2.0世代」と位置づけ、販売活動を展開していく考えである。

※RPA(Robotic Process Automation)
ロボットによる業務自動化の取り組み。AI(人工知能)や、AIが反復によって学ぶ「機械学習」等の技術を用いて、主にバックオフィスにおけるホワイトカラー業務の代行を担う。人間が行う業務の処理手順を操作画面上から登録しておくだけで、ソフトウェア、ブラウザやクラウドなどさまざまなアプリケーションを横断して処理することができる。

*導入事例:住友林業グループ「予算集計業務を月間180時間削減」
(同社資料よりインベストメントブリッジ抜粋・要約)

住友林業グループは、住友林業株式会社(東証1部、1911)を中心に100社を超える子会社、関連会社から構成され、新築注文住宅と木材建材を2本柱に資源環境事業、海外事業、不動産仲介事業など幅広い事業を展開しており、17年3月の売上高1.1兆円、営業利益539億円の大企業。2014年5月に、xoBlosの本格的な導入を開始した。

(xoBlos導入前の状況)
住友林業株式会社の住宅事業本部住宅企画部業績管理グループは住宅事業の売上管理と決算業務を担当し、月次の損益見込みの集計と年次予算の策定の作業が大きな負荷になっていた。

毎月160組織分の損益見込みデータが各拠点からメールで送付され、担当者が半日かけてエクセルシートに貼り付けて集計。手間もかかり、ミスも起こりがちで、年に一度の予算策定の場合は、拠点ごとに何百項目ものデータが必要になり、集計するのに大きなマンパワーが必要になっていた。また、同社の情報システム子会社である住友林業情報システム株式会社では、予算の集計は5、6台のパソコンでエクセルを使って、分散して処理していたが、結果が返ってくるまで丸1日間かかるため、その間は他の作業ができない状態であった。

(導入効果)
xoBlos導入は期待通りの効果を発揮したという。

◇エクセルと操作性が変わらないため特に研修などは必要なく、簡単なマニュアルを用意するのみであった。

◇以前は月次データをユーザーが基幹システムから抽出して一つ一つ転記していたが、xoBlosは基幹システムと連携してデータを引き出せるので、ワンクリックで済み、転記ミスはゼロになった。

◇各支店で2時間程度かかっていた作業がゼロになったことで、合計で120時間削減できた。また、本部での集計作業もわずか5分で完了し、ミスも根絶することができた。

◇従来の予算集計システムでは集計結果1回の更新に1分から2分かかるところが、エクセルライクなxoBlosであれば、1秒から2秒で済むようになった。

◇グループ会社で木造注文住宅の施工・監理を行う住友林業ホームエンジニアリング株式会社には700名の技術(大工)職がいて、どんな技術や資格を持っているかを自己申告するスキルマップシートを作成しており、その集計にxoBlosを利用している。これまでは前年分のスキルマップシートを個人が保管して毎年見直してきたが、xoBlosを使うことで、前年度のシートを配布して過去の履歴を見ながら記入できるようになった。当然、提出もワンクリックで行え、さらに集計機能を使って分布を確かめることもできるため同社にとって重要なスキルの現状分析も簡単に行える。

2014年にxoBlosを導入した同社は、2015年にはRPA化を進めた結果、予算・損益実績集計業務において、全部で11の必要作業中、「会計システムにログインして経費実績をダウンロードして保存」、「住宅システムにログインして売上実績をダウンロードして保存」、「ソブロスにログインしてダウンロードした経費実績をシートに取り込み」、「ダウンロードした売上実績をシートに取り込み」、「前月の実績シートと翌月の見込みシートを印刷」、「ソブロスにログインして見込みのシートを確定」、「会議用資料に実績と見込みの数字を取り込み」、「本部に見込みを報告」、「会議用資料を参加者にメール」という 9つの作業をロボットが行った結果、月間60時間の作業時間を削減することができた。上記、xoBlos化による120時間の削減と合わせてxoBlosとRPAにより最終的には一つの業務でトータル月間180時間の作業時間を削減することが出来たこととなる。

