モトリーフール米国本社、2018年12月2日投稿記事より

ウォルト・ディズニー(以下「ディズニー」ティッカー:DIS)は、リーマンショックから2015年までの間、非常に良好なパフォーマンスの優良銘柄とされていました。

しかし、ここ数年は苦戦を強いられています。

潮目が変わったのは、ボブ・アイガーCEOが、同社の最も重要なメディアであるESPNの加入者減少を認めたときでした。

同社の株価はそれ以来、ほぼ横ばいで推移しています。

株価は3年以上横ばいで推移していましたが、同社はついにメディア業界における新たな一歩を踏み出したようです。

同社は、動画配信サービスを3つ運営することを予定しています。

一つ目は、今年初めに立ち上げたESPN +です。

二つ目のHulu については、21世紀フォックスの買収が完了した時点で過半数の所有権を得ることになります。

そして、2019年には、エンターテインメント中心の動画配信サービスDisney+を開始します。

それにより、ディズニーは数年間の停滞を乗り越え、ついに売上と利益の成長に向かいつつあります。

9月末に終了した2018年度の業績では、売上高が前年比8%増加、営業利益が同6%増加となりました。

また、第4四半期の売上高は前年同期比12%増加、営業利益は同17%増加と、素晴らしい内容でした。

以下、ディズニーの戦略の詳細を見てみましょう。

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【米国個別株動向】ディズニーの経営戦略は、2019年に結果が出るか
(画像=Getty Images)


好調なテーマパーク事業

ディズニーの最大の事業セグメントであるメディア・ネットワーク事業は、動画配信サービスの台頭や有料TVの視聴者減少により苦戦しています。

しかし、次に大きいセグメントであるテーマパーク・リゾート事業は依然として好調で、今期のテーマパーク部門の売上高は10%増の203億ドル、営業利益は18%増の45億ドルとなりました。

このような高い伸びを記録した背景には、昨年米国を襲ったハリケーン・イルマとマシューにより昨年の数字が弱いものであったこともあります。

しかし、ディズニーランド・パリと香港ディズニーランド・リゾートでは来園者数の増加と顧客単価の上昇がみられ、2016年にオープンした上海ディズニーランドも期待を上回る業績となるなど、米国以外の地域でも好調な業績を記録しました。

そして、ディズニーの高いブランド力のおかげで、多くのパークで値上げに成功しました。

ディズニーのテーマパークは、1950年代にウォルト・ディズニーが最初のディズニーランドをオープンして以来、世界中の人々を惹きつけてきました。

ミレニアル世代(1980年前後から2000年代前半ごろにかけて生まれた世代)がモノ消費よりコト消費を優先する傾向にあることや、21世紀フォックス買収によってユニークで知的なコンテンツを手に入れたことを背景に、同社のテーマパーク・リゾート事業は、今後も成長が続くと見込まれます。


賢明な戦略

ディズニーの現CEOであるボブ・アイガー氏は、同世代のCEOと比較してもかなり優秀だといえるでしょう。

アイガー氏はピクサーやルーカスフィルム、マーベルなど数々の映画制作会社の買収を行いました。

特に、マーベルの買収はスター・ウォーズの続編や、マーベルの人気キャラクターが登場する映画などの大ヒットにつながりました。

アイガー氏は、ディズニーを新たな戦略的拡大フェーズに導こうとしています。

今年初めに開始したESPN +には、すでに100万人の加入者を獲得しています。

2019年にはDisney+の提供が開始され、年後半に売上高に反映される予定です。

Disney+では、ディズニーのコンテンツだけではなく、ピクサーやマーベル、スター・ウォーズ、21世紀フォックスのコンテンツも視聴できるため、多くの人々が加入するでしょう。

ディズニーはまだ、ネットフリックスほどの顧客基盤を有していません。

しかし、ディズニーのコンテンツのラインナップは、他社と比較しても遜色ありませんし、最終的にはうまくいくのではないかと考えています。

さらに、21世紀フォックスの買収により、デッドプール、シンプソンズ、X-メンのような貴重なキャラクターやコンテンツを利用できるようになります。


事業間の補完効果

ディズニーがこのようにユニークな事業を展開できる背景には、各事業が他の事業を互いに補完しあっているからです。

人気のあるシリーズやキャラクターのラインナップは、スタジオ・エンターテインメント事業が生み出すものですが、テーマパーク事業ではアトラクションに活用され、他の事業ではおもちゃなどへのライセンス供与やDisney+の番組にも活用されることになります。

このような事業の組み合わせによるプラス効果を生み出せる会社はディズニーの他にはありません。

言い換えると、ディズニーが一本のヒット映画から得られる収益は、競合他社よりも多いということです。

このような事業間の補完効果は、ブランド力と並び、同社の競争優位性の一つです。

ディズニーのブランド力は非常に高く、人々は幼いころからディズニーの作品やキャラクターに触れ、特別な思い入れを持っています。

ディズニーの映画やその他の作品は、初期のアニメ映画時代からずっと子供たちを魅了し続けていますし、ディズニーのテーマパークは、世界中のファミリー層が憧れる場所となっています。

ディズニーはもはや、子供向けのエンターテイメントにとどまりません。

同社はまた、ピクサーやマーベルなどでも同じ戦略を採っていますし、今後は21世紀フォックスのコンテンツでも同様でしょう。

ディズニーは過去数年間苦戦を強いられてきましたが、“ケーブルテレビからインターネットでの動画視聴へ”という世間の流れに対応できる力をつけました。

2019年には、21世紀フォックスの買収完了やDisney+の開始を控えており、株価は今年上昇に転じるのではないかと考えています。


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