2018年8月25日に、日本M&Aセンター本社にて行われた、上場企業オーナーである日本M&Aセンター分林会長とZUU冨田社長の対談「企業オーナー・経営者が真に求めるサービスとは」をお届けする。(編集構成:元野村證券のZUU online編集部 菅野陽平)

目次

  1. 「相続税だけで数百億円は要りますよ。現金を用意しておいてください」
  2. 「うちのコンサルト、純資産1億以上は珍しくない」
  3. 「銀行は海外で稼ぐか再編へ。大きな変化が起きる」
  4. 「1〜2億預けている先を追いかけるより事業承継を狙ったほうが預かり資産は増える」
  5. 「全員にとってプラスということが、やっぱり成約の条件なんですよね」
上場企業オーナー対談から考える「オーナー社長への営業」と「超富裕層の思考回路」〜日本M&Aセンター分林会長×ZUU冨田
(画像=ZUU)
分林 保弘(わけばやし やすひろ)
京都府出身。立命館大学経営学部卒。父は観世流能楽師、母は裏千家茶道教授。自身は3歳で能の初舞台を踏む。大学在学中の1965年、『全米能楽公演ツアー』を企画、実行。全米35州を巡り、20以上の大学で4ヶ月に亘り能楽公演を行う。当時のアメリカ社会・経済に強く影響を受けて帰国。1966年、外資系コンピューターメーカーの日本オリベッティに入社。1991年、「株式会社日本M&Aセンター」を設立。「会計事務所」「地域金融機関」「商工会議所」などの情報をマッチングするプラットフォームの概念を標榜、中小企業M&Aの社会的意義も理念として確立。2006年10月、東証マザーズ上場、翌年には東証一部上場へと同社を導く。現在は中小企業M&A実務家の第一人者として、全国で講演活動を精力的に展開している。
冨田 和成
神奈川県出身。一橋大学在学中にIT分野にて起業。2006年大学卒業後、野村證券株式会社に入社。新人時代は220件のオーナー社長を開拓し、同期トップになる。2年目以降は優良対象先に特化し、3年半で300件のオーナー社長を開拓。3年目終了時、7年目までの全セールスで営業成績トップに。史上最年少で本社の富裕層向けプライベートバンキングへ異動。シンガポールマネジメント大学でウェルスマネジメント、イエール大学でオルタナティブ投資のビジネススクールに通い、卒業後はASEAN地域の経営戦略担当等に従事。2013年3月に野村證券を退職。同年4月に株式会社ZUUを設立し代表取締役に就任。2018年6月マザーズ上場。

「相続税だけで数百億円は要りますよ。現金を用意しておいてください」

冨田:会長との最初の出会いはシンガポールで。私がリー・クァン・ユー大学院というアジアの経済、そして政治情報というのを学ぶ1週間のプログラムに参加したときです。経営者の参加者が多いプログラムなんですけど、私は会長よりも1本前のプログラムに出ていて、その懇親会に呼ばれて、席に座ったら隣が会長でした。どこかで拝見したことがあるお顔だなと思ったら、会長が自らそのプログラムに参加されていらっしゃったという、そういう出会いでした。

分林:ちょうどシンガポールに、うちのオフィスを出したんですよね。そういったこともあるし。僕は9月にボストンに行って、ニューヨークに行って、サンフランシスコに行って、年内6月もコシノジュンコさんとパリで能とファッションのコラボレーション、そのあとIRでパリとロンドンを回って。だいたい2カ月に1回くらい海外を回っているので、好奇心のかたまりみたいな感じです。

冨田:それでシンガポールもいらっしゃったんですね。私もお会いして2年になりますけど、趣味が広くて、お話を聞いているといろんな話が出てくるので。たぶん本日、自由に話していただいたら、すごいおもしろい話が聞けると思うので、ぜひみなさん楽しみにしていただけたらと思います。

今日のテーマは金融営業2.0、そして企業オーナー営業の神髄というところです。いきなりなんですが、会長なんてもちろん資産規模が半端なくて。私の勝手な推測ですが、たぶん、ひとつの支店の預かり資産規模くらい持ってらっしゃる。会長が新しくここに支店を作ってほしいと言ったら、たぶんその支店ができあがっちゃうくらいの預かり資産規模だと思うんですけど、いま金融機関とどういう付き合いをしているんですか?

分林:勝手に株が上がっていくもんですから(笑)

冨田:勝手に上がっていかないですよ(笑)

分林:税理士から「分林さん、相続税だけで数百億円は要りますよ。現金を用意しておいてください」って言われます。

冨田:時価総額最大で6000億くらい?

分林:6000億超えました。株価って極端に動くことがあるものですから、第一四半期が前年同期比で少し負けただけで極端に振れるんですよね。でもすぐに回復すると、私は自信を持っています。

冨田:間違いなく回復して、たぶん1兆円までいかれるんだと思います。

分林:そのつもりです。

冨田:金融機関と今、どんな付き合い方を?

分林:僕は会社を28年前に起こして、資本金を1億5000万でやったんですよね。と言っても私が出したのは1000万くらいでして。僕は会計事務所との付き合いがすごく長くて、会計事務所の方にM&Aの会社を作りませんかと日本M&Aセンターに出資してもらいました。それとは別に北海道M&Aセンターから南九州M&Aセンターまで、同時に50社立ち上げてもらったんですよ。

個人で50万ずつ出資してもらったらいいですよと言ったら、あっという間に1億5000万集まったんですよね。僕は2年目に8000万の利益を出しているんですよ。3年目に1億、その次に2億というような感じで利益を出していますから、実は銀行からの借り入れって今までしたことがないんです。

冨田:金融機関からすると、あまりいい先じゃないですね。

分林:外資系コンピューターメーカーのオリベッティにいたときに、たまたま家が4軒目だったんですけど、非常にいい土地が抽選で当たって、その半分をカフェにしたんです。女房とアルバイトを8人くらい入れて、めちゃくちゃ儲かった。人が入りきれないほどで儲かったんですよ。

その前に4000万ほど住宅ローンとか借りたら、最後の設備資金500万くらいを信用金庫が出さないと言うんですよね。しかたがないから、兄貴の信用で借りました。めちゃくちゃ流行ったら、信用金庫の支店長が毎日「おやじさん、うちの支店に替えてください」って感じで。「ああ、銀行って儲かったら貸すんだ」と。ずいぶん昔の話ですけどね。いまは会社も現金で数百億持っていますから、申し訳ないですけど銀行から借りる必要はないですね。そんな状況です。

「うちのコンサルト、純資産1億以上は珍しくない」

冨田:個人のほうもプライベートバンクとかから「個人資産を運用してください」と来ますよね?