住友林業ではxoBlosの効果に加えDITの迅速なサポート体制も高く評価しており、グループ全体でのxoBlosのより一層の活用を計画しているということだ。

◎導入及び販売状況
現在の累計導入社数は310社を超えた。
販売に関しては、主力代理店の一つである大興電子通信株式会社(8023、東証2部)とのセミナー共催など、大興電子通信の持つ幅広い顧客層と拠点、販売力を活かすことを中心に営業を展開中。
当初は中堅企業の採用が中心だったが、現場業務の効率化ニーズが増大する中、大企業の導入実績も増加しており、足元では新規導入先の約7割は大企業となっている。
販促のためのセミナーを毎週3回開催しているが、ほぼ毎回満席状態が続いているという。

【1-4 特長と強み】

①多面多様のIT企業

同社は、IT技術の進化と変化に柔軟に対応して業務システム開発事業を皮切りに、コンピュータ販売事業(現・システム販売事業)、組込み開発検証事業、運用サポート事業などに事業領域を拡大すると同時に、その過程で磨き上げてきた技術力をベースに自社による独自製品の開発販売にも取組んでいる。幅広い事業領域と独自性のある自社製品を提供する事の出来る「多面多様のIT企業」である点が同社の大きな特徴である。

②幅広い顧客基盤

取引先は約2,600社で、上場企業及びその関連会社から中小企業まで幅広い。
顧客の約7割が直接取引である。

③部分最適と全体最適の組織戦略

部分最適と全体最適の相反する2要素をバランスよく活かした組織戦略も同社の大きな特徴となっている。
部分最適に関しては、カンパニー制度の導入で専門特化したカンパニーを立上げ、その領域でのNo.1を目指すとともに、ベンチャーマインドを持った経営者の育成・輩出を行っている。
全体最適に関しては、本社・本部が事業のスクラップアンドビルド、各カンパニー間のコラボレーション、新規事業領域の開拓など、カンパニーの独自性を尊重しながら、シナジーを追求している。

各カンパニー概要
(画像=インベストメントブリッジ)

(各カンパニー概要) 主な事業 / カンパニー名 / 概要

業務システム開発事業
・ビジネスソリューションカンパニー
・顧客の様々な問題解決を支援する提案型SI事業を展開。
特に金融・通信・流通分野では、長年培った業務知識と技術基盤を核とし、汎用系からWeb系、基幹系から情報系まで幅広いソフトウェアの設計・開発を、業界のトップ企業から請け負っている。また、新たな事業領域として「保険薬局総合管理システム(Phant's)」のASP事業を展開している。

業務システム開発事業
・eビジネスサービスカンパニー
・主に、金融業や大手小売業を中心に、ECサイトや、顧客向けサービスサイト、企業向け業務システムなどの、Web系システム構築、保守を長年にわたって手がけている。これまでの経験で培った技術を元に、顧客のニーズに合ったワンストップサービスを提供している。

運用サポート事業
・サポートビジネスカンパニー
・幅広い知識を有するエンジニアがシステムの導入支援、インフラ構築、ネットワーク運用管理、アプリケーション・ミドルウェア開発など、顧客のニーズに合わせて最適なIT環境(サービス)をワンストップで提供している。

組込み開発事業
・エンベデッドソリューションカンパニー
・車載機器、通信機器、産業機器、デジタル家電などのエンベデッド(組込み)システムを中心に、制御系システム開発に特化している。組込みシステム開発は、ハードウェアが持つ物理的な条件に左右されるために制約が多く、一般的なアプリケーション開発とは異なる発想が求められるため専門性に優れた多数のシステムエンジニアを擁している。

組込み検証事業
・クオリティエンジニアリングカンパニー
・カーナビゲーションシステムなどの車載機器をはじめとして、医療機器、通信インフラ、モバイル端末等のソフトウェア評価・検証業務を幅広く行っている。製品の品質向上を第一に考え、テスト計画の策定から、設計、実施、運用、分析、コンサルティングまでのトータルサービスを提供している。
2011年より米国現地法人DIT America, LLCと連携。海外での検証業務にも対応している。

(複合)
・西日本カンパニー
・大阪を中心に名古屋以西を活動の拠点とし、業務システム開発、運用サポート事業/モバイル、Webアプリ開発事業/組込み開発事業(車載機器やセキュリティ関連)の三本柱でDITの一翼を担う。
昨今はマルチスキルを活かしたIoT、Webサービス事業への展開を目指している。

(複合)
・愛媛カンパニー
・愛媛県を拠点とし、地域特有の様々な業種・業態のニーズに応えた、ものづくりからソフト商品の販売やシステム機器販売、運用やシステムサポートに至るまで、付加価値の高いワンストップサービスを提供、ITビジネスによる地域活性化に貢献している。また、他カンパニーの技術者不足にも対応するために、多目的IT開発センターに地元採用の人材を配置している。

