「モチベーションが上がらない…」
「新規開拓をしなくてはと思っているのだけど没頭できない…」
こうした悩みを感じている金融アドバイザーもいるかもしれない。野村證券で数々の営業記録を樹立し、最年少で本社PBに異動、プライベートバンカーとして超富裕層ビジネスに携わり、『鬼速PDCA』『営業 野村證券伝説の営業マンの「仮説思考」とノウハウのすべて』の著者でもあるZUU代表 冨田に「新規開拓に没頭するモチベーションを引き出す7つの仕組み」を聞いた。(編集構成:ZUU online 編集部 菅野陽平)
目次

(1)螺線階段
金融営業をプロセスに分け、仮説を立てながら検証していくことによって、経験を型化し、営業の精度を上げていく。これらの内容を一通り理解し、実際の自分の営業において各ステップを見直したとき、すでに多くの平均的営業マンよりも営業という仕事についての理解は圧倒的に深まっているはずだ。しかし、それでもなお、トップセールスの7割の実力にしかなっていないと思う。
——残りの3割を埋めるものは何でしょうか?
「継続」だと思っている。仮説と検証を1周だけ行うことにさして意味はない。そのループを繰り返すことによって複利効果が働き、倍々ゲームのように成長が早まっていく。だからこそ、今回はその絶え間ない仮説・検証ループによる改善をどのようにして継続していけばよいのか、ということを紹介していきたい。
よく若手の営業マンから相談されることの一つに「このまま営業という仕事を続けていていいのか分からなくなってきた」という話がある。誰しも日々、夢や目標に対して向かっているなかで「同じ場所をぐるぐる周っていてまったく前に進んでいないのでは…」と感じたことがあるはずだ。その際、進んでないと感じるもどかしさから、落ち込んだり、モチベーションを落としたりする。自分の成果や進化が感じられないときに、そのように思うのは人間として当然だ。
——確かに成果がでてないと「前に進んでいる感」は感じにくいですね。
ただ、それは果たして本当だろうか。本当に進んでいないのだろうか。私はそう考えない。それは「螺旋階段」なのではないかと思う。仮説と検証のループは1年も実践し続けていれば劇的な変化を感じるはずだが、日々を切り取ってみると、地味な1日の繰り返しでしかない。いきなりこれまでの2倍、3倍の成績が出せるわけではない。1%や2%、そうした小さな桁の調整を行い続けるわけだ。
「仮説を立てて外交しよう」と言っても、実際に思考している時間はほんの一部で、9割方の時間は身体を動かし、口を動かす行動によって成り立っている。そしてその「同じ日々の繰り返し感」は、ビジネスにしても、学習にしても、スポーツにしても、意志の強い、達成したい夢が高い人ほど感じることが多い。
なぜなら、人よりも「反復」を徹底して行うからだ。これは営業でいえば顧客とのアポ取り・ニーズ発掘・プレゼンといったことへの修正の繰り返しを指すが、営業に限った話でもない。語学学習なら英会話や単語の暗記などの繰り返し、経理なら領収書の処理やエクセル入力の繰り返し、野球選手なら基礎練習や筋トレの繰り返し。教師なら......、エンジニアなら......どの分野にも当てはまる。
このように夢や目標を達成する過程は、地味な作業の繰り返しであることがほとんどだ。メジャーリーガーのイチロー選手の以下のような有名な言葉がある。
「小さなことを積み重ねることが、とんでもないところに行くただひとつの道」
いま自分にできること。頑張ればできそうなこと。そういうことを積み重ねていかないと、遠くの目標は近づいてこない。多くの人が気付いていると思うが、スポーツも学習もビジネスも非常に共通点が多い。
学習という観点では、大学入試や資格試験のように、暗記や問題演習という練習を積み重ね、模擬試験という練習試合を行い、実際に公式戦に臨むという点で非常に似ている。ビジネスは日々の業務で、高い成果を達成するために日々練習を積み、公式戦で高いパフォーマンスを発揮できるように備える。
このように、ビジネスも学習もスポーツも、我々は夢や目標を達成するために、小さなことや地味なことを繰り返していることがほとんどだ。ときには「自分は進んでいるのか?」「この道は合っているのか?」「これって本当に自分がやりたいことだったのか?」と色々な迷いが生まれるかもしれない。
ただ、一つだけ確かなことがある。それは「間違いなく一段ずつそして一階ずつ上がっている」ということだ。「景色が似ているので気づかない」かもしれないが、正しく頑張っていれば必ずそうだ。そして近いうちに久々に下を見る機会に出会ったときに「自分はこんなに高いところまで来たんだな」と気づくはずだ。