ZUU冨田がイベントにて、金融セールスへ向けて「理想のキャリアの築き方」を講演した。講演内容をレポートとしてお届けする。(編集構成:ZUU online編集部 菅野陽平)※イベントおよび講演は2018年12月8日に行われました

目次

  1. 金融パーソンのキャリアを「狙って」作りに行く
    1. キャリアも戦略的に積み上げていく
  2. シェアリングエコノミーが金融業界にどう関わってくるのか
  3. 金融業界はなくなるのか
  4. 金融パーソンの将来価値を作るものとは
  5. バランスシートから抜けて落ちている「ある重要な項目」
    1. ベンチャーキャピタルが重視するもの
    2. 信用がスコア化される
    3. 人脈も資産になる
    4. あえて「本社勤務です」と言う金融パーソンの意図
    5. 一番分かりやすい評価項目は個人のトラックレコード
  6. 金融パーソンの価値にレバレッジをかけてくれるものとは
    1. 時間のM&Aで起きるワークライフバランスの逆転現象
    2. 「リーダーシップ」には大きな価値がある
    3. COOやCFOに求められる能力
    4. 金融業界を起点にしたキャリアアップの選択肢
  7. 理想のキャリアへ最短距離を歩む方法
    1. キャリア選択のフレームワーク
    2. 足りないスキルを理解し、伸ばし、アピールしていく
    3. 「キャラ立ち」を意識した営業戦略
  8. 若い時の投資ほど回収期間が長い
金融パーソンが最短距離で理想のキャリアを歩むために必要なことは?【ZUU冨田講演 1.7万字レポート】
(画像=ZUU)
冨田 和成
神奈川県出身。一橋大学在学中にIT分野にて起業。2006年大学卒業後、野村證券株式会社に入社。新人時代は220件のオーナー社長を開拓し、同期トップになる。2年目以降は優良対象先に特化し、3年半で300件のオーナー社長を開拓。3年目終了時、7年目までの全セールスで営業成績トップに。史上最年少で本社の富裕層向けプライベートバンキングへ異動。シンガポールマネジメント大学でウェルスマネジメント、イエール大学でオルタナティブ投資のビジネススクールに通い、卒業後はASEAN地域の経営戦略担当等に従事。2013年3月に野村證券を退職。同年4月に株式会社ZUUを設立し代表取締役に就任。2018年6月マザーズ上場。

金融パーソンのキャリアを「狙って」作りに行く

こんにちは。株式会社ZUUの冨田です。本日は、激動の金融業界におけるキャリア戦略ということで、私からお話をさせて頂けたらと思います。よろしくお願いします。

改めて私のバックグラウンドをお話させて頂きます。大学は一橋大学に通っていました。サッカー部に所属してサッカーばかりやっていたので、勉強家というタイプではありませんでした。大学3年の時にビジネスの世界に出会って、1度ITの分野で起業しています。

その後、野村證券さんに新卒で入って、最初の3年間は荻窪支店でリテール営業をしていました。荻窪界隈は個人住宅が非常に多い地域で、なおかつ個人富裕層の方がたくさんいらっしゃるマーケットなのですが、企業オーナーの新規開拓ばかりしていました。そういった企業オーナーと、例えばM&Aや資金調達の支援、事業承継や為替、リストラクチャリングなど様々なビジネスを行いました。

そのような実績を評価して頂いて、4年目に当時最年少で本社のプライベートバンキング部門に移りました。そこから1年間は東京オフィスで実績を積み、今度はシンガポールに3つしかない大学のひとつ『シンガポール・マネージメント・ユニバーシティー』に留学しました。

シンガポールにもっと長くいたいと希望を伝えていたのですが、今度は「タイに飛べ」と言われまして、タイで経営戦略を担当することになりました。もうちょっとシンガポールには居たかったんですけど、タイで経営戦略を担当したことも、私としては狙い通りのキャリアでした。

その後、東京に戻ってきて、再び本店のウェルス・マネジメント部というところで働きました。プライベートバンキング部が超富裕層向けのバックアップ部隊なのですが、ウェルス・マネジメント部というのはプライベートバンキング部のフロント部隊になります。その後、退職して株式会社ZUUを設立しました。