④独自性のある自社製品の開発・販売

前述した「xoBlos」及び「WebARGUS」を代表として長年培ってきた技術を活かして様々な独自性のある自社製品を開発している。将来の収益の柱として育成している。

2.2018年6月期決算概要

(1)連結業績概要

連結業績概要
(画像=インベストメントブリッジ)

(単位:百万円)
  / 17/6月期 / 構成比 / 18/6月期 / 構成比 / 対前期比 / 対計画比
売上高 / 10,273 / 100.0% / 11,076 / 100.0% / +7.8% / +2.4%
売上総利益 / 2,376 / 23.1% / 2,595 / 23.4% / +9.2% / -
販管費 / 1,722 / 16.8% / 1,807 / 16.3% / +4.9% / -
営業利益 / 653 / 6.4% / 787 / 7.1% / +20.5% / +7.9%
経常利益 / 641 / 6.2% / 790 / 7.1% / +23.3% / +9.1%
当期純利益 / 466 / 4.5% / 531 / 4.8% / +14.0% / +7.9%

8期連続の増収・増益。計画も上回る。

売上高は前期比7.8%増の110億76百万円。エンベデッドソリューション事業が大きく牽引し、自社商品も着実に伸長した。販管費は1桁の伸びにとどまり、営業利益は同20.5%増の7億87百万円となった。
8期連続の増収増益で過去最高を更新した。

(2)セグメント別動向

セグメント別動向
(画像=インベストメントブリッジ)

(単位:百万円)
  17/6期 / 構成比 / 18/6期 / 構成比 / 前期比
ソフトウェア開発事業 / 9,635 / 93.8% / 10,457 / 94.4% / +8.5%
システム販売事業 / 638 / 6.2% / 619 / 5.6% / -2.9%
売上高合計 / 10,273 / 100.0% / 11,076 / 100.0% / +7.8%
ソフトウェア開発事業 / 659 / 6.8% / 798 / 7.6% / +21.2%
システム販売事業 / -7 / - / -10 / - / -
調整 / 2 / - / -0 / - / -
営業利益合計 / 653 / 6.4% / 787 / 7.1% / +20.5%
*売上高は外部顧客への売上高。利益の構成比は売上高営業利益率。

(売上動向)

売上動向
(画像=インベストメントブリッジ)

(単位:百万円)
  / 17/6期 / 構成比 / 18/6期 / 構成比 / 前期比
ビジネスソリューション / 6,258 / 60.9% / 6,487 / 58.6% / +3.6%
エンベデッドソリューション / 3,071 / 29.9% / 3,577 / 32.3% / +16.5%
自社商品 / 304 / 3.0% / 392 / 3.5% / +29.0%
システム販売事業 / 638 / 6.2% / 619 / 5.6% / -2.9%

◎ソフトウェア開発事業

増収・増益。

*ビジネスソリューション事業分野
業務系ソフトウェアは金融を中心に医療・製薬系、社会インフラ系等の業種全般が伸びると共に、運用サポートも好調に推移した。

*エンベデッドソリューション事業分野
大幅増収となった。車載向け開発に関しては全ての顧客向けに順調で大きく増加。IoT向けモバイルアプリ開発が進展したほか、半導体関連の組み込み開発では、車載ネットワーク上のデータを保護し、電子制御ユニット (ECU) への不正接続を防止するセキュアマイコンのソフト開発案件が大きく増加した。

*自社商品事業分野
大幅増収。「WebARGUS」はエンタープライズ版の投入などで大手企業への導入が段階的に進んでいる。
「xoBlos」も製品シリーズ化や、働き方改革の有効ツールとしての認知度向上を背景に案件数が大幅に増加した。

◎システム販売事業

減収・損失はやや拡大。

カシオ計算機株式会社製の中小企業向け「楽一」は前年同期並みで推移した。

(3)財務状態とキャッシュ・フロー

◎主要BS

主要BS
(画像=インベストメントブリッジ)

