個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」は2018年8月末で加入者数が100万人を突破しました。多くの人にiDeCoのメリットや積立投資の重要性が認識されはじめたといってもよいかもしれません。

しかし、iDeCoを始める時に考えたいのは、60歳以降の受け取り時にいくら受け取れるかということです。そこで今回は、iDeCoは将来の受け取り金額をシミュレーションしたうえで始めることが大切である理由について一緒に考えてみましょう。

老後にもらえる年金はいくら?

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(写真=ImageFlow/Shutterstock.com)

Aさん30歳のケースをもとにして考えてみましょう。結婚したばかりのAさんはこれまで住んでいた街を離れ、ご主人の住む神奈川県に引っ越してきました。慣れない街での生活に少しの不安を抱えつつ、Aさんは専業主婦として家を守るほうがよいのか、働きに出るのがよいのか迷っています。

同じ年齢で企業型確定拠出年金制度のない会社にお勤めのご主人は、「子どもを持たずにいるならば自分の稼ぎだけで生活し続けることはできるので、Aさんの好きにしたらいいよ」とアドバイスしてくれます。もし、Aさんが専業主婦の場合、老後はどうなるのかと考えてみました。

まず、Aさんは老後の生活を送るにあたり、毎月いくら必要なのかを確認しました。厚生労働省が2018年1月に発表した2018年度の新規裁定者(67歳以下)の年金例のうち、夫が40年間就業し(その間の平均標準報酬42万8,000円)、妻がその間専業主婦であった場合、厚生年金を22万1,277円受け取れるそうです。

また、2016年に生命保険文化センターが発表した「生活保障に関する調査」では、夫婦2人の老後の最低日常生活費は月額平均22万円、ゆとりある老後生活費は平均34万9,000円と試算されています。これらを踏まえると、Aさんは今の年金水準では毎月生活するのが精一杯で、ゆとりある生活を送るためには毎月12万円分の生活費を賄える貯蓄が必要だと気づきました。

Aさん夫婦が100歳まで生きるとして年金受給開始を65歳と仮定すると、年金は35年で9,293万6,340円受け取れるものの、ゆとりある生活をするためには1億6,580万円必要になります。この差額分の約7,000万円を現役時代に工面しておく必要があるということです。Aさんは自分が働かなくても大丈夫なのかと不安に感じるようになりました。

将来iDeCoでいくら受け取れる?シミュレーションで老後の必要金額を考えよう

そこでAさんが考えたのはiDeCoです。専業主婦であるAさんには所得控除のメリットはないものの、運用益が非課税になること、受け取り時にも非課税の恩恵を受けることができるiDeCoは、十分なメリットがあると感じています。ご主人の会社がこのままの状態で続いていくと定年退職時には退職金として3,500万円もらえるという試算になると聞いたAさんは、少なくとも夫婦で残りの3,500万円を今から積み立てていく必要あることがわかりました。

これを、iDeCoを使って積み立てるとしたらどうなるのでしょうか。専業主婦の場合、iDeCoは毎月2万3,000円積み立てることができます。例えば、運用利回り3%で運用すると、60歳時には1,331万92円受け取ることになります。また、運用利回りを5%にすると、1,875万3,236円受け取ることができます。運用利回りの差で500万円ほどの差があることに気づきます。

ここでご主人もiDeCoに加入するとしましょう。企業型確定拠出年金制度のない会社にお勤めのご主人の月額の掛金の上限は2万3,000円になります。運用利回りを3%で運用した場合、60歳になる頃には2,662万184円(2人分)が積み上げられますし、運用利回りを5%にすると3,750万6,472円(2人分)積み立てができる試算となります。理論上はこうすれば退職金とiDeCoで老後に必要な最低資金を賄うことができるというわけです。

ただし、上記はマイホーム購入費用や親の介護費用ほか、必要経費は含まれていません。30歳という年齢を考えると、これから必要出費は増えていくはずです。またご主人が不意の出来事で就業不能になるおそれもあります。Aさんはご主人の給与やAさん自身の預貯金をあわせたとしても、いずれくる老後の生活にまだ不安が残っているようです。

そのため、Aさんは新しい街での生活に慣れたらパート、契約社員、正社員のどの雇用形態を選択するかは分からないものの、もう一度働きに出て、自分たち夫婦や家族に万一のことがあっても備えられるように蓄えを増やそうと決意したのです。もしも、老後資金やiDeCoの受け取り金額をシミュレーションせずにいたら、もう一度働くとは考えなかったかもしれませんし、万一のときにお金がない!と焦ることになっていたかもしれません。

将来受け取れる金額はシミュレーションを

このように、Aさん夫婦は将来に自分たちがどのような生活を送りたいのかを考えたうえでシミュレーションを行い、これからの生き方を考えました。Aさんは働きに出ることを決めましたが、こういったケースはよくあるはずです。あなたも、iDeCoなどの積立投資を検討する時には、将来どれだけの資金を受け取る必要があるのかをよく考えたうえで掛金や運用利回りを検討しましょう。そのうえで、老後資金が不足するおそれがあるなら働き、また、少し変動リスクをとった資産運用をするなど、老後に向けてどのようなマネープランがよいのか熟考していく必要があるといえます。(提供:iDeCo online

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