子や孫へ資金を贈与した場合における非課税優遇措置が拡充され、住宅・教育といった資金にこれらの制度を活用すれば節税を測ることも可能です。

ただしこれらの制度の活用には、いくつかの適用条件があります。その1つが所得制限です。

住宅取得資金の贈与は非課税の対象に

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(写真=fizkes/Shutterstock.com)

高齢者は、お金持ちです。とある地方銀行の調査によると、年代別貯蓄額のトップは60代で1,339.4万円、一方で子育て・マイホームでお金がかかる30代は404.1万円です。
政府は経済活性化を目的に、高齢者の資産を子や孫の世帯にシフトさせようと、税制面においてもさまざまな手を打っています。その代表が「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」です。

父母や祖父母から住宅取得資金の贈与を受けた場合、700万円(省エネ等住宅の場合は1,200万円)まで非課税扱いとなります。さらに、消費税率10%アップに当たっては、非課税限度額が2,500万円(同3,000万円)まで引き上げられます。
ただし非課税限度額は段階的に引き下げられるので、住宅購入時期は要注意です。2020年4月以降は1,000万円(同1,500万円)、2021年以降は700万円(同1,000万円)の予定です。
ちなみにこの非課税は、夫婦別々に適用されます。夫と妻がそれぞれの親から贈与を受ければ、非課税限度額は倍額アップで、最大で6,000万円まで非課税となります。

年収が高いと非課税が受けられない

本制度を利用する納税者は拡がっており、国税庁の発表によると年間の適用申請者は6万人、贈与額は5,000億円に及びます。
一方でこうした節税策の大盤振る舞いには「金持ち優遇」との声があるのも事実で、政府はこうした批判にこたえるため、非課税適用を受ける条件として一定の所得制限を設けています。

具体的には、贈与を受けた年の合計所得金額が2,000万円を超える場合には、非課税の恩恵を受けることができません。
「年収1千万円前後だから我が家は関係ない」と安心はできません。合計所得金額には、退職所得を加算します。

大卒総合職の退職金受取額平均は2,374万円、エネルギー企業や金融機関の場合は5,000万円を超えるケースも少なくありません。もちろん退職金受取額=退職所得というわけではありませんが、受取額が5,000万円なら退職所得は1,800万円に相当します(勤続年数によって違いあり)。

贈与の年と定年退職の年が重なれば、不幸にも非課税扱いから外れることも十分に考えられます。
ちなみに合計所得金額は、世帯年収ではありません。夫婦合わせて2,000万円越えだとしても、それぞれの合計所得金額が2,000万円以内なら非課税扱いになります。

教育資金の贈与も認められる 制度新設は2013年

もともと教育に充てる費用は、都度渡す分に関しては年間110万円まで非課税でしたが、2013年に教育資金贈与の非課税制度が新設されました。

祖父母から教育に充てる資金の贈与を一括で受けた場合には、学校の入学金や授業料に充てる費用は孫1人につき1,500万円、塾などのレッスン費用は500万円まで非課税扱いです。

贈与を受けるにあたっては、銀行などに専用口座を開設しなければなりません。加えて学費などに充てるために口座から引き出した場合には、学校が発行した領収書などを金融機関に提出しなければいけません。

教育資金贈与非課税制度は累計専用口座開設数が18万件、贈与金額が1.2兆円に達するなど、活用が拡がっています。

税制改正で制度縮小か

一方で本制度は、ある程度経済的に余裕がなければ利用が難しいのも事実です。「教育の格差を助長する」と批判する声もあり、平成31年の税制改正では合計所得金額1,000万円の制限が設けられる見通しです。

住宅取得資金や教育資金贈与の非課税制度といった税制上の優遇措置は、恒久的な法制度ではありません。毎年の税制改正のたびに限度額や所得制限を見直す可能性が高いので、適用を受けようとするときは常に改正動向をウオッチしておいた方が賢明です。(提供:Wealth Window

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