(単位:百万円)
  / 17年6月末 / 18年6月末
流動資産 / 3,139 / 3,447
 現預金 / 1,346 / 1,627
 売上債権 / 1,555 / 1,562
 たな卸資産 / 144 / 136
固定資産 / 574 / 635
 有形固定資産 / 91 / 115
 無形固定資産 / 23 / 18
 投資その他の資産 / 458 / 501
資産合計 / 3,713 / 4,083
流動負債 / 1,023 / 1,305
 仕入債務 / 317 / 328
 短期借入金 / 32 / -
固定負債 / 275 / 155
 長期借入金 / 4 / -
負債合計 / 1,299 / 1,461
純資産 / 2,414 / 2,621
 株主資本 / 2,408 / 2,610
負債純資産合計 / 3,713 / 4,083
長短借入金残高 / 37 / -

現預金増等で流動資産は前期末と比べ3億8百万円増加。投資その他の資産の増加で固定資産は同61百万円増加し、資産合計は同3億69百万円増加の40億83百万円となった。

負債合計は同1億62百万円増加し14億61百万円となった。

利益剰余金の増加で純資産は同2億7百万円増加し26億21百万円。

この結果自己資本比率は前期末から0.8ポイント低下の63.7%となった。

◎キャッシュ・フロー

キャッシュ・フロー
(画像=インベストメントブリッジ)

(単位:百万円)
  / 17年6月期 / 18年6月期 / 増減
営業CF / 221 / 747 / +525
投資CF / 125 / -94 / -219
フリーCF / 347 / 653 / +306
財務CF / -97 / -373 / -276
現金同等物残高 / 1,346 / 1,627 / +281

利益の増加等で営業CFのプラス幅は拡大。前年同期にあった有形固定資産の売却による収入が無くなったことなどから投資CFはマイナスに転じたが、フリーCFのプラス幅は拡大した。
前期にあった株式の発行による収入が無くなった一方自己株式の取得があったため財務CFのマイナス幅は拡大。
キャッシュポジションは上昇した。

3.2019年6月期業績予想

(1)通期業績予想

通期業績予想
(画像=インベストメントブリッジ)

(単位: 百万円)
  / 18/6月期 / 構成比 / 19/6月期(予) / 構成比 / 前期比
売上高 / 11,076 / 100.0% / 11,904 / 100.0% / +7.5%
営業利益 / 787 / 7.1% / 1,000 / 8.4% / +26.9%
経常利益 / 790 / 7.1% / 997 / 8.4% / +26.1%
当期純利益 / 531 / 4.8% / 666 / 5.6% / +25.3%
*予想は会社側発表。

9期連続増収増益へ。

売上高は前期比7.5%増の119億4百万円、営業利益は同26.9%増の10億円の予想。

各事業とも増収を見込む。新規事業への投資も継続するが利益率は向上し、2桁増益を見込む。

9期連続の増収増益、過去最高更新を予想している。

配当は中間、期末それぞれ7円/株の合計14円/株を予定。予想配当性向は32.3%。

(2)重点施策

重点施策
(画像=インベストメントブリッジ)

施策の柱 / 今後の取り組み

堅固な事業基盤の構築
◇強みがある金融系、車載系等の領域で、案件規模の拡大を図る。
◇蓄えたSIノウハウや運用サービスと自社商品を組み合わせた新たなビジネスを開拓する。

成長領域への経営資源の集中
◇市場成長が著しい自動車関連分野(自動運転、車載通信機器、セキュリティ)に注力。
◇蓄えた知識・技術を最先端分野(クラウド、IoT、フィンテック等)へ展開する。

自社商品を軸とした新しい価値の提供
◇WebARGUSエンタープライズ版による大規模ユーザーへの導入促進および、マルチテナント対応を活かしたSaaS展開を代理店利用により促進する。
◇WebARGUS Fortify等のセキュリティ商品多角化、国内外の同業他社との協業による営業力の強化を図る。
◇IoT版WebARGUSの商品化を進める。(IoT機器のセキュリティを
◇xoBlosの最も多い適用領域である予算実績管理に関し、顧客ニーズに応じたソリューション化を推進

RPAとシームレスに連携するxoBotを各種RPAメーカーおよび取扱代理店と協業して拡販する。

(3)各事業別動向および重点施策

各事業別動向および重点施策
(画像=インベストメントブリッジ)

(単位:百万円)
  / 18/6期 / 構成比 / 19/6期(予) / 構成比 / 前期比
ビジネスソリューション / 6,487 / 58.6% / 6,886 / 57.9% / +6.2%
エンベデッドソリューション / 3,577 / 32.3% / 3,849 / 32.3% / +7.6%
自社商品 / 392 / 3.5% / 533 / 4.5% / +36.0%
システム販売事業 / 619 / 5.6% / 635 / 5.3% / +2.5%

