モトリーフール米国本社、2018年11月7日投稿記事より
「金の動きを追え」という格言は、真の権力がどこにあるのかを見つけるのに役立ちます。
そして、この格言に従った投資家は、グーグルではなく、アマゾンが急速に広告業界の一大勢力になっていることに気づくでしょう。
最近のCNBCの報道によると、グーグルでの広告を止め、広告予算の半分以上をアマゾンに使う広告主もいるそうです。
買い物をしたい人々が、まずどのウェブサイトを訪れるのかを考えれば、検索大手のグーグルより、オンラインショッピング大手のアマゾンを選ぶことは、もっともなことだといえます。
グーグルの親会社アルファベットは、売上の80%以上を広告収入が占めています。アマゾンのシェア拡大は、今後グーグルの成長の障害となるかもしれません。

広告収入の急激な伸び
最近の消費者は、買いたい商品を検索するとき、グーグルよりアマゾンを好んで使う傾向があり、約55%の人が、まずアマゾンで買いたい商品を探し始めます。
アマゾンは最近、商品の売上以外にも収入を増やすため、ウェブサイトに関連広告を詰め込んでいます。
アマゾンは、グーグルとフェイスブックに次ぐ第3位の広告プラットフォームですが、eマーケターのデータによれば、アマゾンのデジタル広告のシェアはたったの4%にすぎません。
しかし、すぐにそのシェアは高まるのではないでしょうか。
アマゾンの「その他収入」は広告収入がほとんどを占めるのですが、第3四半期のその他収入は、昨年より56%増加して25億ドルとなりました。
この数字の中には、会計基準の変更による一時的な売上増加も含まれていますが、それでも驚異的な増加率だといえます。
昨年も同水準の伸びを達成しており、アマゾンの勢いは衰え知らずのようです。
また、アマゾンの広告事業は、きわめて実入りの良い事業でもあります。
パイパー・ジェフリー社の推定では、同社の広告事業の利益率は75%を超える可能性があるそうです。
これは、フェイスブックの広告事業の利益率44%、グーグルの営業利益率28%をはるかに上回る水準です。
このような高い利益率を背景に、アマゾンは第3四半期に過去最高の純利益を達成しました。
新たな成長市場の開拓
アマゾンは、オンラインショッピングの定番サイトであり、商品検索サイトのリーダー的存在となっています。
そして、アマゾンで商品検索を始めた場合、なんと90%が他のサイトに遷移せずに、アマゾン内で購入に至っているというデータもあります。
こうしてみると、企業の広告予算がアマゾンに集まっていることは合理的といえます。
CNBCによると、主に消費財の広告がアマゾンに増えている一方、車や旅行などの広告はそれほどではありません。
車を買うときや、航空券やホテルを予約するときに、アマゾンで検索する人あまりいないことを考えると、これは当然でしょう。
しかし、消費財市場は、2020年までに7,600億ドルの売上高を達成する見通しであり、大きなチャンスのある分野だといえます。
アマゾンは、既に一部の分野で、消費者の検索と販売において独占的な地位を築いています。
例えば、健康関連(92%)、電子製品 (89.9%)、スポーツ・フィットネス関連(89.6%)、家庭用必需品(88.8%)、リフォーム関連(83.8%)などがあります。
消費財市場は、アマゾンにとって開拓すべき、収益の見込める新しい分野です。
今後の課題
広告収入が増えることは、アマゾンにとって良い面と悪い面の両方があります。
アマゾンのウェブサイトは、すでに広告でいっぱいになっていますが、さらに広告が増えるとサイトの使い勝手が悪くなる可能性があります。
消費者にとってアマゾンの良いところは、便利かつ簡単にオンラインショッピングができるところです。
広告が増えた結果、サイトが複雑になると、その便利さ、簡単さが失われてしまうかもしれません。
一方で、広告収入が増えると、アマゾンは消費者の嗜好により適した広告を表示できるようになるでしょう。
グーグルからアマゾンに乗り換える広告主が今後増えていくとすれば、グーグルにとってアマゾンは脅威となりそうです。(提供: The Motley Fool Japan)
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