富裕層営業や企業オーナー営業の集大成とも言えるM&A業界。事業承継のプロフェッショナルとしてM&Aキャピタルパートナーズから、現役コンサルタント2名を招き、その営業手法を聞いた。(編集構成:ZUU online編集部 菅野陽平)※収録は2018年12月1日に行われました

面談時の企業オーナーへの伝え方
──M&A業界に飛び込んでみて、ここがよかったなと思われたところはありますか?
安田:前職では、会社が決めた目標をただやっているようで、自分のやっていたことがそれほど役に立っていないんじゃないかという不安みたいなものがありました。もちろん銀行・証券でもお客様のお役に立っている方はたくさんいらっしゃると思いますが、私の場合は少なくとも今はそういう不安はゼロになっています。
また、前職では「安田君が頑張っているから、付き合いで投信買ってあげるよ」ということがありましたが、M&Aは情だけでは絶対に進まないです。M&Aが成立したということはオーナー様がメリットがあると判断されたわけなので、本当に役に立てたということだと思います。
山﨑:M&Aは先ほど申し上げたように、1件に1年かかり、長い案件だと6年くらいかかることもあります。長期間ずっとフォローして、話がまとまったケースもあります。なので、しっかりと自分の志を伝えながら、クライアントにとってベストな選択は何かを考え抜くことができるのは、良い点かなと思います。
──6年はすごいですね。それはどのような理由で長引くのですか?
山﨑:M&Aはよく企業同士の結婚に例えられますが、「ちょっと結婚を考えてみよう」「いや、でもまだ結婚は早いかな」のようにお考えが揺れ動く場合ですね。その場合は、定期的に情報交換はさせてくださいという形にして、「この人に任せたら安心できるね」という信頼関係を作っていくようにしています。
──面談の際、企業オーナーにはどのような伝え方をしているのですか?
山﨑:先ほどPRESIDENT Onlineの平均年収ランキングをご紹介いただきましたが、当社の平均年収が高いことをお客様も知っていて、「儲けているんじゃないの?」「手数料高いんじゃないの?」と基本的に入り口はマイナスイメージになりやすいです。それでも本当に「手塩にかけて育てた会社を譲渡するわけですから、お客様ご自身が『これがベスト』と決心されることで頂戴しているものです」という形で伝えます。我々も顧客本位の成功報酬型でやっているので納得はしてもらっていますね。
──成功報酬という言葉が出てきましたが、M&A業界の課金体系をご説明いただけますか?前金があるパターンとないパターンがあると思うのですが。