◎ビジネスソリューション事業分野

ビジネスソリューション事業分野
(画像=インベストメントブリッジ)

金融を中心に医療・製薬系、社会インフラ系等の業種全般が伸びると共に、運用サポートも好調に推移する。

施策の柱 / 今後の施策
◆安定基盤の拡張
・強みである金融分野の深堀り、金融請負案件の受注強化で金融分野をさらに拡大、利益を大きく伸ばす。
・クラウド環境構築、IoT基盤構築などを活用したプロジェクトへの参画など、クラウドを活用した新技術を推進。新規顧客を獲得する。
・エンドユーザーや大手顧客の情報システム子会社案件が規模、顧客数ともに順調に拡大しているため、直接契約案件の更なる拡大とワンストップソリューションの提案型営業を推進。

◆トータルサービスの提供
・事業基盤のSIノウハウや運用サービスと自社商品「xoBlos」、「WebARGUS」とのコラボレーションによるトータルサービスを提供

◆地方拠点を活かした事業拡大
・関東拠点と地方拠点(愛媛県)での連合プロジェクトが 順調に拡大、「高度ニアショア開発」(※)の更なる活用
※高度ニアショア:、国内の地方拠点において、付加価値の高い技術者集団によって行う コストパフォーマンスの高い開発方式。

◎エンベデッドソリューション事業分野

車載向け開発需要が好調で、開発・検証ともに順調。IoT関連案件が広がりを見せており増加する見込み。半導体関連の組み込み開発事業も堅調に推移する。

エンベデッドソリューション事業分野
(画像=インベストメントブリッジ)

施策の柱 / 今後の施策
◆車載事業への注力
・車載機器関連メーカーから受注が順調に拡大するなど車載事業が大きく成長しており、引き続き自動車関連分野(自動運転、車載通信機器、セキュリティ)に注力
・大手自動車メーカーの研究所との直接取引の拡大に注力

◆半導体分野の拡大
・大手半導体メーカーからのセキュリティ分野の開発案件が拡大し、車載向け半導体分野の更なる拡大にも注力

◆IoT分野への注力
・モバイルや情報家電で培った技術を、IoTを中心とした新規分野(IoT通信モジュール開発等)へ展開

◎自社商品事業分野

セキュリティ需要の高まり、時短や働き方改革の時流に乗り、「WebARGUS」、「xoBlos」ともに高成長が続く。

「WebARGUS」

WebARGUS
(画像=インベストメントブリッジ)

施策の柱 / 今後の施策
◆販売力強化
・認知度の高まりと共に導入件数が着実に増加、見込客を増やし、大規模ユーザーを中心に積極的にアプローチ
・トータルセキュリティ提案を推進(フィンランドのセキュア社など有力セキュリティ商材との協業)
・これまでの直販に加え、代理店展開、国内外での同業他社との協業で受注機会を拡大

◆商品力強化
・2017年11月発売のエンタープライズ版で大規模ユーザーの取り込みを図るとともにマルチテナント向けSaaSを展開
・WebARGUS Fortifyをはじめセキュリティ商品の多角化による商品力及び営業力を強化

◆適用領域の拡大
・ARMアーキテクチャ(※)上での稼働確認と商談を推進し、システムレジリエンス思想(※)に基づくIoT版WebARGUSの適用領域を拡大

(※)WebARGUS Fortify:アプライアンス型のWAF(Web Application Firewall)に替わる次世代型のクラウドWAFであり、専門的な知識や大きな投資を必要とせず、見えない脅威からWebサイト・サービスを守ることが可能な商品。
(※)ARM(アーム)アーキテクチャ:英国ARM社が知的財産権を持つプロセッサの設計方式であり、スマートフォンや車載機器等の低電力アプリケーション向け半導体チップに広く採用されている。
(※)システムレジリエンス思想:レジリエンスとは、復元力、回復力の意味であり、WebARGUSの瞬間検知・瞬間復旧(検知したら直ぐに元に戻す)の仕組みのことを表す。

「xoBlos」

xoBlos
(画像=インベストメントブリッジ)

施策の柱 / 今後の施策
◆販売力強化
・累計導入社数330社超、大手企業への導入が進む中、大規模ユーザーへの販売を一層強化。
・販売子会社(東洋インフォネット)による販売促進