キャリアも戦略的に積み上げていく

あえて野村證券さんでのキャリアについてお話させて頂いたんですけど、キャリアはけっこう狙って作りにいっていました。「このように動けば、こういうポジションに就けるだろうなあ」という戦略です。もちろん100パーセント戦略通りだったわけではありません。たとえば、アメリカのMBAに行きたかったけれどシンガポールになったりとか、そういう小さな誤差はありますが、戦略的に積み上げていった結果、「海外に行きたい」という希望は叶いました。「プライベートバンクに行きたい」という想いも戦略的に積み上げていった結果、実現しました。

「会社に対して、どのように、どうやって自分のキャラや実績を見せるか?」ということをすごく考え続けたので、ほぼ狙い通りのキャリアを積み上げられたのだと思います。そして起業家となり、2018年6月には東証マザーズへ上場させて頂きました。会社員として、また起業家として、どういう力を身につけようと考えて、戦略的にキャリアを積んできたかについて、いろいろとお話をしながら、キャリア戦略のフレームワークとなることをお伝えできればと思っています。

書籍も出版しています。アマゾンのビジネス書ランキングなどを見て頂くと『鬼速PDCA』はずっと上位に入っていますので、読んで頂いた方も居らっしゃるかもしれません。今日お集まりの皆さまに関連した内容の本でいえば『プライベートバンクは、富裕層に何を教えてるのか?』と『営業』という書籍は金融業界の方によく読んで頂いています。よかったら参考にしてください。

会社は現在、総勢100名のメンバーになりました。準備金を含めて資本金8.5億で経営しています。あと4ヶ月ぐらい経つと会社を作って6年経つかなというところです。今はZUU onlineというサービスを中心にメディア運営していますが、月間で400万人以上が訪れる、日本で一番大きい金融メディアに成長したと思っています。

あとはクライアントの金融機関さんのFinTech化支援をしておりまして、金融機関さんがデータマーケティング、そしてメディアマーケティングのFinTech化を進めるとき、入口部分での支援を私たちが担わせて頂いています。黒子、裏方ですので、あまり表に名前は出ていませんが、プレスリリースなんかも様々な媒体から出させて頂いています。

ちょうど今朝もシンガポールから戻ってきたのですが、海外にも展開しています。シンガポールでも知名度の高いメディアとなり、最近黒字化しました。以上、簡単に私と会社の概要についてお話をさせて頂きました。

シェアリングエコノミーが金融業界にどう関わってくるのか

それでは本題に入りますが、金融業界は激動のときを迎えています。私が野村證券さんを辞めたのは2013年3月末ですが、そのときにはまだFinTechという言葉がありませんでした。私が立ち上げたときには「金融×IT」と言っていました。「金融とITをつなげてビジネスをするんだ」と。その後、この数年で一気に「FinTech」が加速していきました。FinTechどころか、シェアリングエコノミーなども金融業界を侵食しようとしています。

シェアリングエコノミーが金融業界にどう関わってくるのでしょうか? たとえば「資産」の概念が変わりました。先に従来の資産についてお話します。これまでは、一人ひとりが個人のバランスシートを持っていました。皆さんのお客さんもバランスシートを持っています。バランスシートは法人にもありますが、個人にもあります。バランスシートの中には金融資産があります。有価証券という金融資産があって、他に保険などを保有している方も多いです。また、個人のバランスシートには不動産も載っています。

さて、ここからがポイントです。「シェアリングエコノミーが起こしたことは何か?」というお話ですが、金融業界とシェアリングエコノミーはものすごく密接に関わっています。不動産とも密接に関わっています。シェアリングエコノミーは「車」というものを「資産」に変えたんですね。なぜかというと、今まで「買う」もしくは「売る(処分する)」という2つの行為しかなかったのに対して、カーシェアリングというマーケットが「貸す」という行為が成り立たせました。「貸す」という市場ができたのです。

人生において、よく「保険は不動産の次に高い買い物だ」と言いますが、車も大きな買い物です。シェアリングエコノミーによって車という資産が利回りを生むようになりました。もしかすると、魅力的な車は購入後数年の利回りで購入費用を回収できるかもしれません。

