富裕層の資産管理
金融セールスにとって富裕層は重要な顧客群だ。富裕層の執事とも呼ばれるプライベートバンクではどのような資産管理が行われているのだろうか。本特集では『プライベートバンクの嘘と真実』の著者であり、株式会社アリスタゴラ・アドバイザーズ代表取締役の篠田丈 氏に聞く。(編集構成:ZUU online 編集部 菅野陽平)※本インタビューは2018年11月16日に実施されました


――テクニカルな話になりますが「あちらでは富裕層の間で財団とか信託が活用されている」と本に書かれていたのですが、このスキームについても、少しお聞かせいただけないでしょうか。
基本的には、日本でいう信託も財団も同じですね。そんなに大きくは変わらない。たとえば、スイスとかリヒテンシュタインだと相続税はありませんが、それでも財団は作る。あるとき、あるファミリーに「なんで財団をつくるのか。いいじゃない、別になくても」と尋ねたら「いや、財団っていうのは税金のためじゃない」と言っていました。
「必ず3代ぐらい先までの間に、財産を食い尽くすようなロクデナシが出てくるから、そういう者が出てきても財産を守れるように財団を作ってある」ということでしたね。つまり、ファミリーの資産を守るために財団を作るということですね。
ある意味で金庫ですし、そのマネジメントのためにファミリーオフィスというものも作ります。日本人の発想とはそこが違いますね。日本人は「いかに税金を少なくするか」を考えていますから。別に税金を安くするために頑張ってもらってもいいですけど、我々は「後ろ向きなことに力を使うぐらいだったら、むしろ、その分を増やして税金を払えばいいじゃないですか」という話をするし、「本来の目的はファミリーの繁栄ですから、そのために使った方がいいのではないですか」という話もします。