◆商品力強化
・xoBlosの最も多い適用領域である予算実績管理に関し、顧客ニーズに応じたソリューション化を推進
・複数xoBotを上位で管理するxoBot coraboを秋口にもリリースし、働き方改革の時流を捉えた拡販をめざす。

◆適用領域の拡大
・他社製品やサービスとの連携を行うオープンイノベーションプラットフォームとしても認知され始めた機会をとらえ、AI等各種サービスとの連携による新サービスの提供を推進。

◎システム販売事業

「楽一」の新規販売及びリプレースを中心に、自社商品、ネットワーク機器など販促活動を積極化し増収を見込む。

システム販売事業
(画像=インベストメントブリッジ)

施策の柱 / 今後の施策
◆既存顧客の売上拡大
・顧客へのスタンドアロン版から大企業向けサーバ版へのレベルアップ提案増加によるリプレース販売の増加を図るとともに、重ね売りの強化により売上拡大を図る
・楽一(販売管理)と自社商品xoBlosとの連携パックの展開など商品の多角化で販売を強化

◆新規顧客獲得による売上拡大
・導入サポートとアフターフォロー(操作指導、保守、メンテ)の強化により中小企業を対象に新規顧客の増加を図る

4.中長期成長戦略と資金使途

(1)成長戦略概要

同社は中期的なビジネス展開として、幅広い事業領域で安定した取引を重ねて堅固な事業基盤を構築すると同時に、その基盤の上で自社商品を軸とした新しい価値を提供するという二軸で大きく成長する事を目指している。

「整備」の16年6月期に次いで、前々期(17年6月期)、前期(18年6月期)を「強化」、来期以降を「拡大・安定化」と位置付けており、中期目標として以下の様に「売上高100億円、営業利益10億円、営業利益率10%」のトリプル10の実現を目指しているが、売上高に関しては前々期17年6月期に達成することができた。

今期営業利益10億円は必達と考えている。

成長戦略概要1
(画像=インベストメントブリッジ)
成長戦略概要2
(画像=インベストメントブリッジ)

売上高 / 100億円 / 2017年6月期
営業利益 / 10億円 / 2019年6月期
営業利益率 / 10% / 2021年6月期

(2)資金使途

更なる企業価値向上に向け、効果的な資金活用を進める。

(M&A)
既存ビジネスにおける人材不足の中、ビジネスソリューション系、エンベデッドソリューション系における最適な会社のM&Aを検討している。

(協業・提携)
相互補完する製品やビジネス領域を持つ会社との協業・提携を推進する。

(株主還元)
IoTに絡むセキュリティ製品への投資など成長のための大規模投資とのバランスをみながら徐々に配当性向を高めて行く方針である。

5.市川社長に聞く

変化が加速する経営環境の下で、経営体制の若返りを図り、迅速な意思決定を可能にする体制作りを目的として2018年7月1日に代表取締役社長に就任した市川 聡氏に今後の取り組み、事業の現況、株主・投資家へのメッセージなどを伺った。

Q:「新たに社長に就任され、社内に対しどんなメッセージを送っていらっしゃいますか。」

A:「社長に就任にあたり「不変」と「変化」という2つの言葉を掲げた。変えない部分、変わらなければいけない部分を明確にしたうえで活発な社員とのコミュニケーションを図り、当社の理念やミッションを改めて社内に浸透させていくとともに、意識改革も進めて行く。」

社長に就任にあたり「不変」と「変化」という2つの言葉を掲げた。

「不変」、社長および経営体制が変わっても変わらない部分は3点ある。
1つ目は、各人の特徴を徹底的に生かすこと。
これは創業者が常日頃述べていることなのだが、完璧な才能・スキルを持った人材を採用することは到底できない。だが、社員各人が持つ特徴や強みを全て合体させて大きなパワーを生み出せば、決して他社に負けることはない。こうした考え方の下、当社では長年に亘り社員の戦力化を図ってきたが、これが当社の強みのベースとなっている。
次に経営理念にある「顧客起点」。
当社ではここから全てが始まると考えており、これからも社内における徹底的な浸透を図る。

3つ目が小さい単位での組織運営だ。
これも創業者の想いなのだが、組織は大きくなると機動力が低下すると同時に、欠点や悪い点が見えなくなりがちだ。当社がカンパニー制を採用しているのもこのためで、今後も社員数が増加すれば新たな組織を作って活性化を図っていく。

