夜間取引とは、証券取引所の立会時間外に取引所を介さずに株式を売買すること。PTSとは「Proprietary Trading System」(私設取引システム)の略で、証券取引所の通常の取引時間外に取引できるシステムのことだ。夜間もあれば、前場と後場の間、取引所の営業が始まる前の朝も対象だ。

目次

  1. 夜間取引の時間帯は?――大引け後でも取引できる
  2. 「PTS取引」は取引所を介さない私設取引システム
  3. 早く結果を出したいビジネスパーソンに最適 立会時間外のPTS取引と夜間取引
  4. 企業の決算発表や海外の重要指標発表に迅速に対応できる夜間取引
  5. 小さい呼び値-取引所より有利な値段で取引できる可能性あり
  6. PTS取引は手数料が取引所取引より安くてお得
  7. PTS取引の注意点
  8. 夜間取引を含むPTS取引の基本ルール
  9. PTSによる夜間取引ができる証券会社比較
    1. ●SBI証券
    2. ●松井証券
    3. ●楽天証券

夜間取引の時間帯は?――大引け後でも取引できる

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(画像=Yelloo / Shuttterstock)

夜間取引とはその名の通り、対象となる時間帯は夕方から深夜までの夜間だ。2018年11月時点で夜間取引サービスを提供している証券会社は、SBI証券と松井証券の2社だけである。両社とも、唯一夜間に取引を行っているSBIジャパンネクスト証券運営のジャパンネクストPTSナイトタイム・セッションに接続して取引を行っている。

ジャパンネクストPTSナイトタイム・セッションの時間帯は16:30~23:59と定められているが、SBI証券と松井証券では取引開始時間が異なる。取引したい時間に注文できる証券会社であることを確認してから取引を開始してほしい。

「PTS取引」は取引所を介さない私設取引システム

夜間取引の舞台となるPTSナイトタイム・セッションとはどのような取引なのか、そもそもPTS取引とはどのような取引なのかを理解しておきたい。

証券取引所の売買立会時間は前場が9:00~11:30、後場は12:30~15:00で、それ以外の時間には原則的に取引は行われない。売買立会前や昼休み、あるいは大引け後のような証券取引所の立会時間外でも、一般投資家が株式などを売買できる仕組みがPTSである。このコンピュータ・ネットワーク・システムは、1998年の証券取引法が改正され、取引所集中義務が撤廃されたことで実現したもので、証券会社が独自に運営している。

2018年11月時点で、日本のPTSはSBIジャパンネクスト証券が運営するジャパンネクストPTSと、チャイエックス・ジャパン運営のチャイエックスPTSの2つだけである。

ジャパンネクストPTSの市場は従来からある第1市場を「J-Market」と呼んでおり、デイタイム・セッションの取引時間は8:20~16:00、ナイトタイム・セッションの取引時間は16:30~23:59となっている。一般投資家対象の第2市場「X-Market」はデイタイム・セッションのみの取引で、独自の単位で取引するJ-Marketとは異なり、取引所と同じ「呼び値」の刻みで取引する。SOR(スマート・オーダー・ルーティング:最良の市場を選択して注文を執行する)判定された場合のみ、取り次いで取引する。

チャイエックスPTSでは、投資家の参加者要件・呼び値・手数料率が異なるChi-AlphaとChi-Selectの2市場がある。現在両市場とも、8:00~16:00のデイタイム・セッションのみ取引が行われている。

つまり、PTSデイタイム・セッションなら証券取引所の前場開始前や前場・後場の間の休憩時間、後場終了後から16:00までの時間帯でも売買が可能で、さらにPTSナイトタイム・セッションであれば、立会時間外の16:30~23:59まで売買することもできる。夜間取引やPTS取引が注目されるのは、こうした証券取引所の立会時間外でも売買できるというメリットがあるからだ。

早く結果を出したいビジネスパーソンに最適 立会時間外のPTS取引と夜間取引

多忙なビジネスパーソンにとって、限られた時間を使って株式の売買できるだけでなく、その場で結果も確認できることが、PTS取引や夜間取引の最大の魅力ではないだろうか。

最近ではオンライントレードやネット証券が普及して、ほぼ24時間売買の注文ができるようになった。とはいえ、立会時間外に注文を出しても、それは“注文受付”でしかない。例えば、お昼の休憩時間を割いて注文しても、後場の寄り付きまで約定しない。仕事を終えた夜間や翌朝になんとか発注したとしても、夜間から翌日の売買立会開始までの注文が約定するのは始値が決まってからだ。こうした状況にフラストレーションを感じていた人には、その場でPTSの板情報を確認・注文できて取引が成立するPTS取引や夜間取引は、またとない解決策となるだろう。

企業の決算発表や海外の重要指標発表に迅速に対応できる夜間取引

もともと株価は、企業の決算発表や業績ニュースなどによって変動するものだ。こうした発表は、証券取引所の大引け前後にあることが多い。その日の株式市場の総括や株式関連ニュースも大引け以降に発表されることが多く、翌営業日の始値に少なからぬ影響を及ぼす。PTSの夜間取引ならば、翌朝慌てて注文を出したり、無事約定するか気をもんだりすることなく、落ち着いて取引することができる。

