「部下が指示待ち、やる気がない」「使えない部下ばかりで毎日イライラ…」といった悩みを抱える上司の方にぜひ読んで頂きたいのが『モチベーションを劇的に引き出す究極のメンタルコーチ術』(KADOKAWA/2018年11月24日発行)です。

著者の鈴木颯人氏は、これまで1万人のアスリートたちをコーチングしてきたスポーツメンタルコーチ。野球、サッカー、水泳など、競技やプロ・アマ、有名無名を問わず、パフォーマンスを激変させてきた実績の持ち主です。

ビジネスマンへのメンタルコーチも好評で、本書はスポーツ指導者の視点を持ちつつ、ビジネスの現場で上司やリーダーになっている人へのアドバイスをしています。メンバーのやる気引き出すことはもちろん、自身のモチベーションアップの手法を学ぶことにもつながる一冊です。(文:篠原みつき)

「一流のリーダーは『言葉は工夫しなければ伝わらない』と知っている」

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(画像=キャリコネニュース)

まず初めに本書が説くのは、「相手を変えようと思う前に、自分を変えろ」です。「やる気のない部下をなんとかしたい」と思っている人にはちょっとショックかもしれません。リーダーは自身が成長することはもちろん、まずメンバーとのクレジット(信頼関係)を高めること。その土台作りの方法が、STEP1として紹介されています。

たとえば、声掛けの方法は「なぜ」と聞くと責められていると感じてしまうため、「どうしたら~できると思う?」「~できたらどう思いますか?」などとポジティブに話すことが重要です。また、言葉は人によって受け取り方が違うため、「伝わらないという前提で話す」といった解説にも納得。一流と二流を比較した、こんな言葉もありました。

「二流のリーダーは『言えば伝わる』と思っている」
「一流のリーダーは『言葉は工夫しなければ伝わらない』と知っている」

短所を挙げ、あいまいな指示を出して行き違いを重ねれば、お互いに不信感も募ります。小さなことですが、きちんと考えた上での言葉の積み重ねが信頼関係につながるというわけです。必要なのはまず「信頼関係」だと納得すると、近年問題となっているスポーツ指導でのパワハラや体罰が、いかに選手のパフォーマンスを下げていたかが分かり、ゾッとします。

「人生のバランス・ホイール」で相手の位置を知る

STEP2からは、具体的な方法が示されています。一例として、コーチングする相手の位置を知るために、「人生のバランス・ホイール」を利用します。これは「家族、お金、健康、恋愛、学習能力、素直さ、自信、継続力」を10段階で自己採点し、プライベートも含めた人生のバランスを分析するものです。

たとえば、「仕事」が10なのに「お金」に1をつける人は、仕事は充実しているけれど、金銭面で納得のいく結果を得られていない状態だと分かります。一番低い点になったものが問題になっていて、それを取り除くと自然と仕事の成果につながっていくそうです。

ただ、これは、信頼関係が土台になければ深く正直に書いてはもらえないでしょう。それだけ、鈴木氏のやり方は相手を尊重し、気づかせて、具体的に分析してアドバイスすることに終始します。プライベートを含めて「その人」を尊重し、根っこの問題を取り除いていくからこそ、モチベーションを引き出すことができると分かるのです。

リーダーに求められるのは「相手の変化を促し、幸せな人生を送ってもらうこと」

驚くことに鈴木氏は、自身のコーチングの目的は「アスリートに結果を出してもらうことではない」といいます。本当の目的は、「みなさんに幸せな人生を送ってもらうこと」だそう。もし「金メダル」だけが目的だと、達成した瞬間に、その人は”生ける屍”になり、逆に金メダルを獲れない限り、その人は幸せになれないとのこと。

同様に、リーダーが「結果」に固執し、自分の評価を上げることばかり考えていると、相手の幸せを考えなくなってしまいます。

「相手の幸せを考えない人のために周りが頑張ろうと思えるでしょうか。クレジットを高めるという観点から見てもNGでしょう。リーダーに求められることは、相手の変化を促し、幸せな人生を送ってもらうこと」
「コーチングを通じてメンバーを幸せにすることに集中することが、めぐりめぐってリーダーの幸せにもつながるのです。逆説的に言えば、結果を求めない方が結果をもたらす可能性が高くなるということでしょう」

一見遠回りのようですが、これを素直に受け入れることが、結局はメリットの大きいやり方だと思います。

人が持てる力を発揮するには、いかにメンタルが重要かを改めて思い知らされる本書。職場で部下のやる気の無さに悩んでいる人だけでなく、子育て中の親御さんや、スポーツチームを率いるリーダーにも、必読の書といえるでしょう。(提供=キャリコネニュース)


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