続いて「変化」、変わらなければならない部分だが、これも3点ある。
まず1つは、経営体制の変更だ。これまでは創業者の強力なリーダーシップの下で会社運営が進められてきたが、今後は組織による経営を行っていく。

ただ一方で、当社には創業者の指示に従って行動することが重視されがちな傾向があるのも事実だが、今後はこの点は改善していかなければならない。
自主・自律を重視した社員の意識改革を進めて行く。

3点目は当社の重要なステークホルダーである社員への待遇を現在の事業環境にマッチしたものへと変更すること、いうなれば当社の「体幹」を強化することだ。
採用・離職防止の観点から、評価制度・給与・ストックオプションを含めたインセンティブなどの制度設計を構築する。

以上のような「変えない部分」、「変わらなければいけない部分」を明確にしたうえで活発な社員とのコミュニケーションを図り、当社の理念やミッションを改めて社内に浸透させていくとともに、意識改革も進めて行く。

Q:「続いて事業の現況について伺います。御社が目標として掲げている利益率の向上について、ビジネスソリューション事業、エンベデッドソリューション事業、自社商品事業、それぞれの見通しをお聞かせください。」

A:「ビジネスソリューション事業、エンベデッドソリューション事業ともに利益率をさらに改善させることができる余地はまだまだ大きい。
自社製品事業については現状ではまだ収益を生んでいないが、サイバーセキュリティ需要の高まり、時短や働き方改革の時流に乗り、「WebARGUS」、「xoBlos」ともに高成長が続くと見ており、早期の黒字化が達成されれば当社の利益率は大きく上昇することとなろう。
もちろんそのためには顧客の期待に十分応えるだけの成果を上げて行かなければならないのは当然で、今後も対売上高比率1%程度を目途とした積極的な研究開発投資を行っていく。」

ビジネスソリューション事業は中心顧客である金融分野においてはこれまでは人を派遣するスタイルがメインだったが、最近は業務そのものを請負う形が増加しており、短納期でしっかりと納品を行えば従来を上回る粗利を頂くことができる状況となっている。
また、エンドユーザーとの直接契約も利益率向上に結び付くため、今後は一層新規顧客開拓に注力する。

エンベデッドソリューション事業は当初は携帯電話関連の案件が主だったが、ここ数年車載関連の顧客が中心になっている。
加えて車載関連の顧客の中でも当社がお付き合いさせていただいている顧客は足元の業績が好調な企業が多いため、以前とは違うレベルの利益率を実現することが出来ている。
またビジネスソリューション事業同様、請負スタイルの案件も増加傾向にあり、利益率をさらに改善させることができる余地はまだまだ大きい。

自社製品事業については現状ではまだ収益を生んでいないが、サイバーセキュリティ需要の高まり、時短や働き方改革の時流に乗り、「WebARGUS」、「xoBlos」ともに高成長が続くと見ており、早期の黒字化が達成されれば当社の利益率は大きく上昇することとなろう。
もちろんそのためには顧客の期待に十分応えるだけの成果を上げて行かなければならないのは当然で、今後も対売上高比率1%程度を目途とした積極的な研究開発投資を行っていく。

Q:「では最後に株主や投資家へのメッセージをお願いいたします。」

A:「今期は中長期経営戦略に掲げた「トリプル10」のうち営業利益10億円必達を掲げ、新経営体制の下、全社一丸となって邁進している。株主、投資家の皆様には、付加価値の向上と変化への対応を通して、安定と成長を目指す当社を中長期の視点で是非応援していただきたい。」

当社では2016年6月期を起点とする中長期経営計画の中で、5年以内に「トリプル10」、すなわち、売上高100億円、2019年6月期 営業利益を10億円、2021年6月期 営業利益率10%の達成を目指している。
売上高100億円については2017年6月期に達成済みであり、今期は営業利益10億円必達を掲げ、新経営体制の下、全社一丸となって邁進している。

株主、投資家の皆様には、付加価値の向上と変化への対応を通して、安定と成長を目指す当社を中長期の視点で是非応援していただきたい。

6.今後の注目点

前回のレポートでも触れたが、下のグラフでも明らかなように同社の第4四半期(4‐6月)は、新入社員の受け入れ、期末手当の支給などがあるため、営業利益は他の四半期よりも低水準となる傾向があるが、前々期、前期と比較し営業利益率は上昇傾向にある。