アメリカの雇用統計、米ドルやユーロの政策金利発表といった海外の重要指標の発表、FRB議長またはECB議長の発言なども日本の株式相場を左右する。例えば、日本とアメリカ東部標準時の時差は14時間(夏時間では13時間)、日本とロンドンの時差は9時間(夏時間では8時間)ある。このような海外の経済指標やニュースは、日本の証券取引所の立会時間外に発表されることになる。発表内容によっては日本の相場にネガティブな影響を及ぼして、翌日の始値が大暴落することもある。取引所の取引時間外にこのような海外の発表があった場合、翌日の取引所の開場を待たずに対応できるメリットは大きい。大きな含み損を抱えるような事態を避けることもできるだろう。

小さい呼び値-取引所より有利な値段で取引できる可能性あり

PTS取引は証券取引所に比べて呼び値(注文時の値段の刻み)が小さく設定されており、自分の希望に近い値段で約定できる可能性がある。PTSナイトタイム・セッションを利用した夜間取引も例外ではない。

株価が1,000円超~3,000円以下の銘柄の呼び値は、取引所では1円刻みと定められているが、PTSだと0.1円である。株価が5,000円超~1万円以下だと、取引所の呼び値は10円刻みだ。一方、PTSでは1円になっている。

例えば、東京証券取引所で8,910円が最良買い気配、8,920円が最良売り気配である銘柄を100株売却する場合、10円刻みのため8,910円であれば売却できる。この時の売却金額は89万1,000円になる。

同日の夜間PTS取引で、同じ銘柄の板情報を見ると、PTSの最良買い気配が8,910円であっても、呼び値が1円刻みのため最良売り気配が8,916円となることもある。この時の同銘柄100株の売却金額は89万1,600円であり、取引所に比べると600円高く売却できるのだ。

PTS取引は手数料が取引所取引より安くてお得

PTS開設以来夜間取引を継続しているSBI証券では、夜間取引を含むPTS取引手数料を取引所の取引手数料より安く設定している。そのため、同じ銘柄を同じ株価で取引する場合、PTS取引を選べば投資効率は良くなる。

PTS取引の注意点

証券取引所の立会時間外でも取引できるため、PTSナイトタイム・セッションでの取引は日中忙しい人にはありがたいが、夜間取引ならではの注意点もあるので確認しておきたい。

夜間取引は、売買に参加する投資家が少ない。まずはPTSの板情報をチェックして、自分が希望する注文が約定しそうかを見極めることが重要だ。売買ボリュームが少なく、注文値段も指値だけなので、取引が成立しない可能性もある。当日中の取引を断念して別の日に改めて取引を試みる柔軟性も必要だろう。売買ボリュームの少なさが災いし、値動きが大きくなるリスクがあることも事前に承知しておくべきだ。

さらに、PTS取引ではデイタイム・セッションとナイトタイム・セッションのいずれも現物国内株式取引だけに限定されている。信用取引をしたい投資家が利用できないシステムであることも注意しておきたいポイントだ。

夜間取引を含むPTS取引の基本ルール

取扱商品は現物のみで、東京証券取引所上場銘柄のうち、SBIジャパンネクスト証券が指定する普通株式・ETF・REIT・インフラファンドなどが対象だ。

夜間取引でも適用されるPTS基準値は、当日の東京証券取引所の最終値段(最終特別気配)を基にして決定され、制限値幅も東京証券取引所に準じる。なお夜間取引を含むPTS取引の売買価格は、注文する指値が相手方の指値と一致する価格と定められている。

PTSのデイタイム・セッションの注文は、ナイトタイム・セッションに引き継がれることはない。ナイトタイム・セッションの注文の有効期限は当日の23:59までである。

PTSによる夜間取引ができる証券会社比較

2018年11月時点でPTS取引による夜間取引ができる、SBI証券と松井証券の取引時間帯と手数料は以下の通りである。

●SBI証券

夜間取引、PTSナイトタイム・セッションの時間帯……17:00~23:59
手数料……同じ株価の場合、当社スタンダードプラン取引所取引手数料に比べて、約5パーセント割安に設定されている。

1注文の約定代金 PTS手数料(税込) 取引所取引手数料(税込)
5万円まで 5万円まで 54円
10万円まで 92円 97円
20万円まで 108円 113円
50万円まで 257円 270円
100万円まで 498円 525円
150万円まで 597円 628円
3,000万円まで 946円 994円
1億円まで 997円 1,050円

※上記手数料一覧は、SBI証券ホームページを参照の上、筆者が作成している。

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●松井証券

夜間取引/PTSナイトタイム・セッションの時間帯……17:30~23:59
手数料……取引所取引と夜間取引(PTS取引)の1日約定代金合計金額ごとに手数料「ボックスレート」が適用される

1日の約定代金合計金額 手数料
10万円まで 無料
30万円まで 300円/無料 ※
50万円まで 500円
100万円まで 1,000円
200万円まで 2,000円
100万円増えることに1,000円加算
1億円超 10万円(上限)

※新規に信用取引口座を開設すると、開設後6ヵ月は1日の約定代金合計金額が30万円以下の場合、手数料は無料になる。
※上記手数料一覧は、松井証券ホームページを参照の上、筆者が作成している。

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●楽天証券

楽天証券は、夜間取引/PTS取引ナイトタイム・セッション(16:30~23:59)でのジャパンネクストPTSへの取り次ぎを2018年度中に開始すると発表している。なお、楽天証券では、デイタイム・セッションにおいては、チャイエックスPTS(8:00~16:00)とジャパンネクストPTS(8:20~16:00)の両PTSに接続している。

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(ZUU online 編集部)

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