資産価値が生まれるのは車だけではありません。他に何があるでしょうか? 「モノ」です。モノは車と同じく固定資産ですよね。不動産も車も、その他のモノも固定資産ですよね。今、皆さんが持っている筆記用具もモノです。皆さんが使ってる椅子、机、衣服、すべて固定資産です。このような固定資産もシェアリングエコノミーによってレンタルできるようになりました。ブランド品のレンタル、洋服のレンタル、家具のレンタルというスキームもあります。車と同じくレンタルで利回りを生むようになったのです。

金融業界はなくなるのか

シェアリングエコノミーが金融資産に密接に関わる時代になりました。垣根が無くなってきているんですね。垣根が無くなって業界を越えました。近年、不動産業界は不動産クラウドファンディングをものすごく強化しています。不動産業界が、不動産を小口化して、ファンド化して、個人の投資家に売っているのです。ですから不動産業界が金融業界のような売り方をしていたり、先ほどのカーシェアリングみたいなマーケットの方たちが、金融に近いところに参入してきたりという潮流が起きています。現在金融に最も力を入れているのは金融業界ではなく非金融業界だと思っています。

NTTドコモさんが信用スコアに乗り込んできたり、Yahoo!さんはSoftBank連合でやっているPayPayなどのキャッシュレス決済を行ったり…。マルイさんの一番の事業の柱は、もう百貨店ではありません。融資事業なんですね。FinTech化事業のほうが営業利益を生み出しているんです。

何が言いたいかというと、業界はごった返して、大きく変わっていきます。そのような流れがあるので、皆さんのポジショニング、立ち位置も大きく変わっていくと思います。よく「金融業界の仕事が無くなる」と言う人たちがいますよね。私は「無くならない」と思っている人間なのですが、ただ少なくとも立ち位置は大きく変わると思います。

そのような時代では、どういうことが必要とされていくのかという点が本日のテーマです。まず、3つの項目について話をしようと思っています。1つ目は「将来の価値を作るものって何なのでしょうか?」という問いに対する解答です。2つ目は「将来の価値を作っていったときに、それにレバレッジ掛けるものとは?」です。そして3つ目は「将来の価値をしっかりと作れたとして、それを活用して最短距離で、理想としてるキャリアに辿り着くにはどうすべきか?」という内容です。

金融パーソンの将来価値を作るものとは

まず「何が将来価値を作るのか?」という1つ目のテーマです。先ほどバランスシートの話をあえて最初にしました。まだ皆さんの頭の中には「?」があると思います。どういうことなのかな?」と思われたかもしれません。証券業界の方よりも、銀行業界の方のほうがこのP/L、B/Sという指標を頻繁に見ているかと思います。審査しなければなりませんからね。

金融パーソンが最短距離で理想のキャリアを歩むために必要なことは?【ZUU冨田講演 1.7万字レポート】
(画像=ZUU)

私は2010年にスイスのUBS、世界最大のプライベートバンクの本社に行かせてもらったんですけど、まさにこの図を使って富裕層の資産管理をしていました。個人版P/L、B/Sです。サラリーやボーナス、インカムゲイン、キャピタルゲインが収入です。収入から生活費、税金なども含めての生活費を差し引いて残ったものが貯蓄ですね。貯蓄は企業でいえば利益剰余金です。利益剰余金ですのでバランスシートに載ります。ですから左と右はつながっています。

金融パーソンが最短距離で理想のキャリアを歩むために必要なことは?【ZUU冨田講演 1.7万字レポート】
(画像=ZUU)

ではバランスシートを見てみましょう。現金、有価証券、オーナーを対象にした自社株、ストックオプション、不動産などが左側に記載されます。右側が負債と自己資本で成り立つ項目です。左と右でバランスしています。ZUU onlineの「ZUU onlineとは」というページにもこのP/LとB/Sの図を載せています。P/L力がある企業は確かに素晴らしいです。評価されます。ただし企業評価はどのようにされるかというと、本質的に評価がされるのはB/Sです。P/Lは一時的な指標です。

バランスシートだけ見ると「なんでB/Sが評価されるんだろう?」「個人も『換金したらいくら?』という価値で決まるの?」「いや、人間ってお金じゃないよね?」と思われるかもしれません。実は、このバランスシートからはすごく重要なものが抜けています。企業のバランスシートでも同じことが起こるのですが、なぜバランスシートだけでは企業が適切に評価できないかというと、ある重要な項目が抜けているからです。

バランスシートから抜けて落ちている「ある重要な項目」