市川社長へのインタビューにもあるように、主要事業において利益率向上の余地はまだまだ大きいようで、短期的には今期営業利益率10%達成がなるか、中長期的には自社商品事業が収益化した時点でどこまで全社の利益率を高めることができるかを注目したい。

今後の注目点
(画像=インベストメントブリッジ)

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態及び取締役、監査役の構成

組織形態:監査役会設置会社
取締役:10名、うち社外2名
監査役:3名、うち社外2名

◎コーポレート・ガバナンス報告書 最終更新日:2018年6月13日

<基本的な考え方>

当社は、法令を遵守し、経営の透明性を確保して、健全で継続的な企業価値の向上を図ることが、経営上の最も重要な課題と認識しています。

この課題に取り組み、株主その他のステークホルダーに対する社会的責任を果たしていくために、以下のコーポレート・ガバナンス体制を構築しています。また、今後この体制をさらに強化し、その機能を定期的に検証して、必要な施策を実施することが、重要であると考えています。

<実施しない主な原則とその理由>

すべての原則について、2018年6月改訂前のコーポレートガバナンス・コードに基づき記載しております。改訂コーポレートガバナンス・コードに基づく更新は、2018年12月までに行う予定です。

実施しない主な原則とその理由
(画像=インベストメントブリッジ)

原則 / 実施しない理由
<補充原則1-2-4>
招集通知の英訳は、直近の基準日時点で外国法人等の持ち分が低いため、業務効率面から未実施です。今後、株主構成等の状況の変更に合わせ検討をすすめてまいります。

<コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づいて開示している主な原則>

開示している主な原則
(画像=インベストメントブリッジ)

原則 / 開示内容
<原則1-4>
上場株式の政策保有につきましては、取締役会におきまして、中長期的な観点から当社の企業価値向上につながると確認した上で、保有を判断いたします。
議決権の行使につきましては、その議案内容を精査し株主価値向上に資するものか否かを検証した上で経理部門にて稟議を起案し、社長決裁としております。

<原則3-1>
(1)経営理念、経営戦略、経営計画等につきましては決算説明会等を開催すると共に、決算説明会資料として当社ホームページ(以下のURL)にて公表しております。
【決算説明会資料】https://www.ditgroup.jp/ir/kessan.html
(2)コーポレートガバナンスへの取り組みを当社ホームページ(以下のURL)にて公表しております。
【コーポレートガバナンス】https://www.ditgroup.jp/ir/governance.html
(3)取締役の報酬につきましては、取締役会規則により方針と手続を定めており、世間水準、経営内容及び社員給与とのバランスを考慮しており、株主総会で決定した報酬総額の限度内において取締役会で決定しております。
(4)取締役の選任につきましては、取締役・監査役の選出基準を規程として設け、各候補者の実績、見識、経験等を総合的に判断し、代表取締役社長が提案し、取締役会にて審議・決議の上、株主総会に議案として提出しております。
(5)株主総会招集通知におきまして、個々の選任・指名理由を公表しております。

<原則5-1>
株主との対話につきましては、社長をトップとして、関連部門が連携し建設的な対話が実現するように努めております。
また、個別面談以外の対話の手段の充実に関する取組みとして、四半期ごとにアナリスト・機関投資家向けに決算説明会を開催しており、経営企画部門にて投資家からのミーティングや電話等によるIR取材を積極的に受け付けております。
対話において把握した株主の意見・懸念の経営陣幹部や取締役会に対する適切かつ効果的なフィードバックのための方策としましては、決算説明会における質問内容や、株主・投資家からの意見などを定期的に経営陣幹部に報告することにより、経営に活用しております。
インサイダー情報の管理に関する方策につきましては、株主、投資家との対話に際し、社内規程に則り、インサイダー情報管理を適切に行っております。

本レポートは情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。また、本レポートに記載されている情報及び見解は当社が公表されたデータに基づいて作成したものです。本レポートに掲載された情報は、当社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その正確性・完全性を全面的に保証するものではありません。当該情報や見解の正確性、完全性もしくは妥当性についても保証するものではなく、また責任を負うものではありません。本レポートに関する一切の権利は(株)インベストメントブリッジにあり、本レポートの内容等につきましては今後予告無く変更される場合があります。投資にあたっての決定は、ご自身の判断でなされますようお願い申しあげます。

(提供:インベストメントブリッジ