モトリーフール米国本社、2018年12月3日投稿記事より

億万長者のスーパー投資家ジョージ・ソロスは、今となっては彼の名を冠したソロス・ファンド・マネジメント(以下「ソロス・ファンド」)の日々の業務からは離れているかもしれません。

しかし、四半期ごとに公表されるソロス・ファンドの売買動向は、いまだに投資家の関心の的となっています。

なぜなら、わずか数年前まで、ソロス・ファンドは最も成功したヘッジファンドだったからです。

ソロス・ファンドは最近どのような銘柄を買ったのでしょうか。

米証券取引委員会に提出された事業報告書を見てみると、次のような売買を行ったことが分かります。

まず、ソロス・ファンドはすでに保有している米国の大手薬剤給付管理会社エクスプレス・スクリプツ・ホールディング(以下「エクスプレス・スクリプツ」ティッカー:ESRX)の保有比率を引き上げました。

また、中国の製薬会社ザイ・ラボ・リミテッド(以下「ザイ・ラボ」ティッカー:ZLAB)にやや小さめのポジションを取り、新たに投資を開始しました。

これらの2つのヘルスケア株式は、私たちのような一般の投資家にとっても適切な銘柄でしょうか。より詳しく見てみましょう。

2018年後半、ジョージ・ソロスが選んだ2銘柄のヘルスケア株
(画像=Getty Images)


エクスプレス・スクリプツはシグナの買収により株価は大幅高

エクスプレス・スクリプツの株価は2018年の年初来35%も上昇しました。

しかし、予想PER(株価収益率、株価÷一株当たり利益)が約10倍、株価売上高倍率(株価÷一株当たり売上高)が0.51であることから、同社はヘルスケアセクターの中でも割安な水準にあるといえます。

同社の株価の重しとなっているのは、トランプ大統領が掲げる米国における薬価引き下げ計画です。

これが同社のような薬剤の仲介業者に不利な内容になるのでは、との懸念がありました。

しかし、そのような懸念は解消されつつあります。

薬価引き下げの議論に、薬剤給付管理会社も参加できる方針となったからです。

ただし、これからエクスプレス・スクリプツに投資するのには、慎重にならざるを得ません。

2018年3月、同社はシグナ(ティッカー:CI)により540億ドルの買収提案に合意し、株価はすでに大幅に上昇しています。

これからの上昇余地は限定的だと思われる一方、シグナによる買収が規制当局の認可を得られず破談となる可能性もゼロではありません。

仮に買収が取りやめになったとすれば、同社の株価は今年の上昇分をすべて失ってしまうかもしれません。


ザイ・ラボは複数の欧米の製薬会社とパートナーシップを契約

過去20年にわたる急激な経済成長により、中国は欧米の製薬会社にとって非常に重要な市場となりました。

上海に本拠を置くバイオ医薬品メーカーであるザイ・ラボは、この点に目をつけ、欧米の製薬会社と数々のパートナーシップを結んでいます。

例えば、テサロの卵巣がん治療薬「ゼジュラ」、ノボキュアの脳腫瘍薬「オプチューン」などを中国で取り扱っています。

このような非常にリスクを抑えた経営により、ザイ・ラボは成長を続けてきました。

そして、がんや自己免疫疾患の分野で独自の研究開発プラットフォームを構築することを最終的な目標としています。

喜ばしいことに、ザイ・ラボのパートナーシップ戦略は功を奏しています。

昨年10月に、同社は香港で卵巣がん治療薬ゼジュラの認可を受けたことを発表しました。

これは、ゼジュラを中国で販売するための第一歩です。同社は、ゼジュラの発売を中国本土にも拡大することを目論んでいます。

これからザイ・ラボの株を買うのは賢明でしょうか。

残念ながら、答えは「どちらともいえない」です。

香港で認可を受けたゼジュラの、他の地域における販売はあまり好調ではありません。

また、中国で高めの薬価を設定するのは難しいと思われます。

ですから、この段階で、ゼジュラの中国での商機を現実的に見積もることは極めて困難です。

ザイ・ラボのような銘柄への投資は、大成功する可能性を秘めているものの非常に投機的だといえます。


まとめ

以上がソロス・ファンドが最近購入した銘柄です。

ただし、ソロス・ファンドが購入しているからといって手を出すのは少し早計のようです。

しばらく動向を見守りながら購入を検討した方が良いと言えるでしょう。(提供: The Motley Fool Japan


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