『伝説の営業術』
数字だけが求められる厳しい営業の世界でトップセールスになる人は、どんなことを心がけ、何を実践しているのか。「ノルマの野村」とも言われる野村證券の営業畑で実績を積み、43歳の若さで最年少役員(当時)に抜擢され、当時の社長から「営業の鑑」と言わしめた津田晃氏に営業の極意を聞いた。(編集構成:ZUU online 編集部 菅野陽平)※本インタビューは2018年12月11日に実施されました


――著書『伝説の営業術』では、上司の役割として、「部下の成果をほめず、努力や進歩をほめたたえる」と解説されていました。部下から見れば、そんな上司は理想です。しかし実際には、成果ばかりが見られてしまうことも多いと思います。部下としてはどうすればいいでしょうか。
私が上司となる人に言いたいのは、部下の努力を見逃さないようにするということです。100メートル走にたとえるなら、いつも11秒で走っている者が、11秒2のタイムを出したら、それが部署内トップのタイムだとしても私はほめません。その人にはもっと能力があるからです。
一方、いつも15秒で走っている者が、筋トレをして、フォームを変えて、14秒半のタイムを出しことができたら、大いにほめ努力をたたえます。本人もその結果を自信に変えるべきです。数字だけを見れば、11秒台を出す人をほめればいいのですが、それでは部下たちのモチベーションは上がりません。数字が悪かったとしても、次につながる「頑張り」をほめてあげるべきです。
ただ、そこに気づかない上司もいます。営業というのは数字=結果で評価されるものだからです。上司が数字しか見てくれないのは仕方がない。「数字こそが人格だ」と断言する人もいます。私はその言葉の響きは嫌いですが、真実ではあると思います。
このインタビューの最初に話した「3切る」ではないですが、営業の仕事はそういうものだと割り切って、腹をくくってみてはいかがでしょうか。どうしても気づいてほしいということであれば、上司ときちんと話し合ってみてください。
上司のいる人はラッキー
――上司にもいろいろなタイプがいます。生理的な合わない上司もなかにはいます。話し合ってわかってもらえるとも限りません。上司に不満がある場合はどうすればいいでしょうか。
会社にはいろいろな人がいますから、上司もいろいろです。それでもはっきりといえるのは、どんな上司でも、上司のいる人はラッキーだということです。たとえばベンチャー企業の創業者には上司がいません。また、サラリーマンでもいったん会社を辞めて独立したら、自分を指導してくれる上司は自分自身で